ふたりの5つの分かれ路

5×2
監督 フランソワ・オゾン
出演 ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ  ステファン・フレイス  ジェラルディン・ペラス  フランソワーズ・フェビアン
脚本 フランソワ・オゾン  エマニュエル・ベルンエイム
撮影 ヨリック・ルソー
編集 モニカ・コールマン
音楽 フィリップ・ロンビ
2005年 フランス作品 124分
評価☆☆☆


「8人の女たち」を観てから、私にとって気になる監督になったフランソワ・オゾンの新作。
ある夫婦の離婚の場面で始まり、時間をさかのぼって、最後は出会い(正確には再会)の場面で終わる。
離婚に至るまでの出来事のうちの5つの場面を描いて見せて、その5つの節目が、夫と妻それぞれの立場で存在する、というわけで、原題は「5×2」なのだった。

離婚後と出会いという2つの場面は、さておいて。
あとの3つは、簡単に言えば、パートナーへの性的な裏切りと、出産時に喜びを分かち合えなかったこと。性的な裏切りについては、ありふれた話といえばありふれている。本作で描かれるシチュエーションには、少し、びっくりさせられるけれども。

出産の場面では、夫が産気づいた妻のもとに近づこうとしない。出産後も近づかない。私には、これがよく分からない。
この夫、子どもが欲しくなかったのか。妻が不倫しているのかとでもいうのか。

とにかく、そういう心のすれ違いが重なっていった結果が、離婚、という形になりうるのは当然の話ではないだろうか。とりたてて驚くことでもない。

恋は終わるもの。とか何とか宣伝で書かれていた。だから輝く日々を大切に。…という解釈をするのも、どんなもんかと思う。
浮気したり、気持ちがすれ違ったりしたとして、それが離婚につながるのかどうかは、いろんなパターンがあるだろう。
この夫婦の話は、この夫婦の話でしかないのではなかろうか。
たとえば、ずっと幸せに過ごす夫婦も、いないこともないと思うし。

とにかく、オゾン監督らしい辛口テイスト。
とくに、どうという話でもないのだが、観ていて、悪い気分ではない
なにか、「人生だねえ〜」と思えてしまうのは、なぜだろう。それこそがオゾン映画なのだろうか。

泳ぐ2人のロングショットの背景で、だんだんと夕陽が落ちて地平線に消えていく場面は、すごく印象的。




〔2005年8月21日(日) シャンテ シネ2〕


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