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SA−3ゴア地対空ミサイル

SA-3 Goa SAM

 

Specifications

形式 短/中距離用地対空ミサイル
名称 ロシア名: S−125ネバ

NATO名: SA−3ゴア

NATO名(海軍型): SA−N−1

部隊配備開始年 1961年
設計局 ラボーチキン設計局
全長 6.1m
直径 第1段: 55cm

第2段: 37cm

翼幅 1.2m
ミサイル重量 SA−3A: 946kg

SA−3B: 950kg

誘導方式 無線指令
終末ホーミング方式 セミアクティブレーダー誘導
燃料 固体燃料
最大速度 マッハ3.5
最大射程 SA−3A: 22km

SA−3B: 18km

最小射程 SA−3A: 6km

SA−3B: 2.5km

最大迎撃高度 SA−3A: 12000m

SA−3B: 18000m

最小迎撃高度 SA−3A: 1500m

SA−3B: 50m

弾頭 60kgHE
弾頭効力半径 12.5m
     

Development & History

<開発>

旧ソ連のSA−3ゴア地対空ミサイル(ロシア名:S−125ネバ)は中・高高度迎撃用のSA

−2ガイドライン地対空ミサイルを補完するレーダー誘導の兵器で、低高度と中高度侵入

機を撃破するために開発された。開発は1956年ごろラボーチキン設計局で始まり、プロ

トタイプの実用試験は1959年に始まり、1961年に常設サイトへの部隊配備が開始され

た。SA−3ゴアの基本型のソ連名はS−125(4K90)だが、ソ連ではこのミサイルに複

数のコードネームを与えており、基本型システムのS−125(4K90)は「ネバ」、輸出型に

「ペコラ」、そしてミサイル本体を「ボルナ」と呼んでいる。これらはいづれも川の名前であ

る。また、SA−3が配備された後、海軍用に開発したSA−N−1(S−125M/ボルガ

−M)が実用の運びとなり、旧ソビエト海軍の巡洋艦と駆逐艦に搭載された。

 

<設計>

SA−3ゴア地対空ミサイルは、固形燃料推進式の大型射出可能タンデム ブースターに

長方形大面積の安定用フィンを取り付けた2段ミサイルである。

主胴部は円筒形状で、中央後部先端のアンテナ(コマンド用およびビーコン用)に4枚のク

リップドデルタ翼があり、またノーズコーンのずっと前方には小さなデルタ形可動制御フィ

ンが4枚、後端には長方形フィンが4枚、それぞれ取り付けられている。

ミサイルの全長は6.1m、ブースターの直径は0.55m、本体の直径は0.37mである。

発射時の重量は、SA−3Aが946kg、SA−3Bはやや重く950kgとなっている。どちらの

型も60kg高性能炸薬破片弾頭を搭載し、ドップラー レーダー近接信管と接触信管を備

えている。この弾頭の致死破裂半径は12.5mである。

SA−3Aの最大射程は22kmであったが、SA−3Bは低高度性能の向上に重点を置い

て設計されているので、最大射程は18kmと短くなっている。最小射程は、SA−3Aが

6km、SA−3Bが2.5kmである。また、最大迎撃高度はSA−3Aが12km、SA−3B

が18km、最小迎撃高度は SA−3Aが1.5km、SA−3Bが50mである。

 

<運用>

SA−3ゴアは、基本的には固定的な地域防空兵器であり、主な任務は飛行場の防衛、

長距離地対空ミサイル(SAM)システム周辺の低高度防空、および陸軍前線部隊の後方

地域支援である。SA3は、改造型のZIL−157またはZIL−131トラックに搭載して2基

同時に輸送され、地上に設置された2連装の発射機から発射される。また、後に4連装の

発射機も開発された。

 

<レーダー網>

SA−3ゴア地対空ミサイルシステムの基本構成はミサイル、早期警戒レーダー(P−15

フラットフェース)、高度探知レーダー(PRV−11サイドネット)、戦闘用レーダー(ローブロ

ー)、火器管制コンピュータ、ミサイル発射機4基、および地上器材である。

遠距離における早期警戒情報と目標情報は、P−15フラットフェース・レーダーで収集す

る。エジプトそのほかのアラブ諸国では、スクァットアイ・レーダーをフラットフェース・レーダ

ーの傍に設置し、低空域をカバーしていた。レーダーは、いずれも、高さ10フィートのコン

クリートで防護されている場合が多い。目標高度に関する情報は、SA−2ガイドライン地

対空ミサイルの場合と同様に、サイドネット・レーダーによって収集する。SA−3中隊が装

備している目標追跡用のレーダーはローブロー・レーダーで、このレーダーは低高度と中

高度の目標を対象とし、グランド・クラッターの中から目標を捕捉する優れた性能を持つと

いわれる。また、同時に6個の目標を追跡し、各目標に1〜2発のミサイルを誘導できる。

ECM環境下でも使用できるように、後期型のローブロー・レーダーは有効距離30kmの

テレビカメラを備えている。このカメラは、レーダーと同じ諸元を射撃統制装置に送るため

、レーダーが妨害を受けたり、対レーダー・ミサイルの脅威下でレーダーを使えない場合

でも、SA−3を発射できる。射撃の統制は指揮用掩蔽部から実施し、SAMの各個射は

通常行わない。

 

