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Day Break

何処まで行っても 満たされる事のない 欲求の赴くまま ゴールのないレースを 走り続けていた。 誰よりも 幸せでありたいと願い その為には どんな犠牲も厭わないのに もう僕には 何が幸せなのか 解らなくなっている。 何もかも 捨ててしまおうと思った。 無駄な物を全て削ぎ落として シンプルな自分に戻りたかった。 今日までに手に入れた全てのこと 大切にしていた思い出 何もかもを たとえ 失ってしまう事になっても もう構わない。 頑なに 守ってきた そういった物こそ 今は 無意味に感じている。 無理やり・・ にでも できる限りのモノを 捨て去った後ならば きっと 自分を縛り続けていた 何かから 少し解放される気がする。 目に映るものは 皆 輝いて見え 全てが 生き生きと みずみずしいのだろう。 不思議な感動に 動揺してしまうだろう。

いつの間にか 朝を迎えていた。 太陽の真っ白な光が 部屋いっぱいに広がっていく。 今までの自分を 洗い流すような思いで 体中に光を浴びた。 窓から入ってくる 透き通った風を 清々しい気持ちで受け留めた。 こんなにも気持ちの良い朝が 全てのものに与えられている。 今まで 当り前に感じていたから 気付かなかった 多くのこと… 自然に笑みがこぼれる。 今 確かに 幸せがここにある事を 感じていた。 本当は もうずっと前からここにある。 でも 見ようとしなければ 全く見えないもの、 気付けなかったから 手にいれることの出来なかった 幸せを 新鮮な思いで 思いっきり抱きしめていた。 誰かに 幸せにしてもらうのではない。 自分を幸せにするのは 自分でしかなかった。 きっと 己の心の中にこそ 絶対的な幸せが 見つけられるのではないか。 精一杯の愛を返したかった。 出来る限りの愛で答えたかった。 自分を必要としてくれる人全てに。 今なら 惜しみなく 出来る限りの全てを与えられる気がする。 ・・惜しみなく与えるコト、それが ぼんやりと しかし 着実に少しずつ 解り始めていた。