ツポレフTu−95ベア戦略爆撃機Tupolev Tu-95 Bear Bomber |
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| ↑データはMS型
<特徴> 1、二重反転方式エンジンを装備Tu−95は4基の二重反転方式ターボプロップエンジンを装備する。ターボプロップエ ンジンが装備されたのは、ピストンエンジンでは要求された性能が達成できず、当時の ジェットエンジンでは長距離爆撃機としての航続性能が達成できなかったためである。 このエンジンは最大出力12000馬力もある強力なエンジンで、直径5.59mの4枚 ブレードAV−60プロペラを2つ備えて、二重反転方式で回している。正確な回転数は 不明だが、これをかなり遅い回転数(1500rpm程度)で回すことにより、プロペラ先 端速度を低くすることができ、それがプロペラによって生じる抵抗を減らし、高速での 飛行を可能にしている。
2、長大な航続距離を有するTu−95は燃料効率の良いターボプロップエンジンを装備しているため、非常に長い 航続性能を有している。燃料は主翼タンク内におさめられ、通常の容量は95000リ ットルで、前部胴体右舷に付けられているダクトを通って主燃料タンクに送られる。T u−95は現在に至るまで空軍の戦略爆撃機の主力を勤め、Tu−160が登場する までの長期間に渡って、無給油でアメリカ本土を爆撃できる唯一の爆撃機であった。 また、Tu−95KD以降は空中給油ブローブが機首ブローブ内におさめられていて、 さらに航続距離を延ばしている。このブローブは空中給油時にはさらに0.5m前方 に延びるようになっており、夜間の空中給油の際にはブローブ両脇の機首上面のフ ラッシュライトが明かりの支援を行う。
<開発&設計> Tu−95はアメリカ軍のB−29戦略爆撃機のコピー版である、Tu−4ブルに代わる 新しい爆撃機として計画されたものである。当初はTu−4の改良型Tu−80や、空 力学的により洗練されたTu−85などの爆撃機が開発されたが、いずれもレシプロ エンジンでは要求された性能を達成するのが困難であり、朝鮮戦争ではアメリカの 誇るB−29が最新のジェット戦闘機MiG−15により手酷い打撃を受け、もはやレシ プロエンジンに未来が無いことは明白であった。そこで、新たにT−4と呼ばれるジェ ット爆撃機を開発することになった。しかしながら、当時ソ連の保有していたミクリン AM−3ターボジェットエンジンでは燃料効率が悪すぎて、長距離爆撃機としての航 続性能が達成出来そうに無かった。ツポレフ設計では中央航空流体力学研究所と 討議し、より燃料効率の良いターボプロップエンジンを装備した機体を設計局呼称 「95」と呼ばれる機体を提案した。政府は1951年7月11日に開発計画を承認し、 これを受けて1952年にはTV−2Fエンジン8基を装備した試作機「95/1」が完成 し、1952年11月12日に初飛行した。95/1は2基のTV−2Fを並列に配置し、両 方のエンジンから減速ギアを介して中間上部に設定された1本の出力軸に動力を伝 達するという複雑な構造を有しており、エンジンは過熱しやすく発火の危険が大きか った。そして、1953年5月13日には試験飛行中に火災事故を起こし、機体は墜落 炎上してしまった。その後、より強力なTV−12エンジンを4基装備した試作機「95 /2」が1954年2月6日に完成し、1955年2月16日に初飛行いた。この機体は信 頼性が高く、試験でも最高速度933km/h、航続距離15000kmをマークし良好な 成績をおさめた。1955年夏のツシノ航空ショーで初めて公衆の前に姿を現し、西側 ではベアというNATOコードネームで呼ばれるようになり、1956年から旧ソ連空軍へ の配備が開始された。Tu−95の胴体構造は前部与圧キャビンと、後部与圧キャビン 、中央の爆弾庫からなり、胴体は円形断面で、胴体直径はTu−4(B−29)と同じで ある。この与圧キャビンは排気式タイプであるが、重量節約を必要とする状況や戦闘 時の生存性確保を必要とする状況では、キャビンは低下した一定の圧力に維持され、 その際、高高度では乗員は酸素マスクをつける必要がある。前部与圧キャビンには 操縦士と副操縦士の他、通信士、航法士の他にECMオペレーターと最前部に爆撃手 が乗り込んでいる。後部与圧キャビンには観測士と、後部機関銃手が乗り込み、合計 で7名乗りである。