白いリボン

DAS WEISSE BAND - EINE DEUTSCHE KINDERGESCHICHTE
脚本・監督 ミヒャエル・ハネケ
出演 クリスティアン・フリーデル  レオニー・ベネシュ  ウルリッヒ・トゥクール  ブルクハルト・クラウスナー  ミヒャエル・クランツ  ウルシーナ・ラルディ  フィオン・ムーテルト  ライナー・ボック  スザンヌ・ロタール  シュテッフィ・クーネルト  ヨーゼフ・ビアビヒラー  ブランコ・サマロフスキー
撮影 クリスティアン・ベルガー
編集 モニカ・ヴィッリ
2009年 ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア作品 144分
好き度☆☆☆


見終わっても、戦争、ナチスということと、この映画は結びつかなかったけど?

まるっきり予備知識をもたずに観賞。観たあとで、いろいろな解説を読むと、「第一次世界大戦前夜の…」という言葉が必ずといっていいほど出ていた。
ああ、そういうことなのかと、そのとき初めて分かった。

つまり、予備知識があるかないかで、映画の理解度が違ったわけで、そういう映画って、どんなもん? と思うのだ。
私は鈍いけれども、映画のなかだけで気づかせてくれなければ、やはり、手放しでほめるわけにはいかないだろう。
ヨーロッパの人たち、ナチスの脅威に近い人たちならば、敏感に感じ取るのかもしれないが。
私は、もっと普遍的なことを考えていたのだ。これが「人間として」どういうことなのか、というふうに。また、それも、まるで間違った本作の解釈ではないのだろうけれど。

とはいえ、やはり一目おかざるをえない映画とはいえる。
画面から漂う、ぴしっと締まった空気(思い返してみると、音楽はなかったような?)、前回観たハネケ監督作品「ファニーゲームU.S.A.」のような不快感はないが、甘っちょろいところはない。
白黒なのも、いい。
それに、さまざまなシーンを思い返してみても、「見事な画(え)になっている」ことも多い。
一例だけあげれば、子どもが死体を見にいく場面とか。

「ファニーゲームU.S.A.」も何の知識もなく観て、なんて残酷な映画を作るものかと憤りながらも、そういう製作態度には、心の中で、こいつ何なんだろうという興味をもったことも否めない。
新作を、封切日の初回に観にいってしまったのだから。困ったことである。

おおまかなストーリーとしては…
悪意に満ちた事件が起きた、ある村。
いったい誰が、なぜ、という謎を引っ張りながら、何人かの村人たちの様子を描写していく。

というものだが、白いリボンは、悪いことをした子どもが、いい子になるようにと、その子に巻くもの。
それがタイトルになっているのは象徴的なことで、それで、いい子にしようなんて見当はずれ、勝手な親だね的な皮肉も?
この映画では、子どもをどのように躾(しつけ)るか、これが大問題になる場合もあるかもしれない、と見当はつく。

語り手の男性教師の恋物語が織り込まれてくるので、その部分では少し、ほっとすることも。
彼の恋愛相手の朴訥(ぼくとつ)な可愛さは、この映画のなかでは救いだった。




〔2010年12月4日(土) 銀座テアトルシネマ〕


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