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イリューシンIl−62クラシック旅客機

Ilyushin Il-62 Classic

 
形式 4発長距離用ジェット旅客機
初飛行年 1963年
全長 53.12m
全幅 43.20m
全高 12.35m
翼面積 282.2平方メートル
自重 69400kg
最大離陸重量 163500kg
エンジン ソロビエフD−30KU

ターボファンエンジン(推力11000kg)

×4基

巡航速度 900km/h
航続距離 7800km(最大ペイロード搭載時)
総生産機数 210機以上
↑データはIl62M型

 

<開発>

イリューシンIl−62(NATOコードネーム:クラシック)はソ連発の本格的な長距離用ジ

ェット旅客機で、それまで長距離国内線や国際線で活躍していたツポレフTu−114ク

リート ターボプロップ旅客機を置き換える目的で開発された。開発は1962年に始まり

、1962年9月24日には開発中のプロトタイプをフルシチョフ書記長が視察し、この出

来事はメディアでも報道された。初飛行は1963年1月に行われたが、1963年5月の

低速飛行試験の最中に失速に関する問題点が明らかになったため、1964年に改良

措置が取られ、翼上面に小型フェンスを取り付け、風圧版が改良された。また、196

5年には翼端の燃料投棄用排出口にフェアリングが取り付けられた。

1967年3月10日、イリューシンIl−62クラシックはモスクワ〜ハバロフスク、モスクワ

〜ノヴォシビルスク路線に就航し、定期旅客運航を開始した。加えて7月14日にはモ

スクワ〜タシケント(ウズベキスタン共和国)路線に就航、さらに9月15日には同年の

万国博覧会に合わせて初の国際線となるモスクワ〜モントリオール路線に就航してい

る。

1968年、チェコスロバキア航空がIL62の運航を開始し、初のソ連以外のオペレー

ターとなり、その後他の共産圏の航空会社も相次いでIL62を導入した。そのため、

1968年は年産6機だった生産ペースが1969年には年産10機に引き上げられた。

 

 

<設計>

主翼は後退角を有する片持ち式の低翼配置で、内部には桁が3本通っていて、メイン

燃料タンクがある。尾翼はT字翼で同じく後退翼である。主翼及び尾翼、エンジン空気

取り入れ口には熱方式の除氷装置が装備されているが、一方でコックピットのフロント

ガラスには電熱方式の除氷装置が取り付けられている

エンジンはクズネツォフNK−8−3ターボファンエンジン(推力9500kg)4基を後部

にまとめて配置する方式を採用しているが、この方式は翼下にエンジンを配置する方

式と比べて推力線が重心近くを通ることや、翼がクリーンに仕上がること、脚を短く出

来ること、異物吸入を吸入する可能性が少ないこと、客室の騒音が静かになるなどの

利点がある。なお、最初のプロトタイプ2機はNK−8エンジンの開発が間に合わなか

ったため、リューリカAL−7ターボジェットエンジン(推力7500kg)が装備され、その

後一時的にミクリンAM−3Mターボジェットエンジン(推力8700kg)が装備されてい

たと言われる。クズネツォフNK−8−3ターボファンエンジンのオーバーホール間隔

は1000飛行時間と短かったが、後にNK−8−4型となり、オーバーホール間隔は

3000時間に伸びた。

胴体はセミモノコック構造で、与圧機構を持ち、高度7000mでも客室内は海面高度

と同じ圧力に保たれている。胴体下面、特に燃料タンク下面は胴体着陸に備えてキー

ル及び梁で保護されている。胴体の設計寿命は25000〜30000飛行時間である。

乗員は操縦士、副操縦士、航空機関士、通信士、航法士の5名体制である。機首に

はドップラーレーダーを装備し、2系統のオートパイロット、VOR・ILS航法装置を備え

ている。VHFアンテナは胴体上部右側の小さな張り出しの中に収められている。

 

<イリューシンIl−62M型>

Il−62の初期型は燃費が悪く、あまり経済的な機体とは言えなかった。そのため、燃

費を改善した新型エンジンを装備した開発されることになり、こうして1970年に登場し

たのがIl−62M型である。主な改良点はエンジンを経済性の高いソロビエフD−30K

Uターボファンエンジン(推力11000kg)に換装したことで、これにより燃費は12%向

上し、西側の旅客機に勝る競争力を手にすることに成功している。また、燃費が改善さ

れただけでなく推力も増加しているので、最大離陸重量も引き上げられた。

Il−62M型ではエンジンを換装する以外にも垂直尾翼内部に新たに5000リットルの

燃料タンクを増設し、エンジン4発のうち外側2発にクラムシェル型逆噴射装置を取り

付け、客室の配置を変更し最大座席数を198席に増やすなどの改良が施されている。

加えて、貨物搭載装置、アヴィオニクスも近代化され、自動操縦装置はカテゴリー2対

応にアップグレードされた。

 

<生産>

イリューシンIl−62クラシックの生産は発展型のMシリーズの製造が1993年まで続

けられ、シリーズ合わせて210機以上生産されたと言われている。現在はM型以降の

機体が活躍し、初期型はほとんど引退している。なお、M型以降の機体も西側の騒音

基準の関係から徐々に数を減らしつつあるが、未だにCIS諸国の域内路線や、政府

専用機として使用されている。

 

<バリエーション>

○Il−62: 最初に生産されたタイプで、最大座席数は186席。

○Il−62M: エンジンをソロビエフD−30KUに換装した燃費向上型。最大座席

         数は198席。Il−62M−200と呼称される場合もある。

○Il−62MK: 翼構造や着陸装置を強化したタイプで、客室内装も変更されており

          、西側機のコンセプトが一部取り入れられた。また、航法機器もアッ

          プグレードされ、慣性航法装置が導入された。

 

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