前部下方にはNATO名ショート・ホーン爆撃用レーダーが装備され ており、大きな工業地帯ならば100kmの距離から探知可能で、爆撃に使用可能な高 度領域は3000〜10500mとなっている。また、有視界爆撃の際にはオートパイロット AP−15と統合した方位角同期式光学照準器OPB−5srが使用される。パイロット前 方の風防にはトリプレックス(プラスチックを珪酸ガラスではさんだ3重ガラス) が使用さ れ、除氷のため電熱装置が組みこまれている。機体中央部には巨大な爆弾庫があり、 この部分は非与圧である。爆弾の最大搭載量は12000kgで、50MT水爆以外ならば ほとんどの爆弾を収容することができる。爆弾庫の後方には中央胴体燃料タンクがあり 、そのさらに後方にはAM−23 23mm連装機関砲の上部引き込み式遠隔操作砲塔 が装備されており、操作は前方の半球系ガラス・キャノピーから遠隔操作される。後方 下部にも遠隔操作式のAM−23 23mm連装機関砲が装備されている。胴体最後部 にはNATO名ビー・ハインド射撃管制レーダーで制御された防御砲塔があり、同じくAM −23が装備されている。 機体の操縦は2本の操縦輪と2つのペアのフットペダルにより行われ、機力操縦装置が 補助する。エルロンと尾翼の操舵は原状復帰式の油圧ブースト装置により行われるが、 エルロン操作は部分的にワイヤを用いられる。油圧システムは、高圧と低圧の2種のシ ステムから成る。高圧システムの圧入は電気駆動の自動油圧ポンプにより、低圧システ ムはエンジンに組みこまれた油圧ポンプによって圧入が行われる。 Tu−95の主翼は中翼式に配置され、Tu−16の設計時に得た経験と、中央流体力学 研究所の技術情報を最大限に利用された。また、25%翼弦で内翼部が37度、外翼部 が35度という、ターボプロップ機には珍しい、きつい後退角が付けられているが、これは Tu−95が高速機であることを示している。主翼前縁や尾翼、プロペラブレード前縁、スピ ンナーには電気的凍結防止システムが施されている。 エンジンは4基のグズネツォフNK−12ターボプロップエンジンである。エンジン・カウリン グ前縁はコンプレッサーからの高圧空気により暖められるようになっている。各エンジン には2基ずつ合計8基のGSR−18000M発電機が装備されていて、機体の各部に電力 を供給している。燃料システムは燃料タンクと自動燃料消費計測システムからなり、このシ ステムは飛行中の期待が許容する重心位置を算出することができる。 降着装置は油圧による引き込み3脚式である。主脚は4輪ボギー式で、タイヤ直径は約1 .50m、油圧により内部膨張するブレーキを備えている。前脚はダブルタイヤで操向が可 能。総ての脚が後方に引き込まれ、主脚は主翼後縁に設けられたナセル内に収められる。 ベアシリーズは再生産が行われたTu−95/Tu−142も含めて、総ての生産が終了して いる。爆撃機型の海外輸出は行われておらず、現在ロシア以外で本シリーズを使用してい るのは、インド海軍が哨戒型Tu−142MベアFMod3を運用しているだけである。 また、START−1条約が締結された時点で、旧ソ連空軍には84機のTu−95MSと63 機のTu−95K−22、Tu−95K及びTu−95M、11機のTu−95Uなどが残っていた。 旧ソ連の崩壊でTu−95は各共和国に取り残された。ウクライナには1個飛行部隊のTu −95MS 23機、Tu−95K 1機などが残ったが、これらはSTART−1条約に基づい て保管状態に置かれた。しかし、1999年、ガス負債の引き換えとして11機の爆撃機が ウクライナからロシアに返還されたが、この中に3機のTu−95MSが含まれていた。な お、ソ連崩壊時カザフスタンにもTu−95が配置されていたが、こちらは全てロシアに引 き上げている。Tu−95は現在もロシア軍の主力爆撃機として重要な役割を担っている。 後期型は2010年から2015年ごろまで任務にとどまるであろうが、具体的な次期爆撃 機構想が現在のロシアには無いので、さらに長期間に渡って使用されるかもしれない。
