最高に面白い!
ユーモア、音楽、動物たち(人間も含めて)。
皮肉、絶望、希望。
ストーリーは、混沌として入り乱れるがごとき、にぎやかさ。
人間そのものの生を画面に焼きつける、なんとパワフルなことか!
悲しみさえも笑いとばそうとするエネルギーに満ちている。
こんな映画は、そうそうない!
エミール・クストリッツァ監督は、旧ユーゴスラビアのサラエボ生まれ。彼の映画では「アンダーグラウンド」の1本を観ただけだが、戦争というものの影響が「アンダーグラウンド」でも「ライフ・イズ・ミラクル」でも、そのベースにある。
戦火の混乱の中での人間を、戯画的に誇張して描き、ブラスの音楽で騒々しく盛り上げる作風は、しかし、合わない人には、きっと面白くないだろうと思う。
「アンダーグラウンド」は大傑作だったが、本作も負けず劣らず。
監督も参加するジプシー・ブラスバンド、ノースモーキング・オーケストラの演奏が素晴らしい。映画の中で聴くと、生きていくことの象徴のようにも思えるパワーを感じるのだ。
戦争を知らずに平和に生きている私たちには、祖国の悲劇を経験した監督の思いを100パーセント受け取ることは無理だろう。でも、かなりのところは、彼の映画から受け取ったと思いたい。
運命に押し流される中で懸命に生きている。それが人間。あっけなく死ぬ。しぶとく生きる。
そして、ここに登場する動物たちも、同じように生きている。ロバ、クマ、犬、猫、ニワトリ…。人も動物も合わせて「命」なのだと、感覚で感じさせるのだ。
動物たちの演技も、信じられないほどに絶品!!
そして、最後は、あの光景でなければならなかった。守護天使に守られながら、敵も味方もなくなった幸せな光景。
監督の平和への思いが痛いほどのラストショットだ。
まだ、うまく言い足りないのだが…とにかく、「アンダーグラウンド」が好きな人は、必ず本作も気にいるはずだ。