ティム・バートン監督が、「チャーリーとチョコレート工場」と並行して仕上げていたアニメーション。
1993年の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」は、ティム・バートンが原案・製作で、監督はしていなかったが、骸骨キャラが不気味可愛い、バートンらしさ溢れるファンタジーアニメの名作になっている。
今回は監督もしている(共同だけど)し、声がジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーター、エミリー・ワトソンなどというメンバーなので、楽しみにしていた。
ストップモーションアニメは、人形を少し動かして、1コマずつ撮っていく。
それを考えれば、77分という一見短い上映時間でも、大変な労力がかかっているわけだ。
このアニメの色彩は、生者の世界がグレーっぽい色で、沈んでいる。
対して、死者の世界はカラフルで楽しい。
でも、その沈んだグレーが、また、きれいなのだ。
映像の美しさに特にハッと思ったのは、まず、コープスブライドが地中から現われるところ、それに、彼女が彼を追って、月光(だったか?)をバックに丘の上に立つところ。
登場シーンは、怪奇映画を思わせる趣きもあって、観ていて嬉しくなるし、丘の上のシーンは、とてもシルエットがきれいなんだよねー。
映画全体に言えることだが、コープスブライドのドレスのベールの「はためき」は、優雅で美しい。
お話は、男と婚約者とコープスブライドの三角関係。わりとシンプルな物語だ。
そういえば、開場前に、そばにいたカップルの女の子が「コープスって何?」と彼氏に聞いていたが、彼氏は答えられなかった。
私は「それはね、死体のことだよ」と、横から心の中で口を出してあげた。
ちなみに「ブライド」は花嫁だよ。「死体になってる花嫁」さ。
ミュージカル風だったのは意外だった。「チャーリーとチョコレート工場」でも歌があったが、こちらも同様。
音楽担当のダニー・エルフマンは、骸骨(ボーンジャングルズという名前らしい。私と名前が似てるぞ!)が歌う歌を、自分で歌っている。「チャーリーとチョコレート工場」に続いて、楽しんで仕事をしているねえ。
主役3人の他に、クリストファー・リー、アルバート・フィニー、マイケル・ガフ、ディープ・ロイ(「チャーリーとチョコレート工場」のウンパ・ルンパ)などが声を当てているが、もうひとり、私がその名前を見つけて、目を見張った名前があった。
ジェーン・ホロックス。
「リトル・ヴォイス」(1998年)でジュディ・ガーランドやマリリンの歌を真似していた人。マリリン関連で親しみを持っている女優さんなのだ。
彼女がクモなど2役の声を担当していた。
最近は声優の仕事が多いようだが、彼女の名前をスクリーンに見たときは嬉しかったなあ。
コープスブライド、死体だけど可愛いのだ。(…人形だしね。)
婚約者にもコープスブライドにも幸せになってほしい。どちらも素敵なハートを持った人。でも相手の男は1人。どうする?
ラストは…ちょっと唐突な気もしたが、ああ、そうなるのが、いちばんいいことなのかもなあ…と思った。
そして、そのラストは…きれいだった。美しかった。