チャレンジャー1主力戦車Challenger 1 MBT |
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| <開発&設計> イギリスは1970年代初めから、ドイツと「将来の主力戦車(FMBT)」の共同開発を進 めていた。FMBTは、チーフテンとレオパルド1の後継を目指した計画だったが、197 7年に両国の思惑の違いから空中分解してしまった。イギリスでは、その後MBT−80 と名付けた新計画に着手する。MBT−80は120mmライフル砲装備で55トン級、乗 員4名の砲塔型戦車となるはずだった。エンジンに関しては1500馬力級というだけで 、ロールスロイスのディーゼルにするか、ガスタービンにするかは決まっていなかった。 しかし、1970年代半ばにMBT−80計画は資金難のために中止に追いこまれてしま った。ここで急遽浮かび上がってきたのがイランが発注し後にキャンセルされたFV− 4030/3(シール2)の存在であった。シール2はチーフテンの改良型に過ぎなかった が、ソ連の新型主力戦車大量産される中、イギリスも大陸派遣軍の近代化を急ぐ必要 があった。そのため、結局1979年9月にFV4030/3をチャレンジャーの名で採用す ることになった。ただし、イギリス陸軍としても、チャレンジャーを将来にわたって主力と する考えは当時なく、243両を発注しただけだった。これはイギリス陸軍の西ドイツ駐留 部隊(BAOR)の所要分に過ぎず、T−64やT−72に当面対抗するための繋ぎという 意識が強かったことをうかがわせる。 砲塔は、丸みを帯びたチーフテンの鋳造鋼砲塔と対照的に、平たく角張っていて、新開 発のチョバム・アーマーを被せた構造をしている。チョバム・アーマーはハニカム形状の 枠でセラミック・ラミネイトを保持し、通常の装甲鋼板の挟みこんだ複合装甲の一種で、 これにより飛躍的な装甲防御力の強化を実現している。ただし、チョバム・アーマーが使 用されているのは砲塔前面と車体前面のみで、側面などには使用されていない模様で ある。ちんみに、チョバムの名称はこの装甲が開発された研究所のあるイギリスの地名 に由来している。 主砲はチーフテンと同じL11A5 120mmライフル砲である。他の第3世代戦車が滑腔 砲を採用するな、イギリスだけライフル砲を使用しつづけているのが興味深い。また、チ ャレンジャーでは他の国々が使用しているHEAT弾の代わりに、HESHと呼ばれるイギ リス独自の砲弾を発射できるのも特徴で、この砲弾は外部に強い衝撃を与えることで戦 車内部の装甲を吹き飛ばす独自の構造をしている。チャレンジャーの主砲のもうひとつ の大きな特徴は、戦車砲にもかかわらず、野砲のような分離装薬を採用していることで 、被弾のさいの発火・誘爆を最低限に抑えている。 エンジンはパーキンス・エンジンス製コンドールV12・1200液冷V型12気筒ディーゼル エンジンで、出力は1200馬力とチーフテンと比べて大幅にパワーアップしている。ただ し、出力重量比は19馬力/トンで、1500馬力級エンジンを搭載し、24馬力/トン前後 のアベレージを有するM1A1戦車やレオパルド2戦車と比べると必ずしも十分な機動性 能とは言えない。 チャレンジャー1は1987年のカナダ陸軍杯(CAT)の射撃競技でM1やレオパルド2に 大差で惨敗するなど、世界の評価は決して良いものではなかった。しかし、1991年の 湾岸戦争では旧ソ連製戦車を装備するイラク軍に対して戦車撃破200両以上という一 方的な大勝利を記録し、汚名を返上した。特にHESH砲弾は強力で、命中した装甲車 などは一撃で木っ端微塵にするほどであった。また、心配された砲撃精度に関しても、 5100mの距離で敵戦車に砲弾を命中させるなど汚名を返上している。
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