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イリューシンIl−18旅客機

Ilyushin Il-18

 

Specifications

形式 長距離幹線用ターボプロップ旅客機
名称 ロシア名: イリューシンIl−18

NATO名: クート(Coot)

初飛行年 1957年
最大座席数 122席
全長 35.9m
全幅 37.4m
全高 10.17m
翼面積 140.0平方メートル
自重 35000kg
最大離陸重量 64000kg
エンジン イフチェンコAI−20M

ターボプロップエンジン

(4250軸馬力)×4基

最大巡航速度 675km/h
運航高度 8000〜10000m
航続距離 3700km(燃料、ペイロード最大)
総生産機数 700機以上

↑データはイリューシンIl−18D型

 

Development & History

<開発>

イリューシンIl−18クートは1950年代中期にアエロフロートの「75〜100席級の国内/

国際線幹線用中/長距離型旅客機」という要求にを満たすために開発された機体で、プ

ロトタイプは1957年7月4日に初飛行し、1959年にはアエロフロートのモスクワ〜アドラ

ー(黒海沿岸)路線及びモスクワ〜アルマアタ(カザフスタン)路線に就航した。就航開始

直後に主翼のクラック発生による墜落事故を起こしたが、すぐに改善されて生産が続けら

れた。イリューシンIl−18は中国、北朝鮮を含む共産主義諸国に広く輸出され、最終的に

700機以上生産されるというベストセラー機になった。

イリューシンIl−18はその優秀さと快適性からVIP機としても広く使用され、旧共産圏諸国

の政府専用機は一時ほとんどがイリューシンIl−18だったほどである。また、Il−18は軍

用型も数多く開発され、有名な例では旧ソ連の主力対潜哨戒機だったIl−38メイなどが

ある。その他、電子戦(ECM)機や電子情報収集機もIl−18をベースに開発されている。

 

<設計>

イリューシンIl−18クートと同時代に就航していた幹線用のTu−104ジェット旅客機や超

長距離用のTu−114ターボプロップ旅客機が爆撃機(Tu−104はTu−16バジャー爆

撃機、Tu−114はTu−95ベア爆撃機)をベースにしていたのに対して、イリューシンIl−

18は最初から純粋な旅客機として開発された。そのため、イリューシンIl−18は当時のソ

連機としてはずば抜けて洗練されており、当時のソ連機の中で最も経済的で、離着陸性

能も良かった。エンジンはクズネツォフNK−4ターボプロップエンジン(4000軸馬力)を4

基装備しているが、イリューシンIl−18はイリューシン設計局の旅客機としては初めてター

ボプロップエンジンを装備した機体であった。なお、21番機からはイフチェンコAI−20を

標準で装備するようになり、後期型のIl−18D型ではよりパワーアップしたイフチェンコ

AI−20M(4250軸馬力)に換装されている。

 

<生産>

イリューシンIl−18は旧共産圏に幅広く輸出されて、最終的に700機以上が生産された。

現在でも主に貨物機として約100機がアエロフロートで就役中と推測され、その他に全世

界で約150機余りが現在でも使われていると思われる。

 

<イリューシンIl−38メイ対潜哨戒機>

外見と任務においてアメリカのP−3オライオンに全般的に類似のIl−38メイ(May)は、

最初から洋上哨戒/対潜任務のために設計されたソ連初の陸上機で、Il−38メイの母

体にはイリューシン設計局のターボプロップ旅客機Il−18を採用している(米国のP−3

オライオンがロッキード社の民間旅客機L−188エレクトラを採用したのと、ほぼ同じであ

る)。

イリューシンIl−38メイのプロトタイプは1967年〜1968年にかけて初飛行したと言われ

ており、1970年に部隊配備が開始された。

イリューシンIl−38メイはターボプロップエンジンを4基装備した大型低翼機で、元のIl−

18旅客機よりも胴体が拡大されており、翼も強化され、より前方に取り付けられている。

胴体前部下面にレドームを装備し、内部にウェット・アイ・レーダーを収容している。尾部に

は磁気異常探知器(MAD)アンテナ・ブームが突出している。また、機内には魚雷・機雷・

爆弾を積む弾倉がある。対潜水艦探知用の装備としては磁気異常探知器(MAD)の他

に、使い捨て型ソノブイと非音響型センサーが搭載されており、Il−38メイは戦術評価

システムや各種のコンピュータを装備している。航続時間は巡航速力で約12時間であ

る。

イリューシンIl−38メイは5機がインドに輸出されたほか、1972年頃までIl−38メイ数機

がエジプトの標識記号を付けて飛行していたが、その後撤退した。Il−38メイ対潜哨戒機

は約100機製造され、現在も35機がロシア海軍航空隊に配備されている。

 

<イリューシンIl−20クートA電子情報収集機(ERINT)>

イリューシンIl−18ターボプロップ旅客機を基に発展させた海軍用の電子情報収集機。

1978年に存在が確認され、NATO(北大西洋条約機構)は本機にクートA(Coot-A)と

いうコードネームを付けた。Il−20クートAは長さ約10.25m、直径約1.15mの「カヌー

状」の構造物を機体下面に装備し、その中に大型のSLAR(サイドルッキング・レーダー)

を収容している。その他の各種アンテナは胴体前部左側の大きなフェアリングを含めて、

胴体に流線的に取り付けられている。Il−20クートAはIl−38メイ対潜哨戒機と比べると

改造も小規模で、登場した時期から考えて、近代的なジェット旅客機の出現でアエロフロ

ート航空の路線を引退したIl−18を改造したものと思われる(Il−38メイの方は新造機)。

Il−20クートAは現在、ロシア海軍航空隊に2機配備されている。

 

Variants

○イリューシンIl18: 座席数75席の最初の生産型。エンジンは当初、クヅネツォフNK−

              4ターボプロップエンジン(4000軸馬力)×4基を装備していたが

              21番機からはイフチェンコAI−20ターボプロップエンジンに換装

              された。

○イリューシンIl18B: 全般的にIl18に似ているが、座席配置が変更され、最大座席数

               が84席に拡大している。

○イリューシンIl18V: 1961年に登場した型で、最大座席数が90〜100席に拡大して

               いるほか、客室窓の配置も変更されている。

○イリューシンIl18I:  エンジンをイフチェンコAI−20M(4250軸馬力)×4基にパワー

               アップしたタイプで、燃料タンク容量も拡大している。また、最大

               座席数は夏季で122席、冬季で110席に拡大した。ちなみに、

               夏季と冬季で最大座席数に違いがあるのは、冬季は乗客の衣

               服を積むスペースをより多くとらなくてはならないためである。

○イリューシンIl18D: イリューシンIl18Iの生産型。

○イリューシンIl18E: イリューシンIl18Iの生産型。ただし、燃料タンク容量は増大してい

               ない。

○イリューシンIl18T: 貨物専用機。アエロフロートの路線で活躍。

○イリューシンIl20クートA: イリューシンIl18旅客機を基に改造されたソ連海軍用の電

                  子情報収集機(ERINT)。

○イリューシンIl38メイ: イリューシンIl−18旅客機を基に開発された対潜哨戒機。

 

 

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↑イリューシンIl−18旅客機

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↑ソ連のIl−38メイ対潜哨戒機とそれを監視する米軍のファントム戦闘機

AD2002/12/21 Update

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