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カモフKa−50ブラックシャーク攻撃ヘリコプター

Kamov Ka-50 Black Shark Attack Helicopter

 
初飛行年 1982年
名称 カモフKa−50

ホーカム(NATO名)

チョールナヤ・アクーラ(ロシア名称)

ブラック・シャーク(英語名 輸出名称)

ウェアウルフ(旧輸出名称)

主ローター直径 14.5m(×2枚)
全長 15.9m
全高 4.93m
回転円盤面積 165.1平方メートル
全幅 7.3m(翼間)
空虚重量 7692kg
通常離陸重量 9800kg
最大離陸重量 10800kg
エンジン クリモフTV3−117VK

(2200馬力)×2基

最大速度 水平飛行時: 310km/h

浅降下時: 390km/h

巡航速度 270km
最大上昇限度 5500m
ホバリング高度限界 4000m
垂直上昇率 600m/分(高度2500m)
最大航続距離 1160km(フェリー時)

460km(標準重量時)

戦闘行動半径 135nm
武装 2A42 30mm機関砲×1門(弾数280発)

AT−16対戦車ミサイル×12発

S−80ロケット弾ポット×4基(最大)

最大兵装搭載量 3000kg

使用国 ・ロシア(8機)
 

<特徴>

1、カモフ設計局伝統の二重反転ローター

Ka−50は、カモフ伝統の二重反転ローターを持ち、テイルローターなどは装

備しない。このため、エンジン出力がテイルローター部分に供給されない分、

主ローターにパワーが多く提供されることになる。また、ヘリコプター損失率の

割合を見ると、テイルローターによる墜落事故は多く発生しているので、この点

においても有利である。この他にも機体に高い運動性をもたらすことができる

という利点があるが、反面、技術的に難しいことや、主ローターマストが極めて

高くなってしまうという欠点がある。ただカモフ設計局は二重反転ローター技術

のパイオニア的存在として知られ、従来からこの方式でヘリコプターを開発して

おり、海軍向けのKa−25ホーモンやKa−27へリックスなどの軍用機や各種

民間型実用機を製作した実績を持ち、十分に確率された技術を有している。

 

2、攻撃ヘリとしては珍しい1人乗り

他の多くの攻撃ヘリコプターは2人乗りなのに対して、Ka−50は世界で初め

ての1人乗り攻撃ヘリコプターである。敵に発見されないように、地形を回避し

つつ超低空飛行を行い、目標の発見・捕捉・照準・射撃を行わなければならず、

1人でこれらを可能にするには高度な自動化が必要とされる。Ka−50では自

動化された航法装置のやCRTディスプレイの採用、射撃精度の向上などにより

それらを可能にしている。しかし、夜間などの作戦行動では、単座の攻撃ヘリコ

プターは多くの不安材料をかかえているのも事実である。また、パイロットの仕

事量を減少させるとともに、低被発見性を確保するため、Ka−50の運用では

他の機体から目標データをデータリンクで受信し、目標の発見と指示は別の機

体によって行い、自身は目標に対する攻撃だけに専念することも出来る。そして

、Ka−50の指揮管制及び夜間作戦能力の向上のために開発されたのがKa−

52アリゲーターと呼ばれるKa−50の複座型である。

 

3、高い生存性

胴体および操縦席部分は、サバイビリティ向上のために装甲が施されていて、

小火器による被弾でも、無事に飛行可能なように2重、3重の安全性向上に

つとめている。コックピットも金属製の2重装甲が施されており、100mの至

近距離から発射された23mm弾の被弾にあっても、パイロットを防護すること

が可能であり、さらに複合材を多用しているため被弾時の破片飛散が無く、

これもパイロットやシステムを防護する有利な点である。操縦席の風防パネル

とキャノピーには55mm厚の防弾ガラスが使われているが、いずれも平面型

で、太陽光線の反射による被探知性の低下に配慮している。また、被弾に

脆弱といわれているローター部分も自動小銃弾の被弾に耐えることが出来る

ように設計されており、エンジン部分には赤外線誘導対空ミサイルに対抗する

ために赤外線抑制装置がとり付けられている。自己防御用の機材としては、

両小翼端に電子戦機材が収められ、またその後端とテイルブーム先端および

機首にレーダー警戒装置のセンサーがある。小翼端には、チャフ/フレア・

ディスペンサー(カートリッジ128発)があり、後部胴体両側面にもフレア放出

装置がある。

 

