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2S6ツングースカ自走対空砲

2S6 Tungusuka  Anti-Aircraft Artillery

 
部隊配備開始年 1986年
乗員 6名
武装 2A42 30mm機関砲×4基

SA−19グリフォンSAM×8基

搭載弾数 30mm機関砲弾×1904発

SA−19グリフォンSAM×8発

全長 7.93m
全幅 3.236m
全高 4.021m(レーダー作動時)

3.356m(レーダー折り畳み時)

戦闘重量 34トン
馬力重量比 15.29hp/トン
路上最高速度 65km/時
路上最高航続距離 500km
渡河可能水深 0.8m
超堤高 1m
超壕幅 2m
登板力 60%
装甲 鋼鉄
NBCシステム
夜間暗視装置
使用国 ・ロシア

・インド(18両+60両)

 

<特徴>

1、世界初のハイブリッド型自走対空砲

近年、攻撃ヘリコプターの発達によって従来の防空機関砲ではアウトレンジされる

恐れが出てきた。そのため最近の自走対空砲は長射程のミサイルと不意に現れ

て低空から攻撃してくる敵に対処する機関砲とを組み合わせたハイブリッド型のも

のが多く開発されるようになっている。2S6は今から10年以上前に開発されたそ

の先駆けとも言える自走対空砲である。

 

2、極めて高い撃破率

2S6の主武装は射程8000mのSA−19グリフォン地対空ミサイルと各門最大

500発/分の発射速度を誇る4門の30mm機関砲である。SA−19グリフォン

はロシア名9M331といい、海軍でもSA−N−11の名前で使用されているラジオ

指令誘導方式のミサイルで、発射筒を兼ねるコンテナに密封され、その基部を防

弾鋼板で守られるかたちで砲塔両脇に、左右各2段に装備されたユニットを2基

並列に並べて装備している。ミサイルは固体燃料二段式で、ミサイルが発射され

るとまず1段目のブースターによりマッハ3程度にまで加速される。発射直後のコ

ース誘導は1段目のブースターのロケット・モーターから発する赤外線を追尾する

形で行われ、ブースターが切り離されて2段目のサステナーによる飛行に移される

と、ミサイルの尾部に装備された光源(初期型はフレア、後にパルス型ライト)が点

灯し、光学照準装置はこちらを追尾するようになる。ミサイルの誘導は無線コマンド

誘導方式で、照準装置内の十字線中心上に目標を捕らえつづければ、自動的に

照準装置が目標追尾の照準線と、ミサイルのパルス光源との位置偏差を無くす誘

導信号をミサイルに送るようになっている。機関砲は2A38連装機関砲を砲塔左

右に2基搭載している。この機関砲は交互に弾を発射することで、高い発射速度を

得ると同時に、反動を相互に相殺できる。給弾機構はベルト給弾式で、砲塔後部の

弾庫内に弾倉16個、弾丸1904発が収容される。各弾にはA−670両用型(衝発

/時限)信管が装備され、所定の飛翔時間を飛んだ後でも衝発信管が作動しない

場合には、自動的に自爆するようになっている。機関砲1門あたりの最大発射速度

は500発/分(4門で2000発/分)で、射撃はレーダーとコンピューターによって

制御される。この機関砲によるバースト射撃は極めて強力である。

2S6ではこれらの砲とミサイルを統合的に運用することで、極めて高い撃破率を

実現しており、目標の種類にもよるが一説には8割〜9割の確率で目標撃破できる

とされている。

 

3、行進間射撃が可能

ZSU−23−4シルカでは停止中にしか射撃することが出来なかったが、2S6では

移動中にも射撃できる(ただし機関砲のみ)ようになった。各国の同時代の自走対

空砲でも行進間射撃能力のあるものは珍しく、この点でも2S6は極めて先駆的で

ある。ただし、行進間射撃の際には若干射撃精度が落ちる。

 

