トップページに戻る

ダグラスDC−10旅客機

Douglas DC-10

 
形式 広胴大型ジェット旅客機
初飛行 1970年
運航乗務員 3名
最大座席数 380席
全長 55.50m
全幅 50.41m
全高 17.70m
翼面積 367.70平方メートル
自重 121199kg
最大離陸重量 263084kg
燃料容量 138165リットル
エンジン ジェネラルエレクトリック(GE)

CF6−50Cターボファンエンジン

(推力23150kg)×3基

最大巡航速度 908km/h(高度9150m)
巡航高度 10180m
航続距離 7411km(最大積載重量時)
離陸滑走距離 3170m
着陸滑走距離 1630m
総生産機数 〜1989年

386機(民間型)+60機(軍用型)

↑データはDC10−30型

 

<開発>

ダグラスDC−10型旅客機は、アメリカン航空が1966年3月に出したサンフランシスコ

〜シカゴ間を直行できる250席級の国内線用ワイドボディジェット機という要求(エアバス

構想)に応じて設計作業が始められた。その後、アメリカン航空から確定25機+オプショ

ン25機、ユナイテッド航空から確定30機+オプション30機の発注があり、1968年4月

から生産が開始された。初飛行は1970年で、1971年にアメリカン航空のロサンゼルス

〜シカゴ路線に就航した。その後、エンジンを換装した長距離型のDC−10−40型など

発展型の開発が続けられ、DC−10シリーズは最終的に1989年までに386機が生産さ

れた。また、KC−10Aエクステンダーと呼ばれるDC−10型旅客機をベースにした空中

給油機も開発され、米軍に60機採用されている。日本では日本航空が20機導入し、国

内幹線や、アジア方面の中距離国際線の他に、1977年〜1985年にかけてはアンカレ

ジ経由の東京〜ニューヨーク路線に就航、長距離国際線でも活躍し、2005年まで使用さ

れる予定である。また、日本エアシステムや日本アジア航空でも使用されたが、現在は全

て引退している。

 

<設計>

主翼は低翼単葉、35度の後退翼を採用しており、後縁は二重後退角を有している。平面

系は比較的平凡だが、翼断面には臨海マッハ数の高いピーキー翼型に似た独自開発の

ものを使用している。また、水平尾翼も後退翼である。エンジンは高バイパス比のターボフ

ァンエンジンを装備し、第1世代のジェット機に装備されたエンジンと比べて2倍以上の出

力を発揮するが、従来のエンジンよりも低燃費、低騒音、排気は無煙で、しかも整備も容

易である。エンジン配置は主翼下に2基、垂直尾翼に1基を搭載する一般的な3発の方式

だが、垂直尾翼に装備された第2エンジンの装備方式はダクトを通じて胴体内のエンジン

に空気を取り入れる従来の方式では無く、垂直尾翼内にエンジンを装備する方式を採用

している。この配置方式は安定性の面から言えば不利だが、ダクト式よりもエンジンに均

等に空気を送ることができる。

DC−10はキャビンに2本の通路があるいわゆる「ワイドボディ−ジェット旅客機」の先駆

けで、大量輸送時代を切り開いた第3世代の旅客機である。客室内は従来のナローボデ

ィ−機と比べて広々としており、座席数も格段に向上している。客室内及びコックピットは

完全に与圧されていて、室温も空調設備によって快適な状態に保たれている。

操縦主は機長、副操縦主、航空機関士の3名で、コックピットにはその他に2名分の座席

が用意されている。フロントガラスは大きく、パイロットに良好な視界を提供できる。また、

DC−10はほとんど視界ゼロを意味するカテゴリーVAの気象条件下でも自動着陸する

ことが可能である。

 

<L−1011トライスターとの激しい受注競争>

ロッキードL−1011トライスターはダグラスDC−10と同じ年に開発が始められた最大の

ライバルで、開発開始はL−1011トライスターの方が若干早かったが、逆に初飛行は

DC−10の方が3ヶ月早かった。両者は大きさやエンジンが3発であることなど仕様が似

通っており、激しい受注競争が繰り広げられたことで知られている。米国ではアメリカン航

空、ユナイテッド航空、コンチネンタル航空がDC−10を、イースタン航空、デルタ航空、ト

ランスワールド航空(TWA)がL−1011トライスターを採用、カナダでもカナディアン航空

がDC−10を採用し、エアカナダがL−1011トライスターを採用するなど世界の航空会

社がDC−10とL−1011トライスターで二分した。日本では日本航空がDC−10を採用

したのに対して、全日空がL−1011トライスターを採用した。

DC−10とL−1011トライスターを比較してみると、DC−10の方がどちらかといえば保

守的な設計で、L−1011トライスターの方が先進的であった。しかし、L−1011トライス

ターはロールスロイス製のエンジン開発に手間取り、しかもロールスロイス社が途中で倒

産してしまうなど開発作業は遅れ、受注数でDC−10に差をつけられてしまった。また、

航続距離がDC−10に劣っていたことも致命的であった。ロッキード社も航続距離の不足

は認識しており、後に長距離型のL−1011−100型やL−1011−200型、超長距離

型のL−1011−500型などを開発したが、形勢逆転には至らなかった。最終的な生産

数はダグラスDC−10が1989年までに386機(軍用型を除く)、ロッキードL−1011トラ

イスターが1983年までに250機であった。

 

