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SS−1スカッド短距離弾道ミサイル

SS-1 Scud SRBM

 

Specifications

米軍名称 SS−1b/c/d/e
NATO名 スカッドA/B/C/D
ロシア名 R−11/R−175(SS−1b)

R−300(SS−1c)

使用国(発射機数) ・ロシア(スカッドB/C 116基)

・アフガニスタン

・アゼルバイジャン

・ベラルーシ(60基)

・ブルガリア(36基)

・チェコ

・スロバキア

・エジプト(スカッドB 9基)

・グルジア

・ハンガリー

・イラン(スカッドB/C 10基)

・イラク(6基)

・カザフスタン

・北朝鮮(スカッドC 30基)

・リビア(スカッドB 80基)

・ポーランド

・ルーマニア

・シリア(スカッドB/C 26基)

・アラブ首長国連邦(スカッドB 6基)

・ウクライナ(132基)

・ベトナム

・イエメン(スカッドB 6基)

総生産数 7000発(ミサイル本体)
 
  スカッドA スカッドB スカッドC スカッドD
出現年次 1957年 1965年 1970年代後半 1989年
退役年 1978年      
ミサイル長 10.25m 11.25m 11.25m 11.25m
ミサイル直径 0.88m 0.88m 0.88m 0.88m
ミサイル重量 4400kg 6370kg 6400kg 6500kg
弾頭重量 950kg 985kg 600kg 985kg
弾頭種類 50KT核弾頭 ・高性能炸薬

・核弾頭(70KT)

・化学弾頭

高性能炸薬 ・高性能炸薬

・クラスター弾頭

燃料 液体

ケロシン+硝酸

液体

UDMH+RFNA

液体

UDMH+RFNA

液体

UDMH+RFNA

エンジン形式 1段式 1段式 1段式 1段式
制御方式 慣性 慣性 慣性 慣性+終末誘導
最大射程 180km 300km 575km〜600km 300km
命中精度(CEP) 3000m 900m 900m 50m
発射準備時間   1時間    
搭載車両 JS−3戦車 MAZ−543 MAZ−543 MAZ−543
  

Development & History

<開発&設計>

スカッドミサイルシリーズの開発を手がけたのはロシアのコロリエフ設計局で、第2次世界

大戦が終わった直後に、ドイツの兵器計画に携わる技術者と科学者を招請し、V2ロケッ

トをベースに設計が開始された。最初の型はSS−1b(NATO名 スカッドA、ロシア名 

R−11)で、1955年に完成した。ちなみに、スカッドAはJS−3重戦車のシャーシに搭載

されていた。

スカッドAの弾頭には通常型の単弾頭及び核弾頭の双方が開発されたが、システムの信

頼性が低く、CEP(半数必中界)は3キロメートル前後と命中精度は非常に悪かった。そ

のため、1962年に登場したのがSS−1c(NATO名 スカッドB、ロシア名 R−17)であ

る。スカッドBは、より大型のSS−12スケール・ボードと同様に、液体燃料を使用する

が、貯蔵性がよく、予熱操作の必要がない。誘導装置が改良されてCEPが約900メート

ルに向上し、最大射程も300キロメートルに増加している。また、1960年代には重戦車

の生産が中止されたため、運搬車両に4軸8輪輸送-起立-発射(TEL)車両MAZ−543

が導入され、以後この車両がスカッドシステムの標準車となった。

ミサイル発射の際には搭載架兼発射用支持架により、車両後方に垂直に立てられ発射さ

れることになる(ミサイルが横にされた移動状態でも発射台はミサイル後部に取り付けら

れており、ミサイルは発射台ごと立てられる)。なお、ミサイルを直立させるのに使用され

た支持架は、発射時には倒されるようになっている。

スカッドミサイルは、敵後方地域に所在する飛行場、司令部、後方連絡施設等の攻撃に

使用される。

 

