タイトル通り、バットマンがどのようにして誕生するのか、を見せてくれる。
今回のバットマンは、クリスチャン・ベイル。
思えばバットマン役はマイケル・キートンからヴァル・キルマー、ジョージ・クルーニーと代わってきて、いったい誰が役にぴったりなのか分からない状態だった。
今回のベイル君、バットマンが生まれる前、修行中からのブルース・ウェインの役には、けっこう合っていたのではないでしょうか。
ふとしたショットで、ちょっとトム・クルーズみたいに見えるときがあって、相手役がトム・クルーズの婚約者ケイティ・ホームズなのが面白い偶然だった。
バットマンになっているときのセリフが低い声で格好いいんだよ、これが。
(とくに悪人に対して)得体の知れない恐怖の象徴バットマン、という本来あるべき「こうもり男」の存在感を思わせる。
日本人としては注目せざるをえない渡辺謙さん。でも出番は少なかった。造語を作って、しゃべっていて、リーアム・ニーソンが訳してました…。
謙とリーアムが教えるのは、ニンジャの技術もあり。バットマンったら、ニンジャ修行も経験してたんだねえ。
リーアム・ニーソンがクリスチャン・ベイルの剣の修業の相手をするのだが、どうもニーソンが剣を持つと、最近は「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」のジェダイ・マスターを思い出させるし、モーガン・フリーマンが出ると、最近観た「ミリオンダラー・ベイビー」のイメージが。父親役のライナス・ローチは「フォーガットン」だし。
それが、どうだということもないのだけど、売れっ子俳優がたくさん出てると、こういう、いろんな映画のイメージごちゃまぜ状態になってしまうってこと。
ケイティ・ホームズ、気になったのは、笑うと口角の右側が持ち上がって、笑顔が「いびつ」なんだよね、口の左右の対称が美しくない。
ヒロインとしても、どうなのか。まだ子どもじゃん。
アクションについて。夜の場面のせいもあるのか、いったいどういう形の乱闘なのか分からない、見えないのである。これは面白くない。
暗がりでワケが分からないまま、やっつけられる悪人の不安感を出してみた、のだろうか。考えすぎか? でも、アクションが見えないのは、やはり面白くないと思う。
今回、執事アルフレッドにはマイケル・ケイン。いかにも執事、で立派な貫禄あり。ありすぎ。
これまでの4作ではマイケル・ガフが演じたが、イメージ一新なんだろうね。ガフさんもお年(84歳くらい)だし…。
クライマックスの、ひとつのシーン。詳しくは書かないが、現実にあった事故を思い出させて、複雑な気分だった。そう思うのは日本人だけだろうけれど。いまさらながら、映画だから許せる表現なんだなあと思ったことでした。
劇場によっては、これこれこういう場面がありますが…という断り書きが表示されていたそうだ。
バットモービルのカーアクションには、単純に興奮した。ただ、追いかけるパトカーが次々クラッシュして、おいおい、正義の味方のはずなのに、これじゃ警官が死んじゃうよ…と不満に思っていたら、後でアルフレッド執事が、きちんと、お坊ちゃまに説教してくれた。
さすがは執事。フォロー万全。
ゴッサムシティでの敵が、ちょっとキャラ的に弱い気がした。まあ、チンピラだから仕方がないけど。&すでにバットマンスーツやバットモービルが、会社内でほとんど出来あがっていた、というのは出来すぎのような気がしないでもない。
音楽。ハンス・ジマーとジェームズ・ニュートン・ハワードという大物2人で担当しているのは、すごい。ともに1人で1本の映画音楽を余裕で担当できる実力者なのに、なんで2人でやってるんだろうか。
エンドクレジットで、ゲイリー・オールドマンの名前があって、ええっ! 出てた? えーと、あれ、あの人か! と後で気づいた。
ゲイリーってば、あんな顔だったっけ…。気づかないなんて、まったくもって不覚。
もうひとり、お懐かし「ブレードランナー」のルトガー・ハウアーの名前もあって、こちらは、後で、えええっ! あの人が! と驚いた。あの人物がそうだったんだよ、言われても、そうだっけか?と思うばかりである。
予備知識なしに観る場合のマイナス点というか、オモシロ点というか…なんてこったい。ですね。
ラストで、そうか、第1作の「バットマン」に、こうしてつながるんだ〜、と思わせるのは、「輪っか」が、つながったようで、グッド。
リアルに、真面目に、作っています。この調子で、もういっちょ、新作を作ってほしいかも。