ミコヤンMiG−1.42/1.44(MFI)戦闘機

MiG-1.42/1.44 MFI




Specifications
形式 マルチロール戦闘機
名称 ミグ1.42

ミグ1.44(ミグ1.42の試験機)

初飛行年 2000年
全長 19m
全幅 15m
全高 6m
自重 15013kg
最大離陸重量 20018kg
エンジン リュールカAL−41Fターボファ ンエンジン

(アフターバーナー時推力20000kg)×2基

最大速度 2448km/h


Development & History
 ミグ1.42(MFI=マルチファンクショナルフロントラインファイター =多機能前線戦闘 機)は、アメリカのATF(アドバンストタクティカルファイター=先進戦術戦闘機、後のF−22)計画に相当する旧ソ連の第5世代戦闘機計画である。

 1980年代半ば以降、ソ連の戦闘機は第4世代の戦闘機Su−27フラン カー、MiG−29ファルクラム、MiG−31フォックスハ ウンドなどに 更新されていた。これらの第4世代戦闘機は当時のアメリカの最新鋭機F−15イーグル、F−16ファイティングファルコン、F/A−18ホーネット、F− 14トムキャットといった戦闘機に十分対抗できる能力を持っていた。しかし、技術は急速に進歩しており、アメリカに対する優位を確保するために、ソ連では 21世紀に通用する戦闘機を1990年代半ばに実用化すべく、第5世代の次世代戦闘機の開発に乗り出した。

 注目すべきは、ソ連とアメリカの第5世代戦闘機計画がほぼ同時に始まったこと である。政府の決定でソ連の第5世代戦闘機計画がスター トしたのは、 アメリカのATF計画と同年の1981年である。その後、アメリカのATF計画の断片的な情報がソ連にも伝わり、これらの情報はソ連の次世代戦闘機計画に も反映された。

 機体コンセプトや空力、エンジン、アヴィオニクス、素材など次世代戦闘機に応 用するための研究が2年間に渡って行われ、これらの一連 の研究の結果、将来の戦闘機に求められる要求性能が決定された。それは次のようなものであった。

1、高い機動性。

2、アフターバーナー無しでの超音速巡航能力。

3、ステルス性。

4、空中目標及び地上目標に対する高い攻撃能力。

5、優れた整備性。

 この第5世代戦闘機計画では、ミコヤン設計局とスホーイ設計局がそれぞれ案を 出し争い、ミコヤン設計局が勝利した。ソ連の第5世代戦 闘機計画には 重戦闘機と軽戦闘機から成るハイローミックスの2つの流れがあった。1つはMFIと呼ばれるマルチロール重戦闘機・迎撃機で、もう1つはLFIと呼ばれる 軽戦術戦闘機である。ミコヤン設計局は、1985年までにこれらの機体の予備的な設計を終えたが、MFIとLFIの間には高い共通性があった。

 その後、MFIには「1.42」のコードネームが付けられ、設計開発作業が本 格化し、また並行してMiG−1.42の実験機として MiG−1. 44が開発されることになった。MiG−1.44は、MiG−1.42の飛行特性や安定性、操縦特性、さらに機体強度やエンジン、コントロールシステムの 評価を目的としている。

設計

 ミコヤン設計局は、1985年までにこれ らの機体の予備的な設計を終えたが、設計に当たっては TsAGI(中 央流体力学研究所)の風洞試験結果、レーダー反射を低減する特殊コーティング技術の研究成果、エンジンや装備の基本特性が盛り込まれ、MFI及びLFIの 理想的な機体の大きさが決定された。

 機体の形態はカナードデルタ翼の形態が選ばれた。ミコヤン設計局では以前から カナード方式の機体を研究しており、第二次大戦終戦直後 の1945年 にはカナード後退翼のMiG−8ウトカを完成させている。MiG−8は、カナード後退翼の研究のための試作機で、カナード後退翼の形態の有益なデータをミ グ設計局にもたらした。

 エンジンはAL−41ターボファンエンジン(アフターバーナー時推力 20000kg)が選定された。MiG−1.42はこのAL− 41の双発で、 二次元推力偏向ノズル(縦方向)を装備する。また、アメリカのF−22のようにアフターバーナー無しでの超音速巡航も可能である。

 レーダーは、2つのチームの案のうちどちらか一方を装備する予定であった。1 つは、ファザトロンN014ジュークRNで、もう一方は NIIP N011Mである。どちらのレーダーも高出力のフェイズドアレイレーダーで、そのため機首のサイズは迎撃機のMiG−31Mフォックスハウンドに匹敵す る。また、後方捜索のために機体後部にもレーダーアンテナを有する。

 機首には赤外線捜索システム(IR)とレーザー測距装置が装備されている。両 アンテナは引き込み式である。

 武装は、固定兵装として主翼付け根に機関砲を装備する。ミサイルや対地攻撃兵 装等は内部のウエポンベイに収容される。

 

現 状

 前述のようにMiG−1.42の評価用として、MiG−1.44が平行して開 発された。MiG−1.44は、フライトコントロールシ ステムとエンジンはMiG−1.42のものだが、作戦用のアビオニクスや火器管制システムは装備していない。

 MiG−1.42の実機は製作されていないが、MiG−1.44は実際に機体 が完成した。MiG−1.44によるテストは当初 1994年までに終 了すると言われていたが、スケジュールは遅れた。これは、エンジンの完成が遅れたことと、フライトコントロールシステムのソフトウエアのバグによるもので あった。また、これらの技術的要因以外に、経済的な要因も加わった。

 1994年、地上でのタキシーテストが開始された。十分な開発資金があれば 1995年にも飛行テストに移行するはずであった。しか し、ロシア経済 は悪化の一途を辿り、それに伴いMFI関連の予算も劇的に削減され、1995年にはMFI関連の予算はほぼ尽きてしまった。1995年7月には国防省に MiG1.44が披露されたが、事態の改善にはつながらなかった。

 それどころか、タス通信によれば1997年3月18日にはMFI計画はキャン セルされたという。主な要因は予算不足と、より見込みの あるプロジェクトに開発者を配置転換することであった。また、MFIクラスの高級な戦闘機は輸出市場にも需要が少ないと判断された。

 それでも、MAPO-MiG(ミコヤン設計局の後継)は再び政府・外国の関心 を得ようと、1999年1月12日、ロシア軍高官や外国 武官、メディ アにMiG−1.44を公開した。そして、資金をかき集めて、2000年2月29日には初飛行に成功した。最初の飛行は18分間で、 500〜600km/hの速度で飛行した。その後、2度目の飛行も行われ、この時の飛行時間は22分間であった。

 このようなMAPO−MiGの努力にも関わらず、相変わらず政府の関心は低い ようで、外国も高級すぎる本機への関心は高くない。政府 の援助無しにMFIプロジェクトを進める事は資金的に不可能で、プロジェクトの将来は暗い。





AD2004/11/28 Update





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