行ってきました草津温泉。(草津温泉report)


不定期連載第1回(10/9up)

 お医者さまでも草津の湯でも恋の病は治りゃせぬ。
 というわけですが、残念ながら、恋わずらいではありませぬ。どこの温泉に行こうかと楽しみながら悩みつつ、かの有名な草津に一度は行ってみるべし!とばかりに、ネットで宿を探して予約する。特急電車に乗らなくても5時間程度で行けるので、

 予約したのは宿のみで、交通手段はとってもファジー(?)という気楽さが、また良いのであった。

 去年の砂湯編は簡単にまとめたが、今回は3日間をちゃんと書いてみよう。え、読むのがめんどくさい?
 まあまあ、そうおっしゃらずに。
 少し書いたら、そのつど公開していけば、新聞の連載小説みたいに1回の量は少ないから、読むのも簡単でしょ? でも、前に書いた部分も、あなたが知らないうちにマイナーチェンジ(ちょっと書き直し)してるかもしれないので、たまにはチェックしたほうがいいかも?

9月19日(木)

 朝10時ころ、ゆっくり出発。行き方は1通りではないが、上野から行くルートを取る。そこから高崎までは普通電車で約1時間半。次の電車まで20分弱の待ち時間があり、駅内のファストフード系の店に入る。サンドイッチとカフェオレなどを食してみた。
 電車に乗り、途中、渋川(ここで降りると伊香保温泉へ行ける)から吾妻線に入ると、揺れもガタゴトと激しくなる。小野上温泉、川原湯温泉と、駅名も温泉風情がいっぱいだ。長野原草津口まで約1時間半。
 駅前から今度はバスで25分。山道は、よくあるごとく、片方が崖の道。くねくね曲がりながらバスが行くので、もしハンドルを切り損ねて崖から落ちたら…とふと思う。こういう道を通るときは、いつもそう思ってしまう。こわー。
 そして、とうとう草津温泉へ到着だ。  (続く)

 …もう(続く)かよ!おい!


不定期連載第2回(10/14up)

 そんなわけで、バスターミナルに夕方4時に着いた。周辺を見渡しても、宿の場所を示した地図が見つからない。
 だが、バスが温泉街に入ってきてすぐ、道路わきに「旅館 美津木(みづき)」の文字と矢印のある看板があったのを、車内から、ちゃんと私は見ていたのだ。はっはっは。

 看板の場所まで行き、その指示どおりに歩く。が、次の看板がなかなか出てこない。多少不安になりながら、宿のHPで見た地図の記憶もたぐりながら歩き続ける。遠いなあ。
 しかし、知らない場所へ歩いていくときは、目的地がはっきりしないために、遠く感じるものである。
 次の看板が見つかり、なおも少し行くと、あった、あった、「旅館 美津木」。(写真はクリックで大きい画像になります。以下同じく。)
 時間は4時20分になっていた。
 チェックイン。壁に女性2人の入浴シーンの写真が貼ってある。

 むむっと注目してみると、説明書きにデビ夫人、とある。

 「デビ夫人が来たんですね」と女将に聞くと、「去年の12月にテレビの番組でいらしたんですよ。(デビ夫人は)可愛い方でしたよ」とのこと。一緒の女性は水沢アキさんだという。
 テレビ東京の番組らしい。

 部屋へ案内される。階段の途中に、デビ夫人と水沢アキさんのサイン色紙があった。
 階段を上がってすぐの部屋。ベッドがあり、畳にテーブル、という和洋折衷スタイルだ。
 お茶と饅頭で一息入れる。よーし、着いたぞ。

 トイレを見たら、手を拭くためのタオルがない。聞いてみたら、もともとないのだそうだ。そんなもんだったろうか。
 ドアの建て付けも、いまいち。開閉時に、どこかが引っ掛かって、「ぎぎぎ」と音を立てなさる。建築してから何年か経って、木が伸縮した結果だろうね、と、まるで森博嗣氏の小説の、建築学科・犀川助教授のように考える。
 まあ、安い部屋だからいいさ。
 テーブルには、テレビ番組表の載った雑誌が置いてある。これは気が利いている。
 さあ、一休みしたら、さっそく露天風呂へ出撃だ!  (続く)


不定期連載第3回(10/19up)

 階下へ降り、外へ通じるドアを開けて、階段を降りる。正面に「庭園露天風呂」、奥に「家族風呂」がある。
 この宿の風呂は、空いていれば、風呂の入口に札を下げておいて貸切状態にできる。いちおう20分以内でお願いします、という建前になっているが、多少オーバーしても大丈夫らしい。
 お目当ての庭園露天風呂が空いていたので、さっそく貸切札を入口に下げて入る。
 風呂の向こう側は、ガラス越しに、庭というか、野原というか、花や草木が一面に広がる。
 風呂の周囲には、大きな岩がいくつか置かれていて、岩風呂の風情。
 体を洗って、さあ、浸かってみよう。
 これが、なかなか熱めなのだ。岩のところから新しい湯が絶え間なく注ぎ込んでくる。肩まで浸かっていると、すぐに熱くて我慢できなくなる。