<開発&設計>

2S6ツングースカは、ZSU−23−4対空戦車の後継として開発された、対空機関砲

と対空ミサイルを同時装備するハイブリッド防空システムである。ZSU−23−4シル

カは非常に強力な革新的自走対空機関砲であったが、搭載する機関砲の射程が25

00mと短く、長射程化する最近の対戦車ミサイルには対抗できなくなってきた。その

ため開発されたのが2S6で、1960年代の末からツーラ計器技術設計局が中心とな

って開発が開始され、1986年には部隊配備が開始された。また、1988年に旧東ド

イツで存在が確認された。

車体はガトフライ地対空ミサイルやガントレット地対空ミサイルに使用されているMT-T

汎用装軌式車輌と基本的に同じのものを使用しており、防弾鋼板の溶接構造である。

なお、車体は18cm〜54cmの間で自在に地上高を変化させることができ、射撃時に

は車高を下げて車体を安定化し、射撃精度を高めることができる。車体内部及び戦闘

室にはNBC探知装置や、フィルターを通した空気を外部より圧力を高めて車内に供給

するNBC防護装置など、一通りのNBC装置を有しており、放射能や化学兵器で汚染

された戦場でも行動することが可能である。

車体中央上には2A40Mと呼ばれる防弾鋼板溶接構造の細長い箱型の砲塔を搭載

している。砲塔の旋回や砲の俯仰は電動式ではなく一般的な油圧式である。砲塔内に

は前部に車長とレーダー操作員が横並びに座り、その後方砲塔中央部に砲手が位置

している。ただし、砲塔内部には空調設備やレーダー冷却装置、コンピュータなどが所

狭しと配置されているため、内部の広さは十分ではないと思われる。

エンジンは車体が大きくなったことから、T−72戦車などと同系統のV−46−6ディー

ゼル・エンジン(520馬力)を搭載し、総重量34トンの車体を65km/hで走らせること

ができるようになった。路外走行性能も良好で、主力戦車のT−72シリーズやT−80

に追随することも可能である。

武装は、この砲塔の左右側面に2A42 30mm連装機関砲とSA−19地対空ミサイル

の4連装発射機をそれぞれ装備している。2S6のなによりの特徴はこれらの武装を併

用した制圧空域の広さにある。30mm機関砲は、各門最大500発/分の発射速度を

持ち(4門合計2000発/分)、水平方向最大射程5000m、有効制圧高度3000mの

性能を有する。また、高い発射速度を利用した対地攻撃も極めて効果的である。ちなみ

に、対地目標射撃では、光学照準機が使われる。

レーダーシステムはNATO名「ホット・ショット」と呼ばれるもので、砲塔後部に装備され

た探索用レーダーと、砲塔前面に装備された目標追尾用レーダー、IRL−138敵味方

識別装置などからなる。探索レーダーはEバンド型で、起倒式のアンテナは毎秒1回の

割合で回転する。また、作動時のアンテナは7.5度の仰角で固定されるようになってい

る。有効探知距離は低空を飛行する航空機に対して約18kmで、このレーダーと連動し

て自動的に敵味方識別装置が作動する。目標追尾用レーダーはJバンド型で、機関砲と

ミサイルによって異なった作動モードを有する。例えば機関砲を使用する場合は目標の

位置を射撃統制用コンピュータに伝えるという基本的な目標追尾レーダーとして働くが、

ミサイルを使用する場合には、まずレーダーが目標にロックオンし、次に砲塔の光学照

準装置を目標に向ける働きをし、光学照準機が目標を捕捉して追尾を開始すると、レー

ダーの方は地対空ミサイルに対してコース修正信号を送るアンテナの役割を果たすよ

になる。また、これらのシステムでは目標への指向はすべて自動でされるようになってお

り、操作員がやることは使用兵器の選定と発射ボタンを押すことでしかない。

2S6の対空システムが迎撃可能な目標速度は500m/sとされており、相当な高速度

で飛来する地上攻撃機はもちろんのこと、その広い制圧空域と複数目標対応能力、シ

ステムリアクションタイムの短さ(機関砲/ミサイルの発射し至るまでの時間は6〜8秒)

などにより、西側で地上制圧力の主柱の1つとなっている地上攻撃ヘリコプターにとって

も強敵である。

以上のようにZSU−23−4とは桁違いの能力を持っている2S6だが、財政難のロシア

ではコスト高からあまり配備は進んでいないのが実状である。また、最近では他の中〜

低高度空域対空ミサイルシステムと組み合わせて部隊配備されることになっている。一方

、ロシア政府としても外貨獲得のため2S6の輸出にも力を入れているが、今のところ輸出

がなされたのはインドのみである。今後、ハイブリッド型自走対空砲の有用性が証明され

れば、カスタマーも増えていくことだろう。

 

<各種タイプ>

○2S6ツングースカ: 最も初期のタイプで、地対空ミサイルの数が現在の半分の4基で

              あった

○2S6Mツングースカ(2K22M): 現在使われているタイプで地対空ミサイルの数が8基

                      になっている

○2S6MツングースカM: 1980年代末から改良が始まったタイプで、信頼性や運用性、

                 効率性が向上している

○2S6M1ツングースカM1: 目標の誘導システムや、搭載ミサイルを改良して射程を10

                   kmに延長したタイプで、UAVのような小型目標や、フレアの

                   ような光学的妨害装置を放出する目標にも対応でききるよう

                   になった

 

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