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2S7”ピオン” 203mm自走カノン砲

 

名称 2S7

軍名称: SO−203

NATO名: M1975

愛称 「ピオン」(石楠花)

ベース車体 MT−T装軌車と思われる
全長 13.12m
全幅 3.38m
全高 3.0m
戦闘重量 46500kg
最大装甲厚 10mm
搭載エンジン V−12水冷ディーゼルエンジン

出力:770馬力

最大速度 50km
行動距離 650km
渡河深度 1.2m
走行可能最大傾斜 40%
乗り越え可能直立壁 0.7m
側方傾斜 20%
馬力重量比 16.17馬力/トン
搭載砲 2A44 203mmカノン砲

最大射程(通常弾) 37.5km

砲弾重量 100キログラム

砲口初速 960m/s

砲身寿命 450発

発射速度 バースト時:毎分2発

       継続射撃時:毎分1発

射撃角 0度〜+60度

砲塔旋回範囲 左右各15度

即用弾搭載数 4発
乗員 3名
部隊配備年 1975年

 

2S7(軍名称SO−203)は1975年から部隊配備が始まったソ連軍および世界最大の自走砲である。

ちなみにこの自走砲が西側に確認されたのも1975年で、このため自走カノン砲M1975という、

NATOコ−ドネ−ムが付けられている。

2S7は2S5と同様な形式で外装式に砲を搭載した自走砲で、この種自走砲としては最大級の203ミリ砲を搭載

している。203ミリ砲はかつての重巡洋艦の主砲である。西側にも同様な自走砲M110があるが、2S7のほうが

はるかに車体が大きく、砲も長砲身でより長射程の巨大なカノン砲を搭載している。2S7の搭載砲については

詳し出生は不明で、ソ連側の産業名称が2A44ということだけがわかっている。

ベース車体はおそらくソ連軍では最大級の装甲車両だと思われるが、どういう形式のものかははっきりしない。

S−300対空ミサイルと同じMT−T装軌車ともいわれるが、両車の車体を見比べると基本配置は同じなのだが、

ホイール形状などが微妙に異なっている。T−80のコンポーネントがかなり流用されていると言われるが、

詳細は不明である。車体の最大装甲厚は10ミリである。

搭載エンジンは出力770馬力のV−12水冷ディーゼルエンジンで、最高速度50km、行動範囲は650kmと

なっている。なおこのエンジンは射撃時の、操砲、給弾用動力源としても使用される。

車内配置は、おそらく巨大な砲とバランスを取るためであろう、前方に極端に突きだした装甲キャブ内に、

操縦手と車長が位置する。各々のコンパートメントにはそれぞれ上面にハッチを持ち、前面には視察のための

ウインドスクリーンになっている。ウインドスクリーンには装甲カバーが用意されているが、こういうところは比較的

後方で使用する機材という設計がされている。

2名の乗員用コンパートメントの後ろはエンジンルームになっている。そしてその後ろは他の3名の乗員用の

コンパートメントで、上面には2個のハッチが設けられている。これら前後に分かれた乗員の通信用には

A1V116通信システムが用意されている。

コンパートメント上面にはR−123M通信システム用のアンテナベースがあり、通信系を維持している。なおこの

システムは2S7Mと呼ばれる新型ではR−173通信システムに改良されているというが、詳細は不明である。

砲は2S5と同じく、車体上面後部に外装式に搭載されている。これほど巨大な砲ではやはりエンクロ−ズは

不可能であろう。砲は車体上でそのまま発射できるが、やはり後部にある鍬鋤を降ろし車体を固定する必要が

ある。なお鍬鋤は水圧で駆動される。

砲手は砲側左側に位置する。照準にはK−1コリメータ−と統合されたPGM−1Mパノラマ式照準具を使用し、

直接照準にはOP4M−87照準具を使用する。操砲は俯仰が水圧で左右旋回が電動らしい。緊急時には

手動操作も可能である。なお砲の俯仰角はプラス60度からゼロ度で、方向射界は左右各15度である。

砲弾はZOF−40榴弾の他、対コンクリート砲弾、核砲弾、化学弾も発射できる。弾薬は分離式で、装填手が扱う

弾薬装填補助システムが用意されている。最大射程は通常弾を使用して37.5キロメートルである。

榴弾の重量は100キログラムである。最大装薬時の砲口初速は960m/s、砲身寿命は450発である。

車体は十分大きいものの砲弾も負けずに大きく、即用弾は4発しか搭載されていない。

もちろんこれでは継続的な射撃ができないので弾薬は他の車両で携行されるが、装軌式の砲弾弾薬車は無い

ようで、運搬には主としてトラックが使用されるようである。そうなるとせっかくの自走砲の機動力が十分生かされ

ないことになるが、こうした自走砲システムとしての装備化はまだロシア軍では確立されていないようだ。

発射速度はバーストで毎分2発であるが、継続的には1発程度だ。

なお2S7には改良型があり、2S7Mと呼ばれている。これは前述の通信システムの改良の他、携行弾数が8発

に増えたとされるが、それ以外の改良点、相違点は不明である。2S7にも一応のNBC能力はあるが、構造上

当然移動時のみで操砲時は不可能という部分的なものである。2S7の愛称は「ピオン」(石楠花)らしい。

2S7は前線レベルの司令部予備の重砲兵大隊か旅団に配備されているとされる。2S7の砲兵連隊は本車を

8両保有する中隊3個から構成される。本車は特別目的の砲兵用の装備で、核砲弾を発射するものと考えられて

いる。

2S7の生産数は1000両を越えるものとみられ、1990年のヨーロッパ通常兵力制限条約で明らかになった数字

では、ウラル以西に770両の2S7が配備されていたとされる。なお2S7はロシアの他チェコ、スロバキア、

ポーランドでも使用されているようである。

 

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