山口路子
「マリリン・モンローという生き方」

マリリンの残した言葉を交えつつ、彼女の一生を紹介する。
あとがきを見ると、著者にとっては、ココ・シャネル、サガンに続く「生き方」シリーズ第三弾だという。
『ただ、ひとりでも多くの人に伝えたい、届けたい。
ひとりの、真摯に生きた女性の人生を。』
と書かれたように、とても誠実にマリリンの生涯を追いかけて書き留めているように思える。
マリリンを書こうと思います、と筆者の山口さんが言ったとき、周囲の反応は否定的なものが多かったそうだ。
離婚したり薬やアルコールにおぼれた人から何を学ぶのか、自滅した人の人生を書くのはよくない、などと。
でも、山口さんは、こうして書いてくれた。ありがとうございます。
ただ強く生きただけの人生を見せられたって、どれだけ心にしみるだろうか。
弱さをもちながらも、努力して苦悩して生きた、そうした人生のほうが、いとおしい。
――本書のカバー、きらきらしているのが、マリリンにふさわしい。〔2012・9・2(日)〕


山田和夫
「日本映画101年 未来への挑戦」
映画検定を受けるので、テキストばかりではなく、なにか日本映画を知ることができそうな本を読んでみるかな、と思って、図書館で探して見つけた本。
戦争など、社会の出来事に対して、映画がどのように変わっていったか、また、自由を守るための戦い、とでもいったものを中心にして書かれている。
東宝で起きた労働争議のことや、アメリカ占領軍の政策で、アメリカ以外の外国映画の輸入本数が制限されていたこと、などの話は面白い。
どうしてなのか、日本映画については、監督の名前とか、映画のタイトル名とか、覚えにくいのだ。外国映画のカタカナ語のほうが簡単に覚えられるような気がする。
興味の問題なのだろうか。過去から続いてきた記憶のための下地の問題か。(つまり、日本映画については、今まで観てきていないから、記憶しているものも圧倒的に外国映画に比べて少ないので、一から覚えないといけない、ということ。)
読んでみて、何かの役には立った、と思いたいものです。
余談だが、レンタル店に行っても、日本映画はDVDが少なく、いまだにビデオテープが多い。昔の名作と言われる映画も品揃えが薄い。需要(借りる人)が少ないのかねえ。〔2006・5・23(火)〕


山田宏一・和田誠
「ヒッチコックに進路を取れ」
山田宏一さんと和田誠さんが、ヒッチコック映画を語り尽くす楽しさ!
アルフレッド・ヒッチコック監督のイギリス時代のデビュー映画から、すべてを取り上げているので、資料的な意味もある。
見ていない映画でも、大きなネタばれまでは語っていないので、まあまあ、読んでもだいじょうぶでしょう。
発売は去年だから、けっこう新しい本を私としては借りてきたものだ。
ヒッチ先生は、今年が没後30年だったんですね。それで、テレビでもよく放送があったのかな?
先日のBSでの集中放送は録画してあって、あとでヒマを見て観賞しようと思っている。(でも、こういうのって、本気で見る気にならないと、なかなか見ないんだよねえ。)
私は、ドキドキさせる娯楽映画の作り手としては、ヒッチコックがナンバーワンだと思う。
特定の1本を見るのなら、ほかの監督作品でも、もっとドキドキする映画はあるだろうけれど、生涯にわたってレベルの高いサスペンス映画を世の中に送りつづけて、観客を楽しませた点において、ヒッチコックがもっとも素晴らしい監督ではないか。
映画ファンなら、彼の作品にトライしてみましょうね。ハマるかもよ〜。
山田さんも和田さんも、ヒッチ映画をよく知っていること! 資料も見ずに記憶だけで話しているとしたら、驚くべきことだ!(私なんて、きのう観た映画だって、少しずつ忘れてるのに。笑)〔2010・12・24(金)〕


山田風太郎
「人間臨終図巻1」
なぜ読んだかって、マリリンも載ってたから…。
さまざまな人の「死に様」を書いたもので、第1巻には「十代で死んだ人々」から「四十九歳で死んだ人々」までが並んでいる。
病死がいちばん多かったと思うが、刑死や自殺や暗殺、事故、戦死なども。
いちばん若くして取り上げられているのは、八百屋お七と大石主税の15歳。
マリリン・モンローさんは1926年生まれの1962年没で、享年36だった。
本書では、ごく一般に知られる、彼女の最期の状況などを書いているだけで、特筆すべきものはなかったです。〔2014・8・6(水)〕


