これは完璧でしょう。
原作は、漫画。アニメ。そこを忘れちゃいけない。
漫画アニメを、映画が表現しうる最大限・最高の映像にした、といえるのではないか。
レースシーンの破天荒な面白さは文句なし。
なんだこれは、と思うような変なレースのコースだって、漫画なんだから、何だっていいのだ。クルマが飛んだり跳ねたりするのも漫画。
レース中に、どのクルマがどうなってるのか、という点は、あまりにめまぐるしいレース展開なので、少し分からないところもあるが、これだけ楽しませてくれたら、ささいなこと、としていい。
極彩色のきらびやかさも素晴らしい。やるなら、このくらいやってくれたほうが楽しい!(漫画なんだし!)
おかしな忍者が出てきたっていいじゃないか。面白いし。
主人公の名前が、スピード・レーサーだっていいじゃないか。分かりやすいし。
カーレーサー仲間の兄の名前がテジョ・トゴカーン(演じるのはRain)で、妹の名前がハルコで、どこの国の家族なんだか分からなくたっていいじゃないか。別に。
私は、F1のレースはテレビでも見ない。レースのゲームもしない。(あるのかどうか知らないが。)
つまり、カーレースは特別に好きでもない。でも、この映画は、ものすごく楽しめた。夢のような映像だったなあ。
ドラマ部分も、ベタだが悪くない。子どもっぽいといえばいえるのかもしれないが、悪くないでしょ。一押しは映像なんだから、物語はシンプルでもいい。「シンプル・イズ・ベスト」ともいう。
ジョン・グッドマンのパパなんて、本人がアニメみたいな見かけだし、スーザン・サランドンのママの優しさもいい。
この親にして、この子あり、みたいなパパ似の幼い息子のおバカっぽさも見事に合っているし、チンパンジーとのコンビも最高。
そして! クリスティーナ・リッチ演じるトリクシー。彼女もアニメみたいにクッキリ特徴的な顔だ。子ども時代のトリクシー役の子も可愛い。
私はオリジナルの日本のアニメは、♪マッハGOGO〜という歌の部分しか知らないが、そのメロディが、きちんと取り入れられていたことも嬉しい。
エンドロールでは、その日本語の歌も少し聞こえてきた。嬉しいねえ。そこまで、この漫画が好きなんだ、監督のウォシャウスキー兄弟。
振り返ってみても、マイナス点は思いつかない。
レース中に、さまざまな過去のシーンが縦横無尽に挿入されてきたり、たまにある漫画的なギャグ場面などなどで、引いてしまう、乗れない、そんなウォシャウスキー兄弟の、やりたい放題な遊び心全開に、ついていけない人には不評だろう。
見終わって、すぐに、また観ようと決めて、前売券を買った、なんてことは、私にとっては、めったにないことだった。
映像が見ものだから、映画館で観ないことには意味がない。DVDを買ったりレンタルして見ても、いい評価は出てこないのではないかと危惧する。
そんな映画。
とにかく、痛快! 爽快! 楽しかった! 面白かった! 大満足! レースシーンのスピード感と豊かな色彩に身を任せて、楽しみましょう!