ショコラ

楽しかった。幸せ〜〜。でした。
「むかしむかし…」で始まる、おとぎ話。
評判どおりの、あったかい気持ちになる映画でした。
ラッセ・ハルストレム監督は前作「サイダーハウス・ルール」も大好きでしたが、今度の「ショコラ」もお気に入りになりました。
もし私が映画を作る能力に恵まれていたら、この監督のような作品を作りたい。

伝統を重んじる村長に支配された小さな村にやってきた母娘。そして開店したチョコレート店。そのチョコの魔法のような味に、村人たちは魅せられ癒されていく。

この映画、調べてみたら、魅力あるキャストでした。観たあとの今も、みんな素晴らしかったと言えます。
ジュリエット・ビノシュは、チョコで人々の心をつかんでしまう不思議な魔法使いみたいな存在かと思ったら、怒ったり泣いたりする弱い人間味もあって、素敵でした。
あと一歩を踏み出せない人たちにも、チョコを媒介にして後押しをしてあげる。
押された人は、嫌だったら拒否すればいいんです。でも拒否しない。それは、自分がそうしたかったことだから。
彼女の娘役が、3歳のときに「ポネット」に主演したヴィクトワール・ディヴィソル。相変わらず可愛いし、上手い。
ビノシュの親友になるのがレナ・オリン。監督の奥さんです。彼女の演技はいいですよ。
貫禄のジュディ・デンチ。相変わらずのそのどっしり感に、惚れ惚れしました。
「マトリックス」のキャリー=アン・モスが、壁を走ったりしない普通の人(笑)を演じたのを初めて観ましたが、これまた、いいんだなあ。ほんとに。
そしてジョニー・デップ。登場シーンは多くないですが、ギターを弾く姿もかっこいいナイスガイ(死語?)です。
教会に来ない新参者ビノシュを排除しようとする石頭の村長は、アルフレッド・モリーナ。オリンのダンナが「ダンサー・イン・ザ・ダーク」にも出ていたピーター・ストーメア。この2人は、いわゆる敵(かたき)役ですが、話のうえで効いてる存在。上手かった。
が、ストーメアは最後、ちょっと可哀想でしたね。
もうひとり、見過ごしてほしくないのは、レスリー・キャロンです! 彼女は50年代のMGMミュージカルで、ジーン・ケリーやフレッド・アステアと共演していた女優さんなのです。上品そうなおばあちゃんになっていました。ああ、まだご活躍だったのですね!

こんな豪華な出演者に彩られた、ささやかな幸せをつむぐ物語。
チョコのように話も甘いと言われたら返す言葉はありませんが、心の扉を開けておいて素直に観れば、きっと幸せな涙が流れます。

映画に登場した、チリ・ペッパー入りホットチョコレートは、観た人の一部で、ひそかに流行ってます。たぶん…。

                   〔2001年5月20日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕
CHOCOLAT
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 ジュリエット・ビノシュ  ヴィクトワール・ディヴィソル  レナ・オリン  ジュディ・デンチ  ジョニー・デップ  キャリー=アン・モス  アルフレッド・モリーナ  ピーター・ストーメア  レスリー・キャロン
原作 ジョアン・ハリス
脚色 ロバート・ネルソン・ジェイコブズ
音楽 レイチェル・ポートマン
2000年 アメリカ作品  121分
サンディエゴ映画批評家協会賞…脚色賞受賞
評価 ☆☆☆★

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