ヴィドック

VIDOCQ
監督 ピトフ
出演 ジェラール・ドパルデュー  ギヨーム・カネ  イネス・サストレ  アンドレ・デュソリエ  ムサ・マースクリ  ジャン=ピエール・ゴズ
美術 ジャン・ラバス
2001年 フランス作品 98分
シッチェス映画祭…作品・最優秀メイク効果・最優秀視覚効果・最優秀オリジナルサウンドトラック・市民ケーン賞(新人監督賞)受賞
評価☆☆☆

1830年のフランス。ブルボン王朝シャルル10世の悪政に、民衆の不満が満ち、7月革命が起きる寸前のパリ。
有名な探偵であるヴィドックが、鏡の面をつけた男と格闘の末に、死んだというニュースが流れる。ヴィドックの伝記を書こうとする作家エチェンヌが、事件を追い、真相を究明しようとする。

監督の話によると、ヴィドックは、フランスではバットマン以上に有名なのだという。ヴィドックは、投獄され、脱獄を繰り返し、警察のために働くようになり、ついには私立探偵となった実在の人物だ。

ヴィドックを演じるのは、ジェラール・ドパルデュー。すっかり恰幅がよくなってしまって、どっしり感はある。鏡男との剣戟、取っ組み合いのアクションは、がんばっていた。

ヒロイン格のイネス・サストレという人は、ランコムのモデルなのだそうだ。少しエキゾチックな容貌。中国人に扮して踊る場面(私には、タイ国あたりの踊りのように見えたけれど?)が最初の登場シーンだった。

今作が初監督になるピトフは、ジャン=ピエール・ジュネ監督の多くの映画で特殊効果を担当してきた。そのせいか、映像には凝っている。特に雲に覆われた空などは、絵画そのもの(そこは、ほんとに絵かな?)。
その、絵のような風景の中で、落雷に燃える人間。犯罪者の被る仮面の妖しい輝き。暗く湿ったような貧民街。ぎりぎりいっぱいのクローズアップの使用。映像は面白い。

ただ、物語は、それほど面白いとは思えなかった。作家がヴィドックの捜査の跡を追っていくのだが、その展開が割合と単調なのだ。
それを気にせず、ヴィジュアル中心に画面を楽しめばいい映画なのだろう。

この映画では、デジタルカメラを使っている。「スター・ウォーズ エピソード2」にも使用されて話題になっている撮影方式だ。この1本を観ただけでは、フィルムとどう違うのか、よく分からないけれども。

賞関係では、ファンタジー系映画を対象にした、シッチェス映画祭(シッチェスはスペインのバルセロナ郊外)で5部門を受賞している。
ちなみに、この映画祭では1999年に「リング」が最優秀作品賞、2000年に「秘密」が最優秀主演女優賞(広末涼子)、最優秀脚色賞を取っている。
〔2002年1月12日(土) ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋〕



映画感想/書くのは私だ へ             トップページへ