養老孟司
「バカの壁」

大活字本で読んだ上下巻だが、なにしろ大きい字で、すぐ読めた。人間は変わらないのではなく、変わり続けていて、なにか、情報という「形」になると、それは、はっきりと変わらないものになる。みたいなところが印象的。ちょうど映画の「美女と野獣」を観て、王子の性格が悪いから野獣にされたんだろ、性格がよくなるわけないさ、と思っていたのが、そうなると、王子の性格も変われるのだろうか?と考えてしまったのだ。まあ、どうでもいいや。(いいのか?)〔2017・4・27(木)〕


横溝正史
「夜の黒豹」
古本屋で見かけたので買った。横溝正史は、昔ブームになっていたころに、何冊か読んでいたから、また、たまには読んでみるかと。
本のカバーが、口から血を流している裸の女性の胸にトカゲが這っているという、エッチなもので、喜んで、即、買ってしまったのだった(笑)。
横溝さんの話は、たとえば「真珠郎」などは、わくわくするような妖しいエロチックさや耽美趣味があって、印象的だった記憶があるのだ。
でも、この「夜の黒豹」は、たいしたことなかった…。
金田一耕助が活躍して、一応は本格推理の形。文章は読みやすくて、すいすい進んだ。
まあ、金田一耕助の活躍話を読んでみたよ〜、ってところ?〔2004・7・22(木)〕


横山秀夫
「クライマーズ・ハイ」
地元で起きたジャンボ機墜落事故を取材する新聞社内の人間模様を描く。 1985年8月12日、羽田発・伊丹行きの日本航空123便が墜落したというニュースが入る。現場は長野と群馬の県境らしい。
群馬の地方新聞社である北関東新聞では、遊軍記者・悠木が全権デスクに任命される。やがて、墜ちたのが群馬県多野郡上野村の御巣鷹の尾根と分かり、自分たちの県での事故として、悠木たちは興奮と緊張に包まれた…。
著者の横山秀夫は群馬県の上毛新聞社で12年間、記者生活を送った経験がある。
私がネット上で得た知識では、横山さんは当時1か月半にわたって事故現場を取材していたものの、作家になってから、このことを書くのは新聞記者の自慢話にしかならないと思えて断念していたという。
しかし、事故から17年後、考えが変わる。作家になった以上、あの事故のことを書かないのはおかしいと思うようになったそうだ。
現場での体験は封印して、大いなるものと対峙することを迫られた新聞社の男たちの群像ドラマにした。記憶でも記録でもないものを書きたかったからだ、と語っている。
社内の人間関係、派閥争いが驚くほど「濃い」。
どの記事を載せるのかが、社内のお偉方の意思にかかっていたりすると、苦労した部下が報われないよね。
個人と組織の対立、対峙。社会生活を送る限り、それは少なからず、どこにでもあるものだろうけれど、さすが小説だけあってドラマティック。
悠木は、お偉方や他局の局長クラスと何度も、やりあう。例を挙げると、広告担当は、記事のために広告をはずされては困るし、発送担当は、紙面作成が遅れるのは困るしと、部署が違えば立場も違ってくる。
新聞ひとつ作るのも大変だと、よくわかった。
事故取材と紙面作りのメインストーリーに、悠木の家庭問題、山登りの友人との関係、若手記者を死に向かわせた過去への後悔などを絡ませて、ふくらみを持った話にしている。
悠木という男が、どこまで頑張り通すのか、どこで折れるのか、そのとき、周囲の人間との関係はどうなるのか。
とても、おもしろかった。上々のエンターテインメント。
映画を見て、内容がどのように違っているか知りたくなってきた。〔2009.8.28(金)〕


淀川長治
「淀川長治映画ベスト1000[決定版]」

あまりにたくさん本数があるので、猛スピードで読んだ。見ていない映画は飛ばし読み気味。「吸血鬼」(ロマン・ポランスキー監督)を楽しめる人はいいセンスですよ〜、みたいなことを書いていたのが、いちばん印象的。私自身が大好きだから、そういわれると、うれしいから。〔2015・2・17(火)〕