 草津の湯は透明で、酸性度が強く、入る瞬間は少しピリッとするが、入ってみれば、まろやかな感じ。

 それに加えて熱いのかあ。けっきょく、腰まで浸かったり、足だけ浸かったりする時間が、ほとんどになった。
 ゆったりして、見当で20分くらい経ったと思ったあたりで、上がる。また、あとで来ようっと。

 さあ、夕食だ。旅館の夕食というのは、たいてい時間が早い。ここは6時。従業員の後片付けの時間を考えて、早くしているのだろうか。
 献立を紹介しよう。鮎の塩焼き、水炊き(鶏肉、豆腐、ねぎ、えのき、春菊)、刺身(まぐろ、ぶり、えび)、煮物(大根、にんじん、ちくわ、など)、茶碗蒸し、きんぴら、酢の物、漬物、味噌汁(里芋、大根、油揚げ)、ごはん。
 うーん、なかなか豪華だわい。1年に1度、こんなこともいいじゃないか。
 お腹いっぱいになりながら、ごはんも全部、平らげた。ごちそうさま!

 食後、休憩してから、また風呂へ。
 今度は家族風呂へ入ってみる。ちょっと長細い形のお風呂だ。さっきの庭園露天風呂よりも熱い。ここは、入っていられず、またしても、庭園露天風呂へGO。上がってから、次は屋内の風呂へ。ここも熱い。
 ゆっくり浸かったのは、庭園露天風呂に3回、というのが、初日の結果だった。  (続く)


不定期連載第4回(11/2up)

9月20日(金)

 朝食は、純和風。塩鮭、納豆、海苔、生卵、おひたし、漬物に、味噌汁、ごはん。なぜかヤクルトが付く(!?)
 9時に宿を出る。町の中心・湯畑を見て、西の河原(さいのかわら)公園露天風呂へ行く計画。
 湯畑(右写真)に近づくと、イオウの匂いがきつくなってくる。草津に100以上ある源泉の中のひとつである湯畑は、中央広場にある。草津温泉のシンボルとも言える場所。毎分5000リットルの湯が湯煙とともに湧き出している。
 西の河原への道を行くと、温泉まんじゅうを道行く人に配っている店がある。熱々のまんじゅうを手渡され、お茶もすすめられて、店内で食べる。出来たては、ほかほか。が、いま買うわけにもいかないし。いまは露天に行かねばならぬ、行かねばならぬのだ〜。

 熱い湯が小川のようになって流れるのを横目にしながら、上流のほうへ登っていく。かつては鬼の泉水、別名「賽(さい)の河原」と恐れられた一帯だ。
 賽の河原というのは、三途の川のほとりにあるといわれる河原で、死んだ子どもが石を積み上げて塔を作ろうとするたび、鬼がやってきてそれを崩してしまう、永遠の苦痛と恐怖を象徴する場所だ。
 草津温泉の効能を世界に紹介したベルツ博士像や、俳人の水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)碑などを過ぎて、とうとう着いた! 

 いちばんの目的の、西の河原露天風呂だ。

 写真は入浴客に迷惑なので撮らないように、と書かれていたので、このときは撮らなかった。翌日の朝、営業が始まる前に撮らせてもらった。朝の寒い空気に熱い湯で、もやが充満し、なかなかすっきりと見晴らすことは出来なかった。
 面積は500平方メートル。男湯でも、楽々とプールくらいの長さがあるだろう。
 奥のほうに湯の供給口があって、そちらは熱い。浸かっていられない。係の人が、たまに温度を測っているので、お湯、熱いですね、と聞いてみたら、いま41.5度だそうだ。昼間は日差しがあると熱めになるらしい。
 
 なにしろ熱めなので、身体を外に出している時間が多くなる。そこへもってきて、日差しがある。いい日光浴だ。でも油断して焼きすぎないようにしなければ。去年みたいに、ヘソの上が日焼けする羽目になりかねない。
 大学生かと思われる6人組が入ってくる。熱い熱い、と言って、やはり長くは浸からない。日光浴よろしく、陸の上で○○○丸出しで、大の字に寝そべるのもいる。
 関西から来たオジサンと話をする。和歌山にある露天のほうが広い、などと言っていた。
 トンボが湯面すれすれを飛んでいる。この湯を飲んでいるのだろうか。湯面には、死んで浮いているトンボもいた。下手に飛んで湯に触れてしまったら、火傷して溺れて死ぬのではないか、と思った。危なくないのだろうか?
 大きな露天のいいところは、まわりにある自然だ。(晴れれば)青い大空、緑の木々。大らかな気分になる。ゆっくりとした時間が刻まれていく感触は、他では得られないものだ。
 浸かっていたのは少しだったが、けっきょく、3時間のんびりと、この露天で過ごした。  (続く)


不定期連載第5回(11/17up)