4、世界初のヘリコプター用射出座席を採用

Ka−50は射出座席を備えた世界初のヘリコプターである。K−37−800

ロケットアシスト射出座席は、ズベズダ研究所で開発されたもので、緊急時に

脱出操作を行うと、ローター・ブレードとコックピット天井部が吹き飛ばされ、

その後座席が打ち出される仕組みになっている。またこれ以外に、パイロット

が横の扉を外して兵装を投棄すれば、側方から脱出できる。

 

<開発&設計>

旧ソ連陸軍初の本格的攻撃ヘリコプターとして多数使用されていた大型双発

のMi−24ハインドの後継機として開発されたのがKa−50(NATOコードネ

ーム: ホーカムA)である。計画設計は1977年にV−80として完了し、試作

初号機は1982年7月27日に初飛行した。西側でも1984年夏にはKa−50

の存在を確認したが、西側情報部ではKa−50が単座であることや運動性の

高い2重反転ローターを採用していること、ミル設計局の伝統などからミルMi

−28ハボック攻撃ヘリコプターがMi−24ハインドの後継機であり、Ka−50

はMi−28を支援する空対空戦闘用の戦闘ヘリコプターであると勘違いして

いた。実際にはKa−50もMi−28も同じ目的で開発されたライバル機であり、

熾烈な開発競争を繰り広げた。1984年にはKa−50の制式採用が一旦は

決定したものの、Mi−28の巻き返しもあり採用は白紙に戻され、計画は大幅

に遅れた。結局、量産第1バッチの8機がロシア軍に配備されたのは1995年

になってからである。

Ka−50は、同軸上に2重反転式の双発エンジンが装備されており、ホバリング

限界高度4000m、最高上昇率は2500mで10m/秒という高い性能を誇る。

また、2重反転ローターは同軸モーメントを相殺することが出来るので、高い運動

性を得ることが可能になっている。なお、ローターには複合材料が用いられてい

て、自動小銃弾などの被弾に対する抵抗性を高めている。

機首部分にはシュクヴァル昼間用目標探索・自動追尾照準装置、レーザー照準

装置などを装備し、その上には地形追随レーダーを装備する。機首正面には赤

外線暗視装置用の小窓がある。シュクヴァルは8〜10km先の目標発見能力が

あり、ディスプレイ上で探索すべき場所にフレームを被せ、スイッチを押すと、自

動的に目標探索を行い、発見すると自動的にロックオンをかけることが出来る。

胴体中央部分には中翼位置に固定翼があり、この翼はスタブ翼と呼ばれ、前縁

は直線だが、後縁は前進角がついている。また、4つのハードポイントが設けら

れていて、AT−16(9M120ヴィキール)対戦車ミサイル12発、S−8ロケット

弾ポット、23mm機関砲ポット、AA−8エイフィドまたはAA−11アーチャー空

対空ミサイル、FAB−500通常爆弾などを搭載することが出来る。このうちKa

−50の主武装であるAT−16対戦車ミサイルはセミアクティブレーザー誘導方

式のロシア最新鋭の対戦車ミサイルで、最大射程は昼間10km・夜間5km、厚

さ900mmの装甲板を貫通することができ、空対空戦闘能力も有する。また、この

ミサイルは超音速で目標に突入するため、狙われた相手は対抗手段を発動する

余裕がほとんど無い。その他に固定武装として30mm2A42機関砲を胴体右側

面に装備している。この機関砲は基本的にBMP−2歩兵戦闘車が装備している

ものと同じ型で、その信頼性には定評がある。携行弾数は280発で、胴体中央に

2つの弾薬パックを搭載している。この機関砲は完全な固定装備ではなく、電気油

