ウォッチメン

WATCHMEN
監督 ザック・スナイダー
出演 ジャッキー・アール・ヘイリー  マリン・アッカーマン  カーラ・グギーノ  パトリック・ウィルソン  ビリー・クラダップ  マシュー・グード  ジェフリー・ディーン・モーガン  スティーヴン・マクハティ  ローラ・メネル
原作 アラン・ムーア
脚本 デヴィッド・ヘイター  アレックス・ツェー
撮影 ラリー・フォン
編集 ウィリアム・ホイ
音楽 タイラー・ベイツ
2009年作品 163分
BMIフィルム&テレビ賞…音楽賞
評価☆☆☆


警官がマスクをかぶって、法を超えて悪と戦ったのが始まりか、なるほど。

オープニングクレジットで「ウォッチメン」らしき人々のスナップ映像が次々に流れる。
私は原作をまったく知らないから、
なんだろ、これ? コスプレ軍団?
と奇妙な感覚を抱いたまま、しばらく観ていてから、ああ、そういうことなのか、と分かった。

時代背景は、米ソの冷戦中か。ソ連の核攻撃を、アメリカのニクソン大統領は心配している。
自警団のごとく活躍していたウォッチメンは、いまは法律によって活動を止められている。
しかし、ある事故により、超人になっちゃったメンバーがいて、彼が絶対的なパワーをもつがゆえに、政府はソ連に対する抑止力として彼を使っていた。彼イコール核兵器、みたいな存在でしょう。

元メンバーのひとりが殺され、活動禁止令にそむいて活動を続けるロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)が調査に乗り出す。
ウォッチメンのなかでは、このロールシャッハは、かっこいい。話し声も低音でクールで、一見ダークヒーロー。
マスクの模様がいつも変化して、ロールシャッハ・テストのさまざまな絵柄のようになるのが、すごくおもしろい。
ただの布切れみたいなのに、どうして柄が変わるのか、というのは謎。原作では説明されていないのでしょうか。

不思議といえば、ウォッチメンたちが、みんな戦いに強いのも不思議。コスプレしている普通の人のはずなのに。もともと強い人がウォッチメンになっているのだろうけど、ちょっと強すぎると思います。
飛行船を作るスーパー発明家までいる。
ヒーローものだから、いいのか。

全体の感想としては、「トンデモ映画」だなあと思えた。とんでもない映画、途方もない映画という意味ですが。
ユニークすぎて、「カルト映画」に近いかも。一部の熱狂的なファンに支持されていくような映画という意味ですが。
ただ、観てから時間が過ぎている今、こういうのもありかな、と思えている。
原作が書かれたころと今では、世間の受け止め方も違うだろうか。

ヒーローたちで、かっこいいのは先にも書いたように、ロールシャッハだけ。もしかしてヒーローへの皮肉、はたまた、茶化しているのか、この映画。ヒーロー否定だよね。
ロールシャッハにしても、警官に囲まれたときの自分の失敗への悪態ぶりは、笑っちゃうほど人間くさかったりするし。

なんだかんだとあるが(「なんだかんだ」は「なんだかんだ」です)、正義とは何なのか、ということが映画の最後に問題になっている。
私は、ここで世界平和のために行われたことは、正しいとは思えない。平和は犠牲の上に成り立つ場合もあるかもしれないが、積極的にそれを選ぶべきではないはず。

アメリカの映画サイト「IMDb」では、10点満点で8点という、トンデモない高評価。
「ダークナイト」以来の前評判があった映画らしいが、ちゃんと受けてるんだね。(ちなみに「IMDb」で「ダークナイト」は9点。)
その世界観がおなじみだと、期待どおりに映画も楽しめたのかも?




〔2009年4月12日(日) 池袋東急〕


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