 西の河原公園露天風呂からの帰り道に、「草津 片岡鶴太郎美術館」がある。(右写真)
 受付で入場券を買って、トイレへ行きたかったので、場所を聞くと、案内してくれる。戻って、売店らしきところで、いろいろと販売品を見る。
 ここで、何を勘違いしたのか、ここは、この売店らしき場所しかないのだと思ってしまい、ひととおり見てから出てきてしまったのだ!
 よく考えれば、展示物がないはずはない。売店の逆のほうに、展示してある場所の入口があったのに違いない、と宿に帰ってから、はたと気づいた、大間抜けである。
 明日、券を持って、受付の人に説明して、入れてもらおう、と心に誓った(大げさな)。
 だいたい、真っ先にトイレの場所を聞いたから、いけなかったのだ。そうでなければ、展示場の入口はこちらです、と案内してくれたに違いない。
 900円も払って、トイレと売店だけだった、というのは、悲しすぎるではないか!

 道の脇から階段をずっと上り、白根神社へ。一緒だったのは家族連れが1組だけ。ひっそりしている。ここは行基(ぎょうき)、源頼朝とともに、草津温泉を最初に発見したと伝えられる日本武尊(ヤマトタケルノミコト)をまつった神社。
 近くにある、松尾芭蕉碑、十返舎一九碑、高村光太郎碑も見てみた。

 中央広場のあたりに、「熱の湯 湯もみと踊り」というショーを見せる小屋がある。

 源泉の温度を下げるため、長い木の棒で湯をかきまぜるのが、湯もみだ。

 それに「草津節」などの踊りのコーナーを加えて、ショーにしている。湯もみは、お客も参加できるが、遠い席だったし、あんまり面白くなさそうだったので遠慮した。
 写真は、湯もみの実演。反対側にも4人いる。

 宿に帰って、また庭園露天風呂へ行く。いつも空いていて、さっと入れるので満足。

 夕食は、ぶりの煮物、鴨鍋〔味噌味〕(鴨、豆腐、ねぎ、しいたけ、春菊、うどん)、刺身(まぐろ、えび、帆立)、煮物(里いも、大根、にんじん、こんにゃく)、茶碗蒸し、きんぴら、酢の物、漬物、味噌汁(大根、にんじん)、ごはん。
 1日目と基本は同じだ。ごはんがあるうえに、うどんは食べきれなかった。

 宿のロビーに、白根山脈の水がひかれていて、ずっと流しっぱなしになっている。風呂に入ったあと、これを飲むと、すごく美味(うま)い。美味い水というのは、こういうものなんだなあと感じたことである。  (続く)


不定期連載第6回(最終回)(12/5up)

9月21日(土)

 朝6時に宿を出て、西の河原露天風呂へ向かう。きのう撮れなかった写真を撮るためだ。そのために早起きして出てくるとは、我ながら根性がある。
 準備中の係の人に頼んで、写真を撮った。(その写真は上記を参照)
 帰ってきて宿の露天で朝風呂。
 朝食は、きのうと同じだぞ。塩鮭、納豆、海苔、生卵、おひたし、漬物に、味噌汁、ごはん、ヤクルト。
 10時のチェックアウトまで、またまた露天風呂に入ったりして、ゆっくりしていた。
 
 2泊お世話になった宿を後にして、片岡鶴太郎美術館へ。受付で、きのう展示を見忘れたというアホな事実を説明すると、快く入場させてくれた。
 ゆっくりと展示を見ていく。いろいろな作品があって、もともと芸術家の素質があったんだろうなあと感心。

 さて、草津には、無料で利用できる共同浴場が19ある。

 少なくとも、そのうちのひとつくらいは入ってみようと思っていた。
 湯畑の近くにある「白旗の湯」に入った。ここは共同浴場のなかでも有名で、源頼朝が発見したといわれる白旗の湯の源泉地ということだ。
 荷物を小屋の前にあるコインロッカーに入れ、中に入る。湯船が2つ。源泉が樋(とい)を流れている。
 ひとりの男が樋から湯を汲んで桶に入れたり(熱い湯を、さますため)、他の入浴者と世間話などをしている。管理者というわけではないだろうが、地元の「顔」のような感じだ。
 この男があぐらを組んですわっているときに、○○○の左側が見えたのだが、3つばかり丸く膨らんでいるものが視界に飛びこんできた! なんと、○○○に真珠か!? もしかして、怖い関係の人だったりして? でも愛想はいいのだ。
 私など、1分も浸かっていられないほど熱かったのに、「でも、きょうは熱くないほうだよ」などと、のたまう。これで熱くないって、いったい…。
 しかし、この熱さも、また、いい思い出かもしれない。

 バスターミナル内の喫茶店でカレーのランチを食べ、バスで長野原草津口駅へ。そこから、普通電車に乗って、ゆっくりと帰ってきた。急がない旅、急行、ましてや特急なんか乗らないのだ。

 かくして、草津初体験の旅、おしまい。
 お読みいただいた皆様、最後までお付き合い、ありがとうございました!  (完)  



ダイヤルBJを廻せ! へ          トップページへ