Tupolev Tu-160 BLACKJACK Strategic Bomber
| 初飛行年 | 1981年 |
| 全長 | 54.1m |
| 全幅 | 後退角20度: 55.7m 後退角35度: 50.7m 後退角65度: 35.6m |
| 全高 | 13.1m |
| 通常離陸重量 | 267600kg |
| 最大離陸重量 | 275000kg |
| エンジン | サマラ/ツルドNK−32ターボファン×4 ドライ推力 137.3kN アフターバーナー時推力 226.5kN |
| 最大水平速度 | 高高度: 2000km/h 海面高度: 1030km/h |
| 航続距離 | 通常兵装時: 14000km 最大兵装時: 10500km |
| 燃料容量 | 160000kg |
| 上昇限度 | 16000m |
| 兵装 | AS−15×12発またはAS−16×24発 爆弾類通常搭載量: 9000kg 爆弾類最大搭載量: 40000kg |
| 離陸滑走距離 | 2200m |
| 着陸滑走距離 | 1600m |
| 乗員 | 4名 |
| 使用国 | ロシア(12機 エンゲルス基地の第1重 爆連隊に配備、その他にテスト 用6機が配備され、ウクライナに 19機が保管されている) |
<特徴>
Tu−160ブラックジャックは4基のアフターバーナー付き大型エンジンを装備し、
可変翼を装備するなど米空軍のB−1大型爆撃機の影響をかなり受けており、
全体的な構成もよく似ている。しかし、大きさはTu−160の方が一回り大きく
B−1よりも航続距離や兵器搭載量で勝っている。そのため、Tu−95ターボプ
ロップ爆撃機以外に有力な戦略爆撃機を有していなかった旧ソ連にとって本機
はかなり魅力的なものであった。実際、旧式化の著しい遠距離航空軍に100機
単位での配備が計画されていたが、1980年代中頃から顕著化した旧ソ連の
急激な財政悪化に加えて旧ソ連の崩壊という最悪のシナリオをたどったため
最終的な生産数は40機程度に止まった。
Tu−160は現用の爆撃機としてはトップクラスの兵器搭載量を誇る。標準的な
兵器搭載例は、回転式ランチャーにAS−15ケント(ロシア名 Kh−55)巡航ミサ
イルを6発(2つの爆弾庫を持つので合計12発)、AS−16(ロシア名 Kh−15P)
短距離巡航ミサイル12発(合計24発)を装備することが出来る。AS−15ケント
は1970年代末に開発された長距離空中発射型巡航ミサイルである。外見はトマ
ホークによく似ており、全長7.1m、発射重量1500kg、誘導方式は等高線照合付
慣性、推進方式はターボファン、射程3000km、弾頭は200kT核弾道である。外見
はトマホークによく似ており、潜水艦発射バージョン(SS−N−21サンプソン)も存在
しているが、今のところ通常弾頭型は開発されていない。AS−16キックバックは19
80年代初頭に開発が始まった空対地ミサイルで、全長4.78m、発射重量1200kg
、誘導方式は慣性・ミリ波アクティブレーダー、推進方式は固体、射程150kmで、対
艦攻撃バージョンや対レーダーバージョン、HE弾頭バージョン、地上攻撃用核弾頭
バージョンなどが有る。また、ミサイル類の他にも核爆弾や通常爆弾も搭載すること
が可能で、最大搭載量は40000kgである。
Tu−160の用途は敵国本土に直接侵攻することで、無給油で北米のほぼ全域と
ヨーロッパの全域、南はインドやシンガポールなど南米を除いた全世界をカバー
することが出来るほどで、最大航続距離は14000kmにも達する。
<開発&設計>
Tu−160は旧ソ連発の本格的ジェット長距離戦略爆撃機としてツポレフ設計局
によって開発が始められ、1981年12月9日には試作機が初飛行している。西
側では1981年11月25日にアメリカの偵察衛星により確認され、Ram−P(西
側では1980年代に登場した旧ソ連の新鋭機に対してRamのコードネームを与
えていた)というコードネームが付けられた。Tu−160の目的は戦略核兵器や在
来型爆弾を敵国の中枢に投下することである。そのため、本機は全天候作戦能
力を有し、昼夜問わずいかなる環境下でも作戦を継続する能力がある。Tu−16
0は外見が似通っていることから、しばしば米軍のB−1B戦略爆撃機と比較され
るが、全体的な性能はTu−160の方が勝っている。ちなみに、最大航続距離は
14000km、実用上昇限度は16000mで、最大飛行速度は高高度で2000km
/h、低高度で1030km/hである。胴体と主翼固定部はブレンデッド・ウイング・
ボディ方式で整形され、固定翼部の前縁はきつい後退角を持ち、緩やかな曲線
を描いている。また、機体構造には多くのチタンや複合材が用いられている。
主翼は超音速でも亜音速でも高い飛行性能を発揮するために可変翼構造になっ
ており、後退角20度から後退角65度までの範囲で作動する。水平尾翼及び垂
直尾翼は全遊動式で、垂直尾翼は水平尾翼が取り付け部から上が動くようにな
っている。飛行操縦装置はフライ・バイ・ワイヤが用いられている。降着装置は3
脚で、メインギアは3輪ボギーのダブルタイヤで6輪、ノーズギアはダブルタイヤ
で、離陸滑走距離は2200mである。兵器搭載量は最大40トンで、核兵器や
長距離巡航ミサイル、通常型爆弾などを装備できる。また、自衛用の機関砲は
装備されていないが、アクティブECMやレーダー警戒装置、多数のチャフ/フレ
アディスペンサーを備え生存性を高めている。
乗員は操縦士、副操縦士、航法士、システム操作士の4名で、各座席にはK−
36ゼロ/ゼロ式射出座席が装備されている。これにより、地上駐機時を含めて
あらゆる高度・速度でも乗員は安全に脱出することが出来る。コックピットの表示
装置はヘッドアップディスプレイではなく従来型の計器パネルになっている。また、
操縦操作は戦闘機のようなスティックで行われる。アヴィオニクスは高度にコンピ
ューター化されており、地形追随機能付きの航法/爆撃レーダー「オブソールK」
をはじめ、兵器照準装置、電子妨害対抗システム、自動制御装置などの統合化
されたシステムを持つ。さらに、機首前方には目視照準用の前方TVカメラが装備
されている。
エンジンはそれぞれ25000kgの推力を発生するNK−32ターボファンエンジン
4基が翼根本付近にポッド式で装備されている。空気取り入れ口は可変式で、調
節可能な垂直板が内部に組み込まれている。機首部には引き込み式のブローブ
があり、必要の無いときは収納される。燃料最大搭載量は160000kgである。
Tu−160の量産は1987年よりタタールスタン共和国のカザン航空機産業共同
体によって開始された。当初の計画では100機+以上の生産が見込まれていた
が、旧ソ連末期の慢性的な財政難と冷戦終結、ソ連崩壊の影響で総生産数は
40機程度に止まり、1992年に生産を終えた。また、最近では巡航ミサイルの
技術を応用したブラーク・ディアナと呼ばれるロケットを胴体下面に搭載して衛星
を打ち上げるTu−160SKと呼ばれるタイプが開発されていて、在来型のロケット
と比べて安価なコストで打ち上げを行うことが出来るとして、売り込みが図られて
いる。


↑AS−15巡航ミサイルを投下した所