<貨物扉に重大欠陥、大量輸送時代の悪夢>

ボーイング747型やダグラスDC10型、ロッキードL1011型などの今までとは次元の違

う巨大なワイドボディ・ジェット旅客機の登場によって到来した大量輸送時代は、航空輸送

をより大衆の身近なものにした。しかし、これは万一墜落事故が起こった際には従来では

考えられないような犠牲者が出ることを意味する。「もし満席のワイドボディ・ジェット旅客

機が墜落したら・・・」という誰もが一番恐れたことが1974年3月、現実のものになった。

トルコ航空981便、ダグラスDC10型ジェット旅客機はイスタンブール発パリ経由ロンドン

行きの定期便で、3月3日、午後12時10分にパリ・オルリー空港を離陸し、ロンドンに向

かった。この日は英国航空のストライキの影響でトルコ航空981便ダグラスDC10は満席

状態で、乗客の半分以上は英国人であった。高度23000フィートに向けて上昇中、高度

11500フィートでDC10の貨物扉が突然開き、同時に貨物扉は飛散、急減圧が起き、貨

物扉上の客席床が崩壊し、乗客6名が座席ごと開口部から機外に吹き飛ばされてしまっ

た。この影響でエレベーター、ラダーのコントロールケーブルと第2エンジンが重大な損傷

を受け、DC10型旅客機は操縦不能に陥り、パリの北東約37キロの地点にあるエルムノ

ンビルの森に時速約796キロで突っ込んだ。DC10は森を東から西に長さ700m、幅10

0mに渡って切り裂き、バラバラになって散乱した。事故の原因は現代科学の粋を集めた

はずのDC10の貨物扉に重大な設計ミスが存在したことだった。DC10の貨物扉は電動

モーターによってロックされる仕組みになっていて、完全にロックされて初めて整備員がド

ア・ハンドルとベント・ドアと呼ばれる安全装置を閉めることができるようになっていたが、

装置の剛性不足のため、変形し、完全にロックされていなくても閉じることができ、しかも

操縦席の警報ランプも点灯しない状態になっていた。そして、トルコ航空981便DC10型

旅客機は貨物扉が完全にロックされないまま離陸し、高度が上がるにつれて与圧に耐え

切れなくなり、ついに高度11500フィートで開いてしまったのである。この事故で乗員12

名、上空で機外に放り出された6名を含む搭乗者346名全員が死亡した。この犠牲者の

数はこれまで起こった最悪の事故の倍以上であった。

 

<バリエーション>

○DC10−10型: 最初の量産型。最大座席数380席で、エンジンはジェネラルエレクト

             リック(GE)CF6−6D(推力18160kg)またはGE CF−6D1(推力

             18610kg)を装備。122機生産された。

○DC10−10CF型: DC10−10型の貨客混載型(コンバーチブル)。生産数9機。

○DC10−15型: 基本的にDC10−10型と良く似ているが、エンジンをGE CF6−50

             C2F(推力21110kg)にパワーアップし、最大離陸重量を増してい

             る。生産数は7機。

○DC10−30型: 航続距離を延長した長距離国際線型。主翼を3.05m延長するとと

             もに燃料タンク容量を拡大している。また、増大した重量に対応する

               ために胴体下に着陸装置が追加された。エンジンはGE CF6-50A

             (推力22250kg)またはGE CF6−50C(推力23150kg)を装備

             している。DC10−30シリーズは161機生産された。

○DC10−30CF型: DC10−30型の貨客混載型(コンバーチブル)。エンジンはGE

               CF6−50C1(推力23840kg)を装備する。生産数26機。

○DC10−30ER型: DC10−30型の長距離仕様。燃料タンクをさらに増やし、エンジ

               ンをGE CF6−50C2B(推力24520kg)にパワーアップしてい

               る。少数(3〜4機)生産された。

○DC10−40型: 大陸間長距離国際線型。DC10−30型と良く似ているが、エンジン

             が初期型22機はプラットアンドホイットニー(P&W)JT9D−20(推

             力22430kg)、後期型20機はP&W JT9D−59A(推力24060

             kg)と異なっている。生産数は42機。

○KC−10Aエクステンダー: 米国空軍に60機採用され、1981年から配備が開始され

                     されたDC10−30CF型ベースの空中給油機。

 

dc10-axx1.jpg (26422 バイト)

 

dc10-axx2.jpg (23063 バイト)

AD2002 8/11 Update

SevenSeas-home-2.gif (944 バイト)