| >トップページに戻る
|
||||||||||||||||||||||||||||||
ボーイングB−707旅客機Boeing B-707 |
||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||
| ↑データはB−707−320C型
<開発> 爆撃機の開発でジェット機開発の経験を積んだボーイングは民間用ジェット旅客機市 場への参入を狙っていた。1950年代初期、ボーイング社はモデル377ストラトクルー ザーなどの民間機を製造していたが、ライバル社のダグラスやロッキードど比較して ボーイングのシェアは低かった。しかも、ジェット旅客機に関してはイギリスが開発した コメットの独壇場であった。 まず、ボーイングではB−29スーパーフォートレス戦略爆撃機から発展したC−97 ストラトフレイター(モデル367)軍用輸送機をジェット化又はターボプロップ化したモ デルを提案したが、あまり良い反応を得ることが出来なかった。そこで、ボーイングは 1600万ドルの開発資金を投入しB−47ストラトジェット戦略爆撃機をベースにした本 格的な新型旅客機を開発することを決定し、こうして誕生したのがB−707のプロトタ イプとなるモデル367−80(通称ダッシュ80)であった。モデル番号は機密保持のた めC−97軍用輸送機と同一になっており、ダッシュ80とはB−47をベースに80番目 に設計された機体の意味である。 開発は順調に進んだが、当時まだ大型ジェット旅客にどれ程の需要があるのか未知 数であった。ボーイングは万が一民間型が売れなかった場合を考慮し、軍に空中給 油機としてモデル367−80を提案、当時KC−97給油機の後継機を求めていた求 めていた軍の思惑と一致したため、契約は即決した。この契約によってボーイングは 生産設備に「保険」をかけ、開発資金を得ることに成功したのである。モデル367− 80は機内のキャパシティが広く、さらにジェット化されているので戦闘機や爆撃機と速 度や高度を合わせやすいという利点があり、空中給油機には最適の機体でもあった。 モデル367−80は1954年5月14日にロールアウトし、1954年7月15日に初飛行 を果たした。当時、民間型よりも軍用型の開発が進行しており、このプロトタイプも初飛 行後、ボーイングが開発したブーム方式の空中給油装置を搭載して飛行試験に従事 している。初飛行から5ヵ月後の1954年10月5日、空中給油型(設計名称:モデル7 17、軍名称:KC−135ストラトタンカー)に対する最初の発注が軍からなされ、以後、 モデル717(KC−135ストラトタンカー)をベースに電子戦型や偵察型など数多くの 発展型が開発され、最終的に軍用型だけで生産機数は800機を越えた。 その後、米空軍から民間型製作の許可を得て、ボーイングでは本格的に民間型の開 発を開始した。最初の民間用量産型はB−707−120と呼ばれるモデルで、1955年 10月13日にはパンアメリカン航空がついに「米国製」ジェット旅客機に対する最初の 発注を行った。パンアメリカン航空向けの最初の機体が1957年12月20日に初飛行 を行い、同年8月にはパンアメリカン航空に納入された。 当初、パンアメリカン航空(PANAM)は世界に先駆けてジェット機による大西洋横断路 線を開設することを狙っており、実際に1958年8月に就航予定であった。ところが、前 脚が折れるというトラブルに見舞われ、路線就航は2ヶ月遅れ、悪いことにその間に英 国のデハヴィランド・コメット4型に「世界初のジェット機による大西洋横断路線」の栄光 を奪われてしまった。BOAC(英国海外航空)のデハヴィランド・コメット4型が大西洋横 断路線に就航したのは1958年10月4日、一方パンアメリカン航空B−707−120 によるニューヨーク〜ロンドン路線が開設されたのは1958年10月26日、まさに寸前 の差であった。ただし、パンアメリカン航空の同路線は実験的意味合いが強く、実際に B−707−120型は国内線仕様だったため、すぐに大西洋横断路線から本来就航 予定だった国内線に戻されている。 その後、パンアメリカン航空は真の国際線仕様となる長距離型のB−707−320型 「通称:大陸間横断機(インターコンチネンタル)」を受領し、1959年10月10に路線就 役させた。
<設計> ボーイングB−707は35度の後退角を有する後退翼を装備するなど空気力学的に見 て従来のボーイング製民間機(モデル377ストラトクルーザーなど)よりは、むしろボー イングB−47ストラトジェット戦略爆撃機に近いものになっている。エンジンは翼内に 埋め込む方式をとった英国のコメットと違い、B−47と同じように翼下にポッド式に装 備する方法をとっているが、エンジンが故障した際に被害が別のエンジンに及ばない ようにB−47の様に2つまとめて装備する方式では無く、B−707では1つ1つ個別に 配置する方式をとっている。
<生産> B−707はベストセラーになり、1991年5月に生産ラインが閉鎖されるまで実に30年 以上の長きに渡って生産が続けられ、民間型のB−707シリーズだけで1010機も製 造された。この数字にはB−720の156機も含まれているが、軍用型のKC−135空 中給油機シリーズは含まれていない(軍用型の製造数は各種タイプ合わせて820機) 。ちなみに、日本の航空会社でB−707を導入した所は無い(日本航空はB−707の ライバル、ダグラスDC−8を導入した)。これは1950年代当時、ボーイングというと太 平洋戦争中の爆撃機「B−29」を連想する国民が多かったのも影響している。
<バリエーション> ○モデル367−80: B−707のプロトタイプで、1954年7月15日に初飛行した。 エンジンはプラットアンドホイットニーP&W JT3Pターボジェット エンジン(推力4309kg)を4基装備。 ○B707−120: 最初の生産型。エンジンはプラットアンドホイットニーP&W JT− 3C−6(推力6123kg)×4基。 ○B720: B−707を元に開発された短胴型。 ○B707−120B: エンジンをターボファンエンジンのJT3D−1(推7711kg)又は JT3D−3(推力8165kg)にパワーアップし、B−720に取り入 れられた空気力学的改良を導入したモデル。 ○B707−220: エンジンをJT4A−3ターボファンエンジンにパワーアップしたモデ ル。 ○B707−320: 通称「インターコンチネンタル」と呼ばれる国際線仕様の長距離 型。翼幅が3.53m長くなり、胴体も2.03m延長されている。 エンジンはパワーアップ型のJT4A−11(推力7938kg)ターボ ファンエンジン。 ○B707−320B: 通称「インターコンチネンタル」。空気力学的改良を施し、エンジン をJT3D−3(推力8165kg)にパワーアップしたモデル。 ○B707−320C: B−707−320Bから発展した多用途機。典型的な座席配置 ファーストクラス14席、エコノミークラス133席だが、1クラス国内 線仕様にすれば最大219席まで増やせる。また、貨客混載型、 貨物型としても運用することができ、貨物型は上部メインフロアに 最大でタイプAコンテナを13個搭載することが出来る。加えて下 部貨物室にも通常の貨物を搭載可能である。 通称「コンバーティブル」。 ○B707−420: B−707−320のエンジンをロールスロイス・コンウェイMk508 ターボファンエンジンに換装したモデルで、BOAC(英国欧州航空) などで少数が使用された。 ○VC−137: アメリカの政府専用機。B−707−120型をベースにしたVC−137 A型、A型をターボファン化したB型、B−707−320B型をベースに したC型があり、製造数はA/B型3機、C型2機の合わせて5機。19 90年にB−747−200をベースにしたVC−25が導入されるまで、 アメリカ大統領専用機「エアフォースワン」としても活躍した。
2002/03/25 Update |