人間が他の動物と違うところ
2007年度版(1997年度より修正しながら実践)
4月の歴史の授業で,「人間が他の生物と違うところはどこだと思いますか。」という問いかけをしました。
下の表の左側が授業での子供たちの反応です(今まで,この授業は何回もやってきましたのが,だいたい下のように答えが出ます)。
右側は,この授業をするにあたって,私が考えてきたものです。
人間が他の生物と違うところはどこだと思いますか。 まずは,下を見ないで考えてみましょう。15個以上見つかるかな? |
人間が他の動物と違うところ | 備 考 | ||
6年児童の反応 | Harabird | ||
・言葉がしゃべれる |
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 |
・服を着る ・言葉を話す ・手が器用 ・立って歩く ・うんこを人前でできない ・トイレに行ったら手を洗う ・道具を使う(広い言葉) ・戦争をする ・趣味を持つ ・火を使う ・ペットを飼う ・化粧をする ・スタイルや顔を気にする ・料理をする ・字を書き,記録を残す ・歌を歌う ・芸術を味わう ・布団で寝る ・病気になったら薬を飲む ・風呂に入る ・髪を切る ・雨が降ったら傘をさす ・石油がないと文明を維持できない ・地下資源を利用している ・宗教をもつ ・学校に通う ・法律で行動が規制される ・冒険をする ・国を作る ・歩行以外の移動方法を持つなど |
「3,4,7」等は,チンパンジーやボノボやゴリラでも可能だという指摘を受けました(私の師匠から)。 「20」の宇宙に行った」は,他の生物も実験で宇宙に行ったことを付記して下さい。 「21」に関して,手話を使ったり,ペットを飼うボノボを某テレビで見たときは,本当に驚きました。 「26」では,レッサーパンダが2本足で立つと子ども達が指摘するかもしれません。通常歩行は,4本足ということで説得して下さい。 |
人間が人間として今のような進化をとげたのは,上の表のうちどれが大切だと思いますか。 |
※直立することによって大きな脳を持つことができるから,「直立歩行」を重視したが,道具を手にしたことも大きいという意見も多く出た。
ちょっと実験をしてみましょう。頭の上に重たい荷物を載せてみます。 ア.頭を下げた状態(四つ脚歩行の状態) イ.直立した状態 とでは,どちらが長く耐えられるでしょうか。 |
※直立することによって大きな脳を持つことができるから,「直立歩行」を重視。
※この実験では,明るく小さなミスを気にしない子を数人選んで行うとよい。
今から示す「骸骨(がいこつ)」の絵を見て,気がついたことをノートに書いて下さい(『最古の人類』TIME LIFE BOOKS)。 |
※アウストラトピテクス,ホモサピエンス等の絵を提示。脳の大きさがかなり違う。
・だんだんと背が大きくなっている。
・道具を作るのがうまくなっている。
・歩行もうまくなってきている。
・脳がとっても大きくなっているなど。
※この本が手に入らない時は,図書室の図鑑にある「猿人」と「ホモ・サピエンス」を児童に示すとよい。
※直立→脳の発達→道具の発達をとらえたい。直立することによって大きな脳を持つことができるから,「直立歩行」を重視したが,道具を手にしたことも大きいという意見も多く出た。
ここで実験です。班ごとにスズランテープ(ビニールテープ)を切ってもらいます。 旧石器時代以外の道具を使っては,だめです。できるだけはやく友だちと協力して切って下さい。制限時間は,2分です。 |
※子どもたちは,夢中になってやる。グループ対抗戦にしても楽しい。
旧石器時代の人類は,このビニールテープをどれくらいの速さで切れると思いますか。 |
・だんだんと背が大きくなっている。
では,先生が旧石器時代の人類が使っていた道具で切ります。どんな道具を使ったと思いますか。時間も計ってください。 |
・あっと言う間に切れたから,カッターかな?
・切り口がきれいだから,はさみかな?
※答えは,黒曜石。黒よう石は,北海道産,長野産を入手。細かく砕くときは,軍手とめがね(ゴーグル類)を用意するのと,砕き方を調べてから行った方が安全!
※ヒントとして,黒よう石で切った紙を見せ,何で切ったかを予想させると子ども達はさらに真剣に考える。
道具を手に入れると,生活はどのように変わっていくでしょうか。 |
・生活が楽になる。
・他の大きな動物を倒すことができる。
・食べ物を手にいれやすくなる。人口が増える(『文明の起源』,岩波新書参照)。
・紙を短く切ったりできる。
・作業する時間が短くなるなど。
※授業のまとめとして,子ども達の発想を大切にしたまとめをしたい。