<交戦要領>

距離28〜83kmで目標捜索を始め、目標が28km以内に近接するまで追跡を続ける。

28km以内に入ると、戦闘を開始するか、追跡をさらに続ける。ただし、SA−3は目標

が6km(SA−3Bは2.5km)以内に入ると射撃できない。

ミサイルが発射されると、固形燃料ブースターが2.6秒間燃焼して切り離される。次に固

形燃料推進型サステーナモーターが19秒燃焼して、ミサイルの飛翔速度をマッハ3.5ま

で上げる。ミサイルの飛翔中、発射管制用コンピューターはロー ブロー・レーダーからデ

ータを受け取るが、この間レーダーは目標とミサイルの両方を追尾している。コンピュータ

は連続的に指令を発しながらミサイルを目標に向けて誘導する。指令信号はUHF無線ビ

ーム データリンクにより後部翼端のアンテナに送られる。この信号をミサイル搭載誘導装

置が受け取り、前方の制御フィン4枚によって弾道を調整する。弾頭はミサイルが50m

飛行すると爆発可能状態になり、ドップラー レーダー信管はランチャーから300m離れる

と指令信号に応じて起動する。ミサイルが迎撃に失敗した場合は、別の信号が送られて

弾道を修正するか、あるいはミサイル自体を自爆させる。

 

<配備>

最初のSA−3Aゴアが導入されたのは1961年で、引き続き1964年には改良型SA−

3Bが登場した。報告によれば、1986年末の時点では、旧ソビエト軍のSA−3サイトは

300個所にも及び、いずれも2連型あるいは4連レール式ランチャー4基を装備していた

という。しかし、これらのSAMサイトは、1995年の時点で100個所にまで削減されたと

言われている。今までに輸出された国はアフガニスタン、アルジェリア、アンゴラ、アゼル

バイジャン、ベラルーシ、ブルガリア、キューバ、チェコ、エジプト、エチオピア、フィンラン

ド、グルジア、ドイツ、ハンガリー、インド、イラク、カザフスタン、北朝鮮、ラオス、リビア、マ

リ、モザンビーク、ペルー、ポーランド、スロバキア、ソマリア、シリア、タンザニア、ウクライ

ナ、ベトナム、イエメン、ユーゴスラビア、ザンビアと、数多くのソ連の友好国に及んでい

る。

 

<実戦運用>

初めて戦闘に投入されたのは1970年と記録されている。すなわち、1968〜1970年

のエジプト/イスラエル戦争の終盤、旧ソビエト軍の「ゴア」ミサイル連隊を含むPVO-ストレ

イニー部隊がエジプト側に立って参戦し、スエズ運河地域を包含する共同防空体制を構

築したときである。このとき、ソビエト軍は4日間でF−4Eファントムを3機撃墜した。次の

記録は1972年末、ラインバッカー作戦の際、北ベトナム軍が少数のSA−3を米軍機に

対して発射した。最初に撃墜した目標は、ソビエト軍の場合と同じくF−4ファントムで、こ

の機体はミサイルの壁を避けるために燃料を使い果たしていた。しかしながら、大がかり

な実戦テストが行われたのは1973年の第4次中東戦争であり、この戦いでシリア軍とエ

ジプト軍は、イスラエル空軍に対して多数のミサイルを使用した。その中でもSA−3は、ア

ラブ軍が最も多く使用したSAMであった。しかし、華々しく活躍したSA−6の陰に隠れ

て、あまり注目されなかった。それでも、SA−2よりも有効で、SA−2の有効空域の下を

飛行する目標を射撃した。SA−3システムは、1973年以後では、1982年にイラク軍と

シリア軍が、また1986年にはリビア軍がそれぞれ実戦に投入し、その後もアンゴラ軍が

使用したとの記録がある。

 

Variants

○SA3A: 最初のバージョン。

○SA3B: 低高度性能の向上に重点を置いた改良型。

○SA3C: デジタル信号処理方式と改良型レーダーを採用するとともに、容易な保守と

        射程の改善を特徴とする発達型。

○SA−N−1ゴア: SA3の海軍仕様で、巡洋艦や駆逐艦に配備された。

 

Status

生産終了

<保有国>

□アルジェリア アンゴラ(12基) アゼルバイジャン
ベラルーシ ブルガリア キューバ
チェコ エジプト(232基) エチオピア
グルジア ハンガリー インド
イラク カザフスタン 北朝鮮(2個旅団)
リビア マリ(12基) モザンビーク(10基)
ペルー(6個大隊) ポーランド(20個大隊) □スロバキア
□シリア タンザニア(20基) ウクライナ
ベトナム イエメン ユーゴスラビア(2個大隊)
ザンビア(1個大隊)
    
 

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↑ZIL−157輸送トラックに搭載されたSA−3ミサイル

AD2003/04/20 Update

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