ヴェラ・ドレイク

VERA DRAKE
脚本・監督 マイク・リー
出演 イメルダ・スタウントン  フィル・デイヴィス  ダニエル・メイズ  アレックス・ケリー  エイドリアン・スカーボロー  へザー・クラニー  ピーター・ワイト  サリー・ホーキンス  ルース・シーン  ジム・ブロードベント
撮影 ディック・ポープ
編集 ジム・クラーク
音楽 アンドリュー・ディクソン
2004年作品 125分
ベネチア国際映画祭…金獅子・主演女優賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー…作品トップ10、第7位
ロサンゼルス映画批評家協会賞…主演女優賞
ニューヨーク映画批評家協会賞…主演女優賞
ワシントンDC映画批評家協会賞…主演女優賞
シカゴ映画批評家協会賞…主演女優賞
サンディエゴ映画批評家協会賞…作品・脚本・主演女優・助演男優(フィル・デイヴィス)賞
全米映画映画批評家協会賞…主演女優賞
ロンドン映画批評家協会賞…主演女優・助演男優(フィル・デイヴィス)・英国監督・英国脚本賞
英国アカデミー賞…監督・主演女優・衣装賞
シアトル映画批評家協会賞…主演女優賞
トロント映画批評家協会賞…主演女優賞
バンクーバー映画批評家協会賞…主演女優賞
ヨーロッパ映画賞…主演女優賞
英国インディペンデント賞…作品・監督・主演女優・主演男優(フィル・デイヴィス)・助演男優(エディ・マーサン)・美術賞
評価☆☆☆


これって、すごいのだろうか。
いままでヴェネチア映画祭金獅子賞・主演女優賞をはじめ、各映画賞(とくに主演女優賞)を受賞してきた評価を聞くと、きっと、すごいのだろうが、私には分からない。
あまりに普通に、あまりにリアルに、そこに実際に生きているように、人間を演じること。

とくにイメルダ・スタウントンの演技の自然さは、たしかに素晴らしいとは思う。だが、映画として、それほど心に響いてこなかったのだから、しょうがない。正直に書く以外ない。

マイク・リー監督の演出は、きちんとした脚本を作らず、リサーチ、話し合い、即興によるリハーサルを行なう。このとき、俳優には自分の役柄以外のことは知らせない。
そのような方法をとり、俳優を、演じるキャラクターと深く同調させるのだという。
そこまでやると、俳優は、いざ演じるときには、ただ自然にしていればよくなるだろう。すぐに役柄と同調できるのだから。

映画の物語のなかで、普通の主婦である彼女のしていたことは、違法である以前に、人助けであり、彼女にとっては、ただ、それだけのことだった。彼女にとっては、するべきことだった。
スタウントンのインタビューによれば、当時その罪で収監されていた多くが、母であり、祖母であった、ということは、重い事実として存在していたのだ。

事件が起こったあとの、周囲の家族の反応は興味深い。
夫であるなら、ああいうふうに支えてあげるのが理想だし、娘の婚約者がクリスマスに口にした言葉は、人として、こうありたいと思う感動的な一言だった。




〔2005年7月9日(土) 銀座テアトルシネマ〕


映画感想/書くのは私だ へ        トップページへ