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イリューシンIl−76キャンディッド輸送機

Ilyushin Il-76 Candid

 

Specifications

形式 中/長距離用重ジェット輸送機
名称 イリューシン76

NATO名「キャンディッド」

設計局 イリューシン設計局
初飛行年 1971年
運航乗員 6〜7名
全長 46.5m
全幅 50.5m
全高 14.7m
翼面積 300平方メートル
最大貨物搭載量 47000kg
最大離陸重量 170000kg
エンジン ソロビエフ D−30KP

ターボファンエンジン

(推力12000kg)×4基

最大水平速度 850km/h
巡航速度 800km/h
上昇限度 15500m
航続距離 ペイロード20トン: 6100km

ペイロード47トン: 3000km

離陸滑走距離 1600m
着陸滑走距離 1000m
武装 一部の軍用型は後方2連装銃塔を

装備

総生産機数 900機以上+

↑データはイリューシン76T型

 

Development & History

<開発>

 旧ソビエト連邦では、シベリア地域の未整備で長さの短い滑走路で運用できる大型輸送機を必要としていた。そのために開発されたのがイリューシンIl−76(NATOコードネーム「キャンディッド」)ターボファンジェット輸送機である。

 イリューシンIl−76のプロトタイプは1971年3月25日に初飛行に成功した後、飛行試験を経てタシケントの工場で量産に移され、1974年にまず軍用型のイリューシンIl−76Mがソ連空軍に就役した。

 1975年、イリューシンIl−76は特定ペイロード下で25個もの速度・高度の国際記録を樹立し、輸送機としてのIl−76優秀さを知らしめた。事実、同クラスのC−141スターリフター輸送機(アメリカ)と比べて性能面で優位に立っている。

 イリューシンIl−76は、全体的な構成や配置からして明らかに軍用を意識させるが、当時の東側諸国ではこのクラスの輸送機に対する需要が高く、民間でも幅広く使用されることになった。最初の民間型はイリューシンIl−76T(NATOコードネーム「キャンディッドA」)と呼ばれ、総重量及び貨物搭載量が増している。Il−76Tは、1978年にアエロフロートの国内線で就役し、同年4月には日本路線に就役した。

 イリューシンIl−76は軍用・民間輸送機として成功を収め、極地への支援や、宇宙飛行士の無重力訓練など、幅広い用途で使用された。

 

<設計>

 イリューシンIl76輸送機の特徴は主翼下にポッド式に吊り下げられたジェットエンジンにある。西側の機体では一般的な配置だが、ソ連では初の試みであった。

 装備するエンジンはソロビエフD−30KPターボファンエンジン(推力12000kg)で、これはソ連の主力長距離ジェット旅客機・イリューシンIl−62Mと同系列である。内部燃料タンクは合計12ヶ所で、4基のエンジンごとにグループ分けされている。

 主翼は高翼配置の後退翼で、翼端にいくほどテーパーしており、僅かに下反角が付けられている。また、翼面積が大なのが特徴で後退角は比較的小さく、離着陸性能を重視して全翼幅にわたる前縁スラットと後縁の3段フラップからなる強力な高揚力装置を装備している。水平尾翼はT字翼で、同じく後退角が付けられている。

 着陸装置は非常に頑丈で、整備の行き届いていない荒れた未舗装の滑走路からでも運用することができる。

 胴体は幅3.45m、高さ3.40m、ランプ部分を含めて長さ24.54mの貨物室と後方貨物扉を持ち、下側の扉はランプ兼用で車輌の自走搭載と、物資の空中投下が可能である。

 

<アビオニクス>

 イリューシンIl76キャンディッドは全天候運用を可能にするため、コンピュータを使った自動航法装置、自動着陸装置などを備えている他、軍用型では敵の脅威下で飛行するための各種防衛装置を装備している。

 

<軍用型&防御システム>

 イリューシン76はロシアを軍を始めとして数多くの友好国に輸出され、空挺部隊の展開、歩兵部隊の輸送、中型戦車を含む各種兵器や弾薬の輸送、補給物資の輸送などで大いに活躍している。

 軍用型は民間型とは装備やアビオニクスが異なり、レーダー警戒装置、対レーダー用妨害装置、対赤外線誘導ミサイル用のフレア・ディスペンサー、対レーダー用のチャフ・ディスペンサー等の各種防御システムを装備している。

 上記のようなソフトキル防御システムの他に、ハードキル防御システムとして、胴体後部にレーダー射撃管制装置と統合した2連装機関砲を装備している。さらに、外部の取り外し式のパイロンのラックに爆弾を携行することもできる。

 

<生産>

 イリューシン76シリーズはピーク時にはソ連空軍だけで450機も任務に就き、東欧やアフリカ諸国などの友好国に幅広く輸出された。総生産機数は、1996年までに900機を超え、2000年現在も年産10機ペースで生産中で、西側でもチャーター機として使用されている。

 民間では現在アエロフロートで約50機使用されている他、リビア・アラブ航空やシリア航空、キューバナを含む海外の民間航空会社にも約100機輸出された。

 

Variants

・Il−76M

 最初の軍用量産型。

・Il−76T

 最初の民間量産型。

・Il−76MD

 Il−76MDは航続距離と設計寿命が延びた改良型である。エンジンやシステムはMと同様だが、設計寿命を延ばし、最大離陸重量を引き上げるために機体構造を強化している。この結果、最大離陸重量はMの170トンから190トンに増大し、このうちの大半を燃料に回したことで、航続距離は40%増加した。

・Il−76MF

 胴体を6.6m延長したIl−76シリーズの最新改良型。エンジンもMのソロビエフD−30KPより25%も出力が向上した新世代のPS−90A−76(推力16000kg)ターボファンエンジンに変更され、燃費が改善されたことで航続距離も20%向上した。1995年初飛行成功。

・Il−76TF

 Il−76MFの民間型。

・Il−76DMP

 消防機。40トン以上の水や消火剤を搭載できる。

・Il−76LL

 エンジン・テスト母機。

・Il−76SK

 レーダーピケット機。

Il−78マイダス

 Il−76MDをベースにした空中給油機。

・Il−82

 空中指揮司令機=コマンドポスト機。

A−50メインステイ

 Il−76をベースにした早期警戒機。

 

 

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AD2003/06/24 Update

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