グラインドハウスとは? アメリカで1960年代から70年代にかけて、暴力・エロス・ホラーなどにあふれた低予算のB級作品を、2〜3本立てで上映していた映画館の総称なのだとか。
クエンティン・タランティーノ監督(以下、タラちゃん)が仲良しのロバート・ロドリゲス監督(以下、無理やり、ロドちゃん)と組んで、1本ずつグラインドハウス風の映画を作り、その2本をアメリカでは「グラインドハウス」という1本の映画として公開した。加えて、実際には作られていないグラインドハウス風の映画の予告編も数本、おまけについているという、凝った面白さ。
日本でも限定で、アメリカで上映された形で観られたらしいが、私はその情報を知らなかった…。
今回観たのは、独立した1本の映画としての公開となったタラちゃん映画「デス・プルーフ
in グラインドハウス」。
ちなみに、ロドリゲス監督の作品のほうは「プラネット・テラー in グラインドハウス」として、22日に公開となる。
1本だった作品を2本に分けて公開、というのは、観るほうとしては損をしているみたいだが、編集が違って、多少長くしてあるような話も聞いたから、ま、いいか。
タラちゃん、グラインドハウス仕様(?)として、フィルムに傷がついたように見せたり、フィルムのコマを飛ばしたりして、劣悪なフィルム状態をわざと作って遊んでる。
お話は大きく2つに分かれていて、前半はメインの女の子4人の、車中やバーでのおしゃべりと、彼女たちを付け狙う男の話。
後半は、前半とは別の女の子4人のおしゃべりと、彼女たちを付け狙う男の話。
前半と後半で女の子の顔ぶれがガラリと変わるのも面白いが(変わるのにはワケがあるけど)、映画を観た後で調べてみたら、なかなか興味深い女優たちなのだった。
前半の4人の中で、いちばんの主役と思えたのが、ヴァネッサ・フェルリト。顔がマイケル・ジャクソンに似てるんじゃないかと思ったりしたのだが(ということは、ジャネット・ジャクソンに似てるということか?)、アンジェリーナ・ジョリーに似てるという意見もある。(笑)
シドニー・ターミア・ポワチエという女優は、シドニー・ポワチエとジョアンナ・シムカスの娘。父母どちらも有名な俳優だ。
ジョーダン・ラッドは、母親がシェリル・ラッド。
4人のうち2人が、2世俳優だったのだ。
バーのシーンから単独で登場したローズ・マッゴーワンは、ロドちゃん編の「プラネット・テラー〜」では主役。
後半の4人は、ロザリオ・ドーソンとトレイシー・トムズが「レント」の主演コンビ。観ている間、ロザリオ・ドーソンには気づかなかった。「レント」とはイメージが違うような…。トレイシー・トムズも、どこかで見たなあ、と思ってたけど「レント」とは思い至らず。おバカな私。
メアリー・エリザベス・ウィンステッドは「ダイ・ハード4.0」でブルース・ウィリスの娘を演じていた。これも観ている時には気づかず。
それに、「キル・ビル」でユマ・サーマンのスタントをやっていたという、ゾーイ・ベル。
彼女は車のボンネットに上がって、振り落とされそうになるスタントをも演じている。
女の子たちのおしゃべり部分は面白いけど、長すぎると多少飽きてくるところもあり。
それだけに、中盤の…というか、数分の殺人カークラッシュシーンは強烈!
犯人の男が後半どうなるのか、これが最大の見どころ。
憎たらしければ憎たらしいほど、ヤツが酷(ひど)い目にあえば、スッとするはず…。
まー、とにかくタラちゃん、自分の好きに作り放題です。幸せだねー。監督だけでなくて、脚本も撮影も自分だし。
タラちゃん映画の「キル・ビルVol.1」でダリル・ハンナが吹いていた口笛のメロディが、本作のロザリオ・ドーソン演じる娘の携帯着メロになってたのが、思わずニヤリでしたね。
おしゃべりに、よく出てくるのが「バニシング・ポイント」などの昔のカーアクション映画。「バニシング・ポイント」は観たことがあるが、ほとんど忘れている…。
タイトルの「デス・プルーフ」というのは、車の「耐死仕様」という意味だそうです。ぶつかっても平気、運転手は死なないって。
そういう車ばっかりなら、交通事故は起こらないかも。…あ、人やバイク、自転車は危ないか!
ブリジット・バルドーが寝そべる、映画のポスターの下でシドニー・ターミア・ポワチエが同じような格好でいるシーンなどは、映画好きなタラちゃんらしくて、観てるほうも嬉しかったよね!