ハッカビーズ

I HEART HUCKABEES
監督 デヴィッド・O・ラッセル
出演 ジェイソン・シュワルツマン  ジュード・ロウ  ダスティン・ホフマン  リリー・トムリン  ナオミ・ワッツ  マーク・ウォールバーグ  イザベル・ユペール
脚本 デヴィッド・O・ラッセル  ジェフ・バエナ
撮影 ピーター・デミング
編集 ロバート・K・ランバート
音楽 ジョン・ブライオン
2004年 アメリカ作品 107分
評価☆☆★


例によって、ほとんど予備知識を入れないまま観に行った。ただナオミ・ワッツ嬢が出ているからというだけで。

パスカルは「われ思う、ゆえにわれあり」と言ったが、自分自身というものは確かに、ここに在る。
この映画は、虚飾をまとって生きている自分、自分の存在って何なんだと自信をなくしている自分に、そんなに思い悩んだってしょうがない、自分は自分でいいんだよ、と言っている…
…ように思う。

観ている間は、なんとも不条理でワケが分からないというか、ばかばかしいドタバタ劇なのだが、エンドクレジットの最後に、“How am I not myself”と出る。「私が私自身でないなんてことがあろうか」というような意味だが、観客がワケ分からないと困るかと思って監督が配慮したのだろうか。
私も、この言葉を見て、ああ、そうか、と思ったのは確か。(笑)
監督によれば、この映画はコメディだが真面目に考えてもいる、のである。
自分探しにジタバタする人間が滑稽(こっけい)な、風刺コメディというか。
キャストは豪華だが、話が「ひねて」いて分かりにくいので、そんなに受けないだろうと思う。

リリー・トムリンとダスティン・ホフマンが、実存主義風な哲学探偵(この設定からしてヘンでしょ?)を、ばかばかしく演じているのは興味深かった。

主演の男が誰なのか、ずっと分からず、帰ってきてから調べたら、ジェイソン・シュワルツマンという人。そういえば「奥さまは魔女」でウィル・フェレルのマネージャー役だったと思い当たった。(気がつかないなんて、情けない。)
彼は女優のタリア・シャイア(「ロッキー」の彼女エイドリアン役が有名ですね)の息子。つまり監督のフランシス・フォード・コッポラは叔父で、俳優のニコラス・ケイジは従兄弟(いとこ)で、監督のソフィア・コッポラも従姉妹(いとこ)で…と、書けばキリがないほど映画関係者がいる家系なのだった。

イザベル・ユペールさんが出ていたのは驚いた。これはアメリカ映画だし、フランスの名女優を拝見できるとは思わなかったのだ。
ヘンな役なので、かえって面白がって出たのかもしれない。

主演のジェイソン君の母タリア・シャイアさんや、ヒッチコックの「鳥」の主演女優ティッピ・ヘドレンさんも出演している。
私は観ているときには、まるっきり気づかなかった…。
ダスティン・ホフマンの息子ジェイクも出ているというが、もちろん分からなかった。顔、知らないし…。
歌手のシャナイア・トウェインさんも知らなかったしね…。

お目当てのナオミ・ワッツ嬢については、まあまあ、でしょうか。脇役大勢の中のひとりという感じなので、その中で頑張ってはいる。
自分に目覚め、「ハッカビーズ」関係者に向かって「ファッカビーズ!」と卑猥な造語(!)でタンカを切るあたりは痛快だった。
なんてナイスな、ののしり方ができる店名!

なお、原題にある“HEART”は、映画の字幕では、ハートマークである。




〔2005年8月27日(土) 恵比寿ガーデンシネマ2〕


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