トロイ

TROY
監督 ウォルフガング・ペーターゼン
出演 ブラッド・ピット  エリック・バナ  オーランド・ブルーム  ピーター・オトゥール  ショーン・ビーン  ブライアン・コックス  ブレンダン・グリーソン  ビンセント・リーガン  ギャレット・ヘドランド  ダイアン・クルーガー  ローズ・バーン  サフロン・バローズ  ジュリー・クリスティー 
脚本 デビッド・ベニオフ
撮影 ロジャー・プラット
音楽 ジェームズ・ホーナー
編集 ピーター・ホーネス
2004年 アメリカ作品 163分
評価☆☆☆

え、そう、タダ券をもらったんだよ。
「トロイ」か。うーん、「トロイ」ねえ…。興味ないなあ…と思ったけど。
アキレスを演じるブラッド・ピットが、アキレス腱を怪我したとかいう、ジョークのようなニュースが入ってきたりしたでしょ、あと、予告編で大船団の映像を見て、スケールでかそうだなあ、と思ったりはしてたけど、すすんで観ようという気はなかったんだ。
で、期待しないで観に行ったらさ、これが、じゅうぶん面白かったんだよ。

トロイ戦争のことは知らないし、アキレスも名前しか知らなかったけど。
トロイの木馬が出てきたときは、知ってるアイテム登場!(?)みたいな感じで、おお!と思ったよ。
あの木馬の中に、どうやって何十人も人間が入っているのか知りたかったけど、あんまりよく分からなかったなあ。
あれ、トイレなんか、どうするんだろうね。ただ、我慢するだけなのかなあ。大変そう。
あ、桶かなんか用意してあるのかな。

うん、ギリシャ軍がトロイに攻め寄せていくだけの単純な話が、分かりやすくて、いいんだよ。
ブラッド・ピットのアキレスは、話題になってるけど、お見事な筋肉だったよ。少しうらやましい。
敵将のエリック・バナもよくて、この2人の一騎討ちは見せ場だったね。
アガメムノンやら、オデュッセウスやら、「トロイのヘレン」やら…そういう映画があったんだよ、そんな、知ってる名前が出てきて面白かったよ。
でも、アガメムノンって、この映画では強欲なだけの王様という印象だった…。ほんとにそうなのか分からないけどね。

観ているうちにね、あ、この王様って、ピーター・オトゥールじゃないか!って気づいたんだ。
最初は、あんまりパッとしない王様みたいだったなあ。
ピーター・オトゥールが出てるというのは、どこかでかすかに聞いたことはあったんだけど、あんまり覚えてなかったんだよね。
この人の出番には、ちゃんと演技の見せ場が作ってあったね、やっぱり。なんたってアラビアのロレンスだもんね、オトゥールといえば。感動的な場面があったよ。

それから、なんとジュリー・クリスティーも出てたんだよ! これは後で知ったんだけど。
後から考えて、そうすると…あのお方がそうだったのか! と思い当たった。
うー、ぜいたくな使い方。というか、もろ、ゲスト出演だよね。

アキレス、映画では英語だから、アキリースって感じの発音なんだけど、彼の母親が、お前は、戦いに行ったら帰ってこない。つまり死ぬだろう、と予言するんだよ。
戦いに行って、死んで名を残すか、それとも行かずに生きて、名を残さないままにいるか。
アキレスは戦いに行ったわけ。
彼にとっては、生まれたときから戦いの日々で、生きること、すなわち戦いだったと、彼自身もそんなことを言うんだけどね。
そういうふうに生きることしかできないんだ。
ハードな人生だよね〜。
でも、このトロイの地で、彼はひとりの娘と出会うんだよ。
女性を愛する気持ちを知ったアキレスは、でも、そのために、最後は…おおっと、言わないでおこう。

トロイの王子、長男はへクトルというんだけど、そのヘクトルを演じたエリック・バナは渋かったねえ。
家族を大切にして、あまり戦いは好きじゃないみたいなんだけど、やるときゃやる。強いんだよ。
ダメな弟を守ってやるし――ダメな弟ほど可愛いって言うけどね――いい人なんだよ。
でも、アキレスと一騎討ちをせざるをえなくなってしまうわけ。
考えてみると、ここでアキレスの挑戦を受ける必要はないんだよ。アキレスは身内の仇を取るために挑戦してきたんだけど、ヘクトルは、戦って倒した相手がアキレスだと思ってたんだから。
それがアキレスが勝手に怒っちゃって、ヘクトルをやっつけたくて気が収まらないだけなんだからさ。

だけど、ヘクトル、ここで逃げたら、やっぱり男じゃないんだろうなあ。
一国の王子たる者、いさぎよいね。
誇りを持っているんだろうな。どんな理不尽なことでも、逃げるわけにはいかないと。
アキレスと戦ったら、勝ち目は少ないよ。でも、戦う。
こういう強さを持ちたいなあ。
たぶん、ここで一騎討ちをしなくても、結局、このまま行けば、あとで戦場で戦うことになると感じていたのもあると思う。戦うべき相手だったんだね。
勝ち目が少なくても、けっして、無謀な戦い、っていうんじゃないよ。やらなきゃならないときに、やること。恐れずに。そういうのが男たることなんじゃないかなあ、とか思ったりして。

アキレスは、怒りに圧倒されて、自分を抑えきれずに暴走してしまう。
そのあたりが、いかにも欠点がある感じで、人間くさくて、いいんじゃないかな。

ただ、女優陣が、あんまり魅力的じゃないんだよね。
この監督って、「U・ボート」や「エアフォース・ワン」「パーフェクトストーム」なんていう、男のドラマが得意なのか、映画に女優さんの占めるウエイトが小さいんだよなあ。

トロイ戦争という場で、さまざまな人間が、どう生きていたか。そのへんを見てると面白いんじゃないかなあ。
気が向いたら観てみてもいいと思うよ。
うん、じゃ、また電話するね。
おやすみ。

〔2004年6月26日(土) 池袋東急〕


映画感想/書くのは私だ へ        トップページへ