トップページに戻る

BM−21グラード多連装ロケット発射機

BM-21 Grad MRL

 
名称 9K51(産業名称)

BM−21グラード(あられ)

連装数 40
口径 122mm
ロケット長 3.23m
ロケット重量 77.5kg
弾頭重量 19kg
飛翔安定方式 翼・旋動
射程 20.5km
飛翔最高速度 450m/秒
ロケット燃料 固体
弾頭種類 HE、化学、焼夷弾、発煙
俯仰角 0度/+55度
旋回角 230度
搭載車両 URAL−375 6×6トラック
発射機形式 チューブ
全備重量 11500kg
全長 7.35m
全高 2.85m
全幅 2.69m
エンジン ZIL−375ガソリンエンジン

V8 175馬力

最高速度 75km/h
最高航続距離 405km
超壕能力 0.875m
超堤能力 0.65m
登板能力 30度
渡渉水深 1.0m
使用国 ・ロシア(336両 ウラル以西地域のみ)

その他少なくとも50ヶ国で配備されている

総生産数 2000両以上
 

<開発>

BM−21グラード(「あられ」の意味)はツーラのスプラブ設計局(ロシアの大半のロケ

ット兵器を開発している)によって、1950年代半ばに開発が開始された多連装ロケット

システムで、1963年に部隊配備が開始されている。戦後のソ連軍の代表的な多連装

ロケットシステムで、世界各国に輸出されて、この種のシステムの原型となった。

グラードの原型はウラル375D 6×6トラックをベースにしており、このトラックの荷台

にチューブ状の40連装ロケット発射機を搭載している。ランチャーは俯仰角0〜55度

、旋回角は無防備の運転席と照準装置があるため左140度、右90度に限定されて

いる。照準装置はトラックの右側にある伸縮式パイプのついた架台に積載されており、

発射前に架台を固定するようになっている。

 

<武装>

4段に並んだ40門の発射筒が、ウラル375トラックの後部車輪の上に旋回できるよう

に搭載されている。ロケット弾40発の一斉射撃は数秒で終わり、連続射撃なら30秒か

かる。また、単発射撃も可能である。なお発射時には、最後部の2本のスタビライザー

アームでトラック車体を固定する。

グラードのロケットは直径は122.4mmで、最大射程は20.5キロメートルである。最

小射程は1500mだが、直接照準での射撃の際には400〜500mである。このロケット

はBM−14の140mmロケットよりも射程が長く、破壊力が大きいとされる。また、分厚

い鉄製の弾殻が無く、炸薬量も多い。ロケット弾は、1段式の固体燃料を使用し、「有翼

旋動」安定式であり、発射後にスプリング付きの安定翼が開く。なお、発射筒内の腔せん

の作用で、ロケット弾はゆっくり回転しながら飛翔する。

ロケット弾の重量は77.5キログラムで高性能榴弾が基本型であるが、グラードは特に

煙弾や化学弾の集中射撃に適し、射撃効果の遅い榴弾砲と異なり、瞬時に煙幕や汚染

地域を構成できる。グラードで致命的な血液剤を発射した場合は、特に有効である。しか

し、このためには集中射撃が必要で、迅速に連続発射すると化学剤の拡散を防ぐ冷却雲

を発生させることが可能である。グラードの1コ大隊で一斉射撃すると、2平方キロメートル

以上にわたる地域を致命的なガスで覆うことができる。ちなみに、化学弾頭はロシア軍で

は既に退役している。

この他の弾頭としては1971年に導入された焼夷弾や、近年フランス企業と共同で開発

された最大射程36キロメートルの高性能榴弾及び対戦車対人キャニスター弾、ブルガリ

アと共同開発された敵の指揮機能を狙い撃ちする電波感応弾などがある。

 

<運用>

旧ソ連軍は、多連装ロケットシステムを「集中射撃システム。敵の人員、火器、戦闘車両

、そのほかの資材を火力集中によって完全に破壊するほか、敵砲迫の制圧のために使

用する。その弾薬は、特に敵の集団攻撃を撃退したり、密集した敵の人員・機材を火力

で打撃するのに有効である。」と定義していた。多連装ロケットは旧ソ連軍の戦術に適合

した攻撃的な兵器であり、短時間に大量の火力を集中できる。砲兵の射撃では、敵に対

応のいとまを与えない最初の弾幕射撃が最も有効であるので、多連装ロケットの射撃は

、敵に対して致命的な奇襲効果が期待できる。多連装ロケットは運動性に富んでいる上、

安価で生産が容易である。そのため大量に装備化でき、ゲリラや発展途上国の軍隊が

好んで用いる要因となっている。ただし、瞬発用兵器としての多連装ロケットは、長砲身

の砲に比べると精度は悪いが、操作は簡単である。

BM−21グラードは前線レベルの直接支援のためのロケット砲兵システムであり、前線

師団の師団砲兵の一部として配備されている。大隊編成が基本で、大隊は12両のグラ

ードで編成されるが、この編成は戦時には18両に増強される。他に軍管区レベルの独

立連隊もあり、連隊は12両(戦時18両)のグラードを装備する3コ大隊からなる。

なお、多連装ロケットは砲兵の区分に含まれているが、野戦砲の代替としてではなく、補

完的なものである。多連装ロケットを奇襲的に手中運用した場合の破壊力は強大である

が、発射速度は低い(グラードの場合再装填に10分かかる)。また、ロケット弾は一般の

弾薬より高価である。

 

<生産>

BM−21グラードは2000両以上が生産され、ロシアと旧ソ連諸国だけでなく、アフガニ

スタン、アンゴラ、ブルガリア、カメルーン、コンゴ(DPRC)、コンゴ(ROC)、キューバ、

エジプト、ハンガリー、インド、イラン、イラク、リビア、モンゴル、ポーランド、ウガンダ、イ

エメンなど数多くの国々に輸出されていて、中国、パキスタン、スロバキア、ルーマニアな

どでは輸入したのちコピー生産が行われている。

 

<バリエーション>

○BM−21VグラードV: 空挺部隊用に小型化した型で、車体はGAZ−66 4×4トラッ

                クになり、ロケット発射機は12連装に減らされていたが、発射

                機は360度旋回が可能であった。ロケット弾はグラードと同様

                だが、使用弾種は高性能榴弾のみである。

○BM−21グラード1: 戦車師団や機械化狙撃師団に付属する砲兵中隊に配備すること

               を意図し、ベース車体にはMT−LB装甲砲兵トラクターが使用さ

               れていた。発射機は36連装であった。

○BM−21−1: 1990年代になって登場したグラードの改良型。ベース車体をURAL4

            320トラックとし、近代化型の40連装ロケット発射機を搭載している。

            この発射機はスプラブ設計局によって開発されたもので、これまでの

            チューブ方式から20本ずつコンテナ式にまとめた方式に変更された。

            これによって再装填時間を短縮させることに成功している。

 

BM-21-1.jpg (21824 バイト)

 

BM-21-2.jpg (19574 バイト)

 

BM-21-3.jpg (18390 バイト)

 

 b301back.gif (1709 バイト) b301home.gif (1761 バイト)