新米の女性ドライバーが交差点で車をエンストさせた。信号は情け容赦なく、赤から青へ、また青から赤へ変わる。後ろは車が長い行列を作ってひしめいている。後ろの車が警笛を流す。また後ろの車も、その後ろの車もじゃんじゃん鳴らしている。
女性ドライバーは、降りてきて後ろの車に言った。
「私のエンジンをかけてくれませんか。私はあなたに代わって警笛を鳴らしてあげましょう。」
世の中には警笛を鳴らす人は多いが、エンジンをかけてあげる人は少ない。
家を建て柱時計をかけた。その時時計はこう考えた。
「毎秒2回時を刻むのだから、1分で120回、1時間で7200回カチカチ時を刻まなければならない。
1日7万2800回、1年で637万200回、10年で6億072万回。考えただけでもくたびれてしまった。
しばらくして我に返りハット思った。「そうだ 一度に一つ時を刻みさえすればよいのだ。」
その柱時計は100年立った今でも動き続けている。
葉隠れに
「一大事とは、本日只今のことなり」というのがある。
武士が戦になったときが一大事で、その時初めて心を引き締めるのではない。毎日が一大事、常に心を引き締めておくことが、本日只今、明日ではなく今、他ではなくここ、そして他人ではなく自分。
「今が人生最良の時 日々新たなり」
常に畑から取り立ての新鮮な野菜を美味しく食べよう。そして、そのように生きること。
人間も同じ。人生とは「NOW&HERE」を大切に毎日を生きること。
昭和63年 残暑にあたって
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