スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW
脚本・監督 ケリー・コンラン
出演 グウィネス・パルトロウ  ジュード・ロウ  アンジェリーナ・ジョリー  ジョバンニ・リビシ  オミッド・ジャリリ  バイ・リン  マイケル・ガンボン  ローレンス・オリビエ
撮影 エリック・アドキンス
編集 サブリナ・プリスコ
音楽 エドワード・シェアマー
美術 ケビン・コンラン
衣装(グウィネスとジュード2人の衣装) ステラ・マッカートニー
2004年 アメリカ・イギリス作品 107分
サターン賞…衣装デザイン賞
評価☆☆☆


BJ「ノーマと映画の感想を語り合うのは『ビッグ・フィッシュ』以来、2回目だね。ひとりで書くより時々は対話形式のほうが面白いかなと思って。正直言って、このほうが楽だし(笑)。今回はレトロモダンな世界」

ノーマ(Norma)「画面はレトロ風で、内容は科学が進んでるって内容だもんね」

B「そのミックス具合が目新しい世界なのかな。でも、それだけって感じもした。懐古調のSF冒険ものだけど、なんか子ども向けっていう感覚が、すごくしたんだよね。
この映画、予告編で観て、レトロチックな映像と、プロペラの戦闘機が戦うアクションが、ちょっと面白そうで気に留めてたんだ。ロボットが出てくるのに、プロペラ機とは、いったいいつの時代なんだろうと興味を引かれて」

N「そのあとで、背景がすべてCGで作ってあるんだって知ったのよね。それはますます面白そうだと」

B「そう。ソフトフォーカスみたいな絵で、グウィネスがきれいに映ってたしなあ」

N「やっぱり、そこへ行くか(笑)。で、お気に召したのかしら?」

B「んー、まあね。ひと昔前の映画女優のスクリーン上での美しさというか、グウィネスの顔立ちも手伝って、クラシックな気品が画面に現れていたような」

N「あの映像は面白かった。CGで作った背景って、クリアに見せずにボカシ気味にしたほうが、本当っぽく見えるなんてことがあるのかなあ」

B「どうなんだろうね。監督のまったくの趣味でレトロ調なんじゃないかとも思うんだけど。そのへんはパンフレットを見たら、もしかして書いてあるのかもしれないけど」

N「でも、めったにパンフは買わないもんね。そういう主義でしょ」

B「そうだよ。いちどくらいしか読まないのに、もったいない。1冊800円だったら、1冊買うかわりに1本映画を観たほうが、よっぽどいいよ」

N「それは、その人の考え方によるわね。パンフが楽しみの一部、っていう人もいるんだし。まあ、今の時代、情報を集めるだけなら、ネットでできるしね」

B「もちろん、主義を人に押し付けるつもりは、まったくない(笑)。
で、背景がCGってことはさ、俳優はブルースクリーンの、なにもない前で演技するわけだよね。それで演技にリアリティを持たせるのって、難しいと思うなあ」

N「そうね。どうしても、演技には限度がありそう。映像がすごいっていうほうに流れていきそうだよね」

B「ところで、ジュード・ロウとグウィネスのやりとりって、古き良きアメリカ映画っぽいムードもあったように思う。互いに好意を持っているんだけど、それを探り合ってるふうで、ストレートには出さないんだよね」

N「飛行機の中で、地図か何かを見ているジュードの肩越しに、グウィネスが後ろから覗きこんで、くっつくくらいに接近して、ちらちらとジュードの横顔を見るの。あそこのシーンがよかったなあ。ひそかに恋する乙女って感じで」

