ミリオンダラー・ベイビー

MILLION DOLLAR BABY
監督 クリント・イーストウッド
出演 ヒラリー・スワンク  クリント・イーストウッド  モーガン・フリーマン
原作 F・X・トゥール
脚本 ポール・ハギス
撮影 トム・スターン
音楽 クリント・イーストウッド
編集 ジョエル・コックス
2004年 アメリカ作品 133分
ナショナル・ボード・オブ・レビュー…作品ベスト10、第4位・特別賞(クリント・イーストウッド)
AFI(アメリカ映画協会)トップ10
ボストン映画批評家協会賞…主演女優賞(ヒラリー・スワンク、主演女優賞受賞者は以下同じ)
ニューヨーク映画批評家協会賞…監督賞
シカゴ映画批評家協会賞…監督賞
サウスイースタン映画批評家協会賞…作品トップ10、第2位
フロリダ映画批評家協会賞…主演女優賞
サンディエゴ映画批評家協会賞…監督賞
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞…作品トップ10、第1位・主演女優賞
全米映画批評家協会賞…作品・主演女優賞
ブロードキャスト映画批評家協会賞…主演女優賞
ゴールデングローブ賞…監督・主演女優賞
アメリカ映画俳優組合賞…主演女優・助演男優(モーガン・フリーマン、助演男優賞受賞者は以下同じ)賞
アカデミー賞…作品・監督・主演女優・助演男優賞
日刊スポーツ映画大賞…外国作品賞
評価☆☆☆☆


どうして、こういう話にするのか。あまりに○○○すぎるではないか!
断っておくが、これは映画への文句ではない。
…何を書いてもネタばれになりそうで、思ったことを書けないのだが。

ある点で、似たテーマを持つ映画を観た経験があるせいで、あ、またか、という思いが湧いてきたことは不幸だったかもしれない。
そうした映画を、もし以前に観ていなかったなら、もっとのめり込んでいたに違いないからだ。

しかしながら、ヒラリー・スワンクのボクサーぶりは半端ではない。
ボクサーにはハングリー精神が必要とかなんとかいうけれど、鋭い面構えといい、本当にボクサーらしくなっていく様子といい、ぴったりはまった適役。
1回目のアカデミー賞主演女優賞をとった「ボーイズ・ドント・クライ」でも衝撃的な役柄で印象を残した彼女だが、今度もスゴい。
彼女の演技は文句なしである。どこに文句をつけられる?
2度目の主演賞受賞も、100パーセント、うなずける。

イーストウッド、フリーマンともに、じんわりと渋い味わいを見せる。
開巻早々、イーストウッドが入門を願うスワンクに言う “Girlie, tough ain't enough .”(お嬢ちゃん、タフなだけじゃダメなんだよ)なんて、しびれるハードボイルドチックじゃあない?
枯れた雰囲気でさらりと言うから、かっこいいったらありゃしない。
たとえば、おじいちゃんになったポール・ニューマンも好きだが、イーストウッドのように渋くなりたいものだ。。。
フリーマンの、でしゃばらない存在感も素晴らしい。イーストウッドとの間のユーモアあるやりとりもいいし、滋味のある語りも、まさに決まっている。

スワンク演じるマギーの家族は頭に来るほど憎たらしいが、だからこそ、マギーは彼らを反面教師として、強く生きることができたのかもしれない
家族に拒否された寂しい気持ちのままのガソリンスタンドで、犬を抱いてトラックに乗っている少女と目を交わすマギー。ここは、ものの見事に感情を揺さぶる場面で、泣けた。
憎たらしいといえば、反則だらけの相手ボクサー。これほど憎たらしいやつもいない。彼女を、どういう処分にできるのだろうか、知りたいものだ。

終盤の展開は書かないが、とにかく全体的にシンプルこのうえなく、しかも、心をえぐるような物語展開もある話だ。
同じ道を歩いた者同士の心の絆。
人間の生きた価値とは何なのか。どこにそれを見出すべきなのか。
イーストウッドの前回の監督作「ミスティック・リバー」に続いて、観る者に、確実に何かを残す作品だ。

I love you, “my darling , my blood”.




〔2005年5月29日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕


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