ティム・バートンのコープスブライド

CORPSE BRIDE
監督 ティム・バートン  マイク・ジョンソン
声の出演 ジョニー・デップ  ヘレナ・ボナム・カーター  エミリー・ワトソン  トレイシー・ウルマン  ポール・ホワイトハウス  アルバート・フィニー  ジョアンナ・ラムレイ  リチャード・E・グラント  クリストファー・リー  マイケル・ガフ  ジェーン・ホロックス  ディープ・ロイ  ダニー・エルフマン
脚本 パメラ・ペトラー  キャロライン・トンプソン  ジョン・オーガスト
撮影 ピート・コザチク
編集 クリス・レベンゾン  ジョナサン・ルーカス
音楽 ダニー・エルフマン
2005年 イギリス作品 77分
ナショナル・ボード・オブ・レビュー…アニメーション映画賞
女性映画批評家協会賞…アニメーション女性賞(ヘレナ・ボナム・カーター)
評価☆☆☆★


ティム・バートン監督が、「チャーリーとチョコレート工場」と並行して仕上げていたアニメーション。

1993年の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」は、ティム・バートンが原案・製作で、監督はしていなかったが、骸骨キャラが不気味可愛い、バートンらしさ溢れるファンタジーアニメの名作になっている。

今回は監督もしている(共同だけど)し、声がジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーター、エミリー・ワトソンなどというメンバーなので、楽しみにしていた。

ストップモーションアニメは、人形を少し動かして、1コマずつ撮っていく
それを考えれば、77分という一見短い上映時間でも、大変な労力がかかっているわけだ。

このアニメの色彩は、生者の世界がグレーっぽい色で、沈んでいる。
対して、死者の世界はカラフルで楽しい。
でも、その沈んだグレーが、また、きれいなのだ。

映像の美しさに特にハッと思ったのは、まず、コープスブライドが地中から現われるところ、それに、彼女が彼を追って、月光(だったか?)をバックに丘の上に立つところ。
登場シーンは、怪奇映画を思わせる趣きもあって、観ていて嬉しくなるし、丘の上のシーンは、とてもシルエットがきれいなんだよねー。
映画全体に言えることだが、コープスブライドのドレスのベールの「はためき」は、優雅で美しい。

お話は、男と婚約者とコープスブライドの三角関係。わりとシンプルな物語だ。
そういえば、開場前に、そばにいたカップルの女の子が「コープスって何?」と彼氏に聞いていたが、彼氏は答えられなかった。
私は「それはね、死体のことだよ」と、横から心の中で口を出してあげた。
ちなみに「ブライド」は花嫁だよ。「死体になってる花嫁」さ。

ミュージカル風だったのは意外だった。「チャーリーとチョコレート工場」でも歌があったが、こちらも同様。
音楽担当のダニー・エルフマンは、骸骨(ボーンジャングルズという名前らしい。私と名前が似てるぞ!)が歌う歌を、自分で歌っている。「チャーリーとチョコレート工場」に続いて、楽しんで仕事をしているねえ。

主役3人の他に、クリストファー・リー、アルバート・フィニー、マイケル・ガフ、ディープ・ロイ(「チャーリーとチョコレート工場」のウンパ・ルンパ)などが声を当てているが、もうひとり、私がその名前を見つけて、目を見張った名前があった。
ジェーン・ホロックス。
「リトル・ヴォイス」(1998年)でジュディ・ガーランドやマリリンの歌を真似していた人。マリリン関連で親しみを持っている女優さんなのだ。
彼女がクモなど2役の声を担当していた。
最近は声優の仕事が多いようだが、彼女の名前をスクリーンに見たときは嬉しかったなあ。

コープスブライド、死体だけど可愛いのだ。(…人形だしね。)
婚約者にもコープスブライドにも幸せになってほしい。どちらも素敵なハートを持った人。でも相手の男は1人。どうする?
ラストは…ちょっと唐突な気もしたが、ああ、そうなるのが、いちばんいいことなのかもなあ…と思った。

そして、そのラストは…きれいだった。美しかった。




〔2005年10月22日(土) シネ・リーブル池袋〕


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