B「ジュードのほうも、なんとなく気づいてるかもしれないな。もしや、俺を見てるんじゃないかって(笑)」

N「プレイボーイのように見えて、じつはそうでもないと思うな、あのスカイキャプテン。アンジェリーナ・ジョリーが演じた役と仲がいいって言っても、仕事の上でしょ」

B「うん。けっこうオクテかも。アンジェリーナといえば、意外に出番が少なかった」

N「そうそう。もっと主役だと思ってたのに。ゲスト出演みたいじゃない」

B「悪玉の親分で出てくるのかと思ってたんだ。そしたら、まるで違った」

N「アイパッチしてたのは、やっぱり冒険もののマンガとかアニメに影響されてる映画なんだ、ってことなのかな」

B「そう思う。アイパッチしてると、いかにもキャラクターとして特徴的だよね。『キル・ビル』のダリル・ハンナもアイパッチしてたけど、あれも言ってみれば、マンガだもんなあ。でも、この映画のアンジェリーナは、あんまり可愛くなかった」

N「彼女は可愛いというより、かっこいい、でしょ?」

B「いや、『ブロンド・ライフ』なんか可愛かったよ。今回は髪をひっ詰めてたからかな? 片目なのも美しさを損なったか?」

N「とにかく出番が少なすぎ。ちゃんとゲスト出演って書いてほしい。前売券にも、ちゃんとアンジェリーナの顔が出てるんだから、主役級だと思うじゃない!」

B「まあまあ、どうどう。…ええと、ジュード・ロウはどうだった?」

N「ヒーローにふさわしい。ハンサムだし。ちょっと線が細いけどね。『ロード・トゥ・パーディション』のときの偏執的な殺し屋みたいなのも面白いけど、『A.I.』のジゴロ的いい男を、どんどんやってほしい

B「彼ひとりしか飛行機で戦わないのは変だよな。もっと大勢で戦えば楽なのに。ちゃんと基地があって、飛行機がいっぱいあったでしょ」

N「そこがヒーローマンガの、いいところよ(笑)」

B「その飛行機も、007ばりの秘密兵器みたいで。やっぱり、男の子が観て、わくわく単純に喜ぶ、みたいな映画だなあ」

N「女の子だって喜ぶわよ。SFアクション好きだったら」

B「ローレンス・オリビエの名前がラストクレジットで出てきて驚いた」

N「あの科学者の役ね。ホログラム映像っていうのかな」

B「いやー、まだ健在だったんだ。お義母さんと共演したという縁のある方だからね、一応

N「その、一応、って何?(笑) たしかに、オリビエがお母さんを女優として、きちんと評価していなかったらしい、という話はあるけど。でも、『王子と踊子』でのお母さんは、オリビエに負けまいと必死にがんばってたみたいで、素敵だったわ」

B「本当のことはどうなのか分からないけどね。お義母さんは、オリビエの重たい演技を、さらっと薄めてくれてたよ」

N「本編に戻って…とにかく、この映画って、背景をCGで作っちゃうという新しい形を示したわね」

B「デジタルな時代の映画の可能性だね。それにソフトフォーカスみたいな独特の映像。話の内容も含めて監督の趣味が満載だな」

N「監督は、コンピューターで4年がかりで作った6分くらいの映像を売り込んだっていう話があるけど」

B「そういう意味では、サクセスストーリーだよね。いきなり1本の映画を任されちゃって。ラストクレジットのCG関係のスタッフの数の多さ、すごいよ」

N「1社だけじゃ足りなくて、いくつもの会社がCGを作ってた。それだけCGだらけだったってわけね」

B「それにしては、ぎこちなさが、まるでなかった。それは、ほめてもいいかもしれない」

N「この監督の次回作が、有名なエドガー・ライス・バロウズの『火星のプリンセス』だって?」

B「そういうSFには、CGの映像がぴったりだろうね。期待していても、いいかな。また単純安直なマンガみたいなものじゃなければいいけど。キャラの魅力で、ドラマのほうで、どれだけ見せてくれるかが問題だね。
あ、最後に言っておきたいのは、主役2人の衣装を担当したのが、ポール・マッカートニーの娘さんだってこと。こんな立派な仕事をしてるんだね」

N「うーん、あたしも映画関係に行こうかしら?」

B「真理に続いて、ノーマまで!(詳しい話は「マリリンがお好き」のページの「2003年6月1日」を参照) ちょっと待ってよ〜」

〔2004年12月5日(日) 日劇2〕


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