<各種タイプ> ○Tu−95ベアA: 最初の量産型、1957年10月に空軍に配備され、第1シリーズの 生産は1958年まで続いた ○Tu−95MベアA: エンジンを出力強化型のNK−12Mに換装されたパワーアップ 型、生産は1958年まで続いた ○Tu−96: 高高度用エンジンTV−16を装備する高高度用大陸間戦略爆撃機として 計画された機体であるが、時代とともに高高度爆撃の有用性が薄れたた め、計画も中止になった ○Tu−95V: ソ連では1954年から爆発威力100MT(MT=爆発威力 TNT火薬換 算で1億トン)のスーパー水爆が研究されたいた。Tu−95Vはこのスー パー水爆を搭載するために改造されたものである ○Tu−95N: RSと呼ばれる特殊爆撃機を懸吊するために改造されたタイプである。R Sは高度な防空システムを持つアメリカ本土を爆撃するために開発され た特殊爆撃機で、目標付近までTu−95Nによって運搬され、目標手前 で切り離されるようになっていた。しかし、弾道ミサイルや巡航ミサイルが 相次いで実用化したため、RS計画は中止になった ○Tu−95LAL: 航空機用原子炉の実験機として登場し、1961年5月には実際に原子 炉を搭載して飛行し、数十回に渡って実験が行われた。しかし、事故 が起こった際の環境への影響や、原子炉の重量が重すぎたため、19 60年代中期には航空機用原子力動力装置のすべての作業は中止さ れた ○Tu−95LL: ターボジェットエンジンのテストベットととして95−2の機体を改造したタイプ ○Tu−95KベアB: AS−3カンガルー(ロシア名Kh−20)超音速空対地巡航ミサイルを 搭載するミサイル運搬機で、1956年に登場し、後に登場したKシリー ズを含めた生産は1965年まで続けられた ○Tu−95K−20ベアB: K型に円周走査を行うミサイル照準/誘導用レーダーステーシ ョンを含む誘導コンプレックス、K−20を搭載したタイプ ○Tu−95KD: K型に空中給油装置を追加そたタイプ ○Tu−95KMベアC: K型及びKD型の電子兵装を近代化し、電子偵察装置(ELINT)を 搭載した型 ○Tu−95RTベアD: ソ連海軍用の長距離偵察/ミサイル目標指示機。ビッグ・バルジ探 索レーダーや、ビデオ・データ・リンク(VDL)などを装備している。長 距離対艦ミサイルを搭載する水上艦や、沿岸ロケット部隊のために 偵察/目標指示をすることを任務とし、1966年春から部隊配備が 開始された ○Tu−95MRベアE: 1950年代末に改造されたTu−95Mの戦略偵察型 ○Tu−95UベアT: Tu−95、Tu−95M型の練習機型 ○Tu−95KU: Tu−95K型の練習機型 ○Tu−142ベアF: 潜水艦探索用レーダーと使い捨てソノブイを搭載した対潜哨戒機型。 尾部には磁気異常探知(MAD)アンテナを装備している ○Tu−142LLベアF: Tu−142を改造したエンジン試験機 ○Tu−95K−5: AS−6キングフィッシュ(ロシア名KSR−5)を搭載するために開発され たタイプである。しかし、AS−4キッチンを搭載するK−22型が開発さ れたため、K−5型は量産されなかった ○Tu−95K−22ベアG: Tu−95KM型の後継として開発された巡航ミサイル運搬機。 搭載するミサイルはAS−4キッチン(ロシア名Kh−22)で、誘 導レーダーとしてNATO名ダウン・ビートが搭載されている。また 、後部機関砲システムは撤去され、代わりにECM装置が搭載さ れた ○Tu−95M−55: AS−15ケント巡航ミサイルを搭載したタイプで、量産型はTu−95M Sとなった ○Tu−95MSベアH: Tu−95シリーズの最新型で、新型巡航ミサイルAS−15ケントを 装備している。AS−15巡航ミサイルは最大射程3000kmを誇る 戦略巡航ミサイルで、現在のロシア核戦力の重要な1つになってい る。Tu−95MSの量産が決定した時点で、既にタガンログにおける 生産ラインが閉鎖されていたが、1983年にMS型の生産のために 再開された経緯を持つ。MS型は海軍向けの哨戒機Tu−142の 機体フレームを使用し、コックピット部の天井が高くなっているが、コ ックピット回りの設計が変更されているため、全長はTu−142よりも わずかに短くなっている。ベアHシリーズは全部で80機が製造され、 1984年に初度作戦能力を獲得している ○Tu−95MS−6ベアH−6: ベアHシリーズの最初の量産型、胴体内の兵器倉庫に回転式 ランチャーを装備し、AS−15ミサイルを6発収容する ○Tu−95MS−16ベアH−16: 量産17号機以降から改造された仕様で、主翼下のハード ポイントにも新たにAS−15ミサイル10発を搭載できる ようにしたタイプ(従って合計搭載数は16発)。MS−6型 も後に全機がMS−16型仕様に改められている。 ○Tu−142MRベアJ: Tu−142M型をさらに改造した、空中通信機。主に戦略原潜との 通信に用いられる
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