圧式で左右に15度、上に10度、下に45度までの範囲で照準を振ることができ、

パイロットまたは機首の照準装置の照準線に合わせて動く。これは機体の揺動と

振動を補正するためであり、ヘリコプターの機軸をその方向に向かわせることも

できる。

エンジンはクリモフTV3−117VKが胴体側面部分に左右1基ずつとり付けられ

ている。空気取り入れ口の部分は大きく設計されており、2200馬力の出力を誇る

TV−3系エンジンに大量の空気流入を促進している。また、空気取り入れ口には

砂塵の吸入を防止するためダスト・セパレーターが装備されている。エンジン配置

は、常識どおりに被弾を避けて別々に搭載する方法をとっている。Mi−24などの

従来の攻撃ヘリコプターのエンジン配置緒みると、胴体上部に並列にしていたが、

小火器でも被害を大きく被る可能性があり、現にベトナム戦争やアフガン戦争など

で西側、東側の区別無く、多くのヘリコプターがこの種のトラブルによって失われて

いる。これらの教訓から近年開発されるヘリコプターはエンジンを別々に配置する

ことが鉄則となっている。

降着装置は、前脚式3脚で引き込み式だが、完全には引き込まれず、前脚、主

脚ともタイヤの一部が露出している。これは墜落時衝撃を吸収する役目を果たす

ためである。主客には車輪カバーは無い。前脚はダブル・タイヤ装備。

機体整備は胴体部分の高さが低く抑えられていることもあり、成人の背の高さで

すべてが手に届く範囲内におさめられており、胴体各所に整備点検パネルを持つ

など、整備員はほとんど地面に立ったまま整備ができる。これ以外にもKa−50

では整備員による兵装搭載を容易に行うため、パイロンに電動ホイスト機能が

内蔵されていたり、対戦車ミサイルを搭載する時には3発をまとめたブロックと

する、機関砲の弾薬搭載にはベルト給弾式にして機力搭載を可能にするなど、

極力整備性を高め、整備員の労力を軽減することに努力がはらわれている。

Ka−50は先のチェチェン紛争の際に、まだ8機しか配備されていないにも

関わらず実戦に投入された。これは北コーカサスのような地形の場所では夜

間作戦能力や、悪天候作戦能力を持つ武装・攻撃ヘリコプターが必要とされた

ことや、ロシアのチェチェンに対する断固とした姿勢を見せようとする政治的

意図があったものと思われる。しかしながら、ロシア軍の財政難やチェチェン

紛争で多額の戦費が必要なことから未だ大量発注にはいたっていない。

また、輸出に関してもKa−50を改造したKa−50−2エルドガンがトルコ軍

の次期攻撃ヘリコプターの最終選考まで勝ち残っているものの正式な発注

には至っておらず、それ以外にも輸出契約が制式に結ばれたことはない。

これはKa−50の特殊な運用思想に基づいて開発された単座攻撃ヘリコプター

の性格が大きく影響しているものと思われる。

 

<各種タイプ>

○V−80: 最初のプロトタイプ

○Ka−50ホーカムA「ブラックシャーク」/V−80Sh1: 単座基本型

○Ka−50N: 試作9号機を改造した、夜間/全天候バージョン

○Ka−52ホーカムB「アリゲーター」/V−80Sh2: 並列複座指揮管制型

○Ka−50−2「エルドガン」: カモフがイスラエルのIAIと提携し開発したトルコ

                   向け専用機体。タンデム複座に変更されており、

                   西側の技術をふんだんに取り入れている。

 

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