FROGシリーズ無誘導地対地ロケットFree Rocket Over Ground Series |
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<戦術核の戦車及び乗員に対する有効半径>
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| <開発> FROGシリーズは、いずれも核・非核両用の自由ロケットで、最大射程は25〜70km 程度と短めだったが、基本的には師団に戦場用核弾頭の投射能力を持たせるもので、 各大隊には単装型の発射機が2両ずつ配備されていた。このFROGという名称は「Fr ee Rocket Over Ground」または「Freefright Range Over Ground」すなわち 無誘導地対地ロケットの略称で、1959年ごろから米軍で使用されているものである。 核弾頭はいずれもKT(キロトン級)の原子弾頭だったが、通常弾頭も相当数生産され 、東側の衛星諸国や親ソ連諸国に輸出されたものは全て通常型弾頭であった。
<FROG−1> FROG−1(ロシア名: 3R−1 Filin)は1957年に登場した一連のFROGシリーズ の最初のタイプで、JS−3重戦車に搭載されていた。
<FROG−2> FROG−2(ロシア名: 3R−2 Mars)はFROG−1とほぼ同時期に登場したが、JS −3重戦車ではなくPT−76水陸両用軽戦車をベースにした2P16(ただし水陸両用能 力は失われている)に搭載されていた。弾頭部はFROG−1と同じように相変わらず巨 大だが、ミサイルそのものは全体的に小型化され、それに伴い射程も減じている。
<FROG−3> FROG−3(ロシア名: 3R−8 Luna)は1960年に登場したタイプである。以前のF ROGとの最大の違いはタンデム2段式になっているところで、これに伴い射程が延伸 されている。なお、以降のFROG−3/4/5の搭載車両にはFROG−2と同様PT− 76軽戦車を改造した2P16が用いられていた。
<FROG−4> FROG−4(ロシア名: 3R−9 Luna)は本質的にはFROG−3と同一のロケットだ が、弾頭部が小型化されており、射程距離が向上している。
<FROG−5> FROG−5(ロシア名: 3R−10 Luna)はFROG−3/4と同様タンデム2段式の ロケットだが、ロケット本体の直径が増して、弾頭部と均一になっているのが特徴であ る。また、モーター部分が若干短くなっている。
<FROG−6> FROG−6は訓練用ロケットで、ZIL−157 6×6トラックに搭載されていた。
<FROG−7> FROG−7(ロシア名: 9K52 Luna)は、FROGシリーズ短距離無誘導弾道ロケット の最も新しいタイプで、現在もロシア軍の基本的な核発射システムであり、戦術航空機 や新型核弾頭発射用ミサイルを補完している。FROG−7の性能は射程は70km、C EP(半数必中界)500〜700mである。弾頭には450キログラム高性能炸薬通常弾 (HE)とクラスター子弾(FROG−7Bのみ)、436キログラム化学弾頭、それに3種類 の核弾頭、即ち初期の原子弾頭AA−22と改良型のAA−38(いずれも核出力は20 KTまで)、後期の熱核(水爆)弾頭AA−52(最大核出力200KT)が用意されていた。 ちなみに、核弾頭はソ連軍専用で、国外に供与されたFROG−7は全て通常型弾頭 だった。1968年には改良型のFROG−7Bが登場したが、これは弾頭部分が若干 大型化されているだけで本質的には同じロケットである。 FROG−7は、8輪のクレーン付きZIL−135トラックに搭載されている。このTEL車 両は初期のFROGシリーズが使用していた戦車のシャーシよりも信頼性が高かった ため、スカッドBと同じように更新されたもので、路外機動性もよく、最大航続距離は 400kmである。ただし、NBC防護能力は備えていない。また、同型の装填機搭載車 も用意されていて、こちらには予備のロケット3発が搭載されている。なお、旧型のFR OGシリーズでは再装填に専用のクレーン車両が必要であったが、FROG−7ではT ELに水力クレーンが付いているので、その必要が無い。 FROG−7はスピン安定の無誘導ロケットなので、俯仰調整と速度制御によって照準 する。この際、ブレッドビン・レーダーとエンドトレー・レーダーを使ってFROGの弾道 に影響を及ぼす気象諸元を決定する。FROG−7の射撃陣地は接触線から8〜18 km付近に選定され、防御の場合は攻撃の場合より25〜50%広く離隔して陣地占 領する。FROG−7は路外機動性のよいZIL−135TELを搭載車として使用してい るため、発射後の陣地移動を円滑に行うことができる。これは、生存性の点で大き なプラスである。 FROG−7の典型的な大隊はFROG発射機2両と再装填車両2両、エンドトレー・レ ーダー搭載車両1両、ブレッドビン・レーダー搭載車両1両からなる中隊2個で編成 されていて、戦車師団と自動車化狙撃師団に配備されている。 旧型のFROGは全て退役したが、FROG−7は現在でもロシア軍で使用されている。 少々古いデータだが、1987年の時点で、欧州方面に500基(SS−21を含む)、 極東・中国方面に215基、西アジアとトルコ方面に100基のFROG発射機が配備さ れ、75基が予備として補完されていた。なお、この数値には旧型のFROGも含まれ ているものと思われる。 FROG−7は旧ワルシャワ条約機甲諸国やキューバ、エジプト、シリア、イラク、クウ ェート、リビア、北朝鮮、イエメンなど他の友好国に輸出されており、イラクでは射程 を90kmに延長した改良型のLaithが製造された。また、アフガニスタンには旧ソ連 が政府軍に供与したものや遺棄したものを含めて相当数が残存しているものと思わ れる。
<実戦運用> FROGは1973年の第4次中東戦争で大々的に使用され、エジプト軍はシナイ半島 のイスラエル軍基地や空港にFROGを撃ち込んだ。しかし、精度が悪く大した損害を 与えることが出来なかった。また、エジプト軍は後にスエズ運河を越えてイスラエル軍 橋頭堡に攻撃を加えたが、この際も戦果は軽微であった。シリア軍もFROGを使用 したが、エジプト軍が最新型のFROG−7を保有していたのに対して、旧式のFROG −2/3しか保有していなかったため、実際にイスラエル軍の基地に対して使用して も、その地域に衝撃を与えるだけであった。しかし、物質的戦果をともかく、心理的 な効果をイスラエルに与えることには成功している。 アフガニスタンではソ連軍が通信施設やゲリラの拠点に対して大規模に使用した。 この時は通常型弾頭のほかに化学弾頭が使用されたという報告もある。また、19 93年のユーゴスラビアでの紛争ではセルビア軍がFROGを発射した。
↑FROG−7とその搭載車両ZIL−135
↑FROG−2とその搭載車両2P16(PT−76軽戦車改造)
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