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幸福の真ん中にいながら気づくことのできない人がいれば

不幸のただなかにいて幸福のかけらを見つける人がいる

僕はどちらの人になりたいかと少しだけ考えてみる

人はそういうものだとはいっても僕はどうありたいかと思い浮かべる

夜空に月が出て一つだけの明かりもきっと無数にそこにあり

どちらもここから見ればささやかすぎて音も立てずにそこにあって

そして耳元で声がする

笑う顔が振り向いたような気がする

そのうち名前も何もなくなってしまう光なのに見とれてしまう

一緒に笑いながらいたい

それが僕の思い浮かべた幸福、希望、淋しさの証のようで

それは実際に今夜の出来事だったみたいでまるで夢のようでもここにあって

風が吹いた後の雨もやんでカーテンを閉じると僕は眠りに落ちた


[ 021125] copyright(c)2001-02 taichi kobayashi