<誘導>

スカッドミサイルは、ジャイロスコープ3台による基本慣性誘導方式で誘導される。ジャイロ

からモーター排気口内のグラファイト制御羽根4枚に制御信号が送られて、発射直後の上

昇時におけるミサイルの飛行経路を調整するようになっている。制御羽根はモーターが作

動中のみ、すなわち飛行を開始してから最初の約60秒間だけ作動し、モーターはミサイ

ルが所定の位置に到達した時点で、無線指令によって停止される。

 

<運用>

スカッドミサイルは1973年の第4次中東戦争の時に初めて実戦で使われた。この時、エ

ジプト軍はシナイ半島のイスラエル軍補給施設に数発のスカッドBを発射したが、みるべ

き戦果は無かった。エジプト軍のスカッドB部隊のほかに、ソ連は核戦闘能力のあるスカッ

ドB旅団をエジプトに空輸したと言われている(ただし核弾頭は船舶で輸送した)が、実戦

には参加しなかった。第4次中東戦争ではスカッドミサイルの少なからぬ欠陥が暴露され

た。欠陥の主なものは、対応と準備に長時間を要することである。特にスカッドミサイルは

液体燃料を使っているのでその傾向が強かった。また、精度も不良で、例えば戦争最終

日にエジプト軍がスカッドBをイスラエルの橋頭堡に対して2発、シナイ半島の軍事目標に

対して1発発射したが、重要目標には1発も命中しなかった。このような精度不良は、指揮

管制や目標情報処理にコンピュータや自動データリンクを使用しないで、原始的な手動イ

ンターフェースを使っていたことが原因となっていた。このため、人為的な誤差が重なっ

て、このシステムの信頼性を悪くしていたのである。

その後、1980年代にはイラン・イラク戦争(双方が600発以上の各種スカッドミサイルを

発射)、アフガニスタン紛争(2000発以上が使用されたといわれる)などで実戦に投入さ

れ、1990年代には湾岸戦争でイラク軍がスカッドミサイルの改良型を大規模に使用、

1994年のイエメン内戦でもスカッドミサイルが使用されている。

 

<生産>

スカッドミサイルシリーズの輸出先は、アフガニスタン、アゼルバイジャン、ベラルーシ

、ブルガリア、チェコ、エジプト、グルジア、ハンガリー、イラン、イラク、カザフスタン、

北朝鮮、リビア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、シリア、アラブ首長国連邦、ウク

ライナ、ベトナム及びイエメンである。ロシアで生産されたスカッドミサイルの数は数千

発(7000発とも言われている)に及ぶものと推定され、エジプト、イラク、イラン北朝鮮

ではスカッドBとその発達型が製造されているという報告がある。

 

<バリエーション>

○SS−1b スカッドA: 最初の量産型で、1957年に配備が開始された。しかし、信

                頼性が低く、ソ連では1978年に退役した。

○SS−1c スカッドB: 1965年に登場した改良型で、誘導装置が改善されるととも

                に燃料が変更されて射程が向上している。世界中に輸出さ

                れたスカッドミサイルシリーズで最もスタンダードなタイプで

                ある。

○SS−1d スカッドC: 1970年代後半に登場した改良型で、弾頭重量を600キロ

                グラムに減少させて射程を575キロメートルに延伸した通

                常弾頭専用型である。北朝鮮にも輸出されて同国のIRBM

                開発の元になった。

○SS−1e スカッドD: 1989年に登場したスカッドミサイルの最新型。終末誘導用

                目標照合レーダーを搭載したタイプで、CEP(半数必中界)

                は50mと大幅に精度が向上した。

○アルフセイン: イラクがスカッドBをスカッドCにヒントを得て独自に改良したタイプで

           1988年に配備が開始された。主な改良点は弾頭部を小型化し、

           その分燃料を多く搭載したことで、射程が650キロメートルに延伸

           されたが、その分精度が悪化(CEP 1000m)している。湾岸戦争

           で大量に使用された。

 

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↑MAZ−543TEL

 

Scud-3.jpg (24000 バイト)

↑JS−3重戦車TEL

 

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