私にしては珍しく日本映画を観た。
自主的にではなくて、チケットをもらったので観に行ったのだが。
藤沢周平の原作小説を、黒土三男監督が15年の準備をかけて映画化した作品。
藤沢氏本人に映画化の許可を取るのにも、3年がかりだったという。
一昨年にはNHKでテレビドラマになっているので、ご覧になった方もいるだろう。
東北の小藩での話。下級武士の家に育った文四郎と、幼馴染の娘ふくとの切ない恋。
大雨による川の決壊、藩主の跡目争いなど、いろいろな事件が続くが、若い2人の関係のほうは、ほとんど進展しない。
好きなのに、口には出さない…。
日本人の奥ゆかしさというものでしょうか。
木村佳乃さんの出番は、思ったより少ないが、最後の場面などは美しかったなあ。
キャッチコピーが「20年、人を想いつづけたことはありますか。」
あります。
想いつづける、の意味は、初恋、失恋など、さまざまだろうけれど、20年は行っていないかもしれないけれど、人には、それぞれに、そのような思い出があるのではないでしょうか。
そうした想いを重ね合わせて観れば、泣くなというほうが無理。
ラストは、しみじみとさせる。
文四郎の、ある言葉を聞いて、うるうるしてしまいました。
殺陣で感心した場面。ありったけの刀を集めて畳に刺しておき、人を斬って刃こぼれした刀を次々と取り替えながら戦っていた。
リアル。ただ、刺しておいた刀を敵に使われたら困るんじゃ?
山形県の庄内で8割を撮影した映像は、情緒たっぷり。
今田耕司、ふかわりょうは、案外、違和感なかったぞ。
それにしても、またもや柄本明が出ていた。私が観る邦画の2本に1本以上は出てくるなあ…。
文四郎の少年時代を演じた石田卓也がよかった。
彼は「JUNON SUPER BOY コンテスト」の読者投票で1位を取り、フォトジェニック賞に輝いた実績の持ち主。
映画では、凛々しくて、演技もしっかりしていて、なかなか、かっこよい。今後に期待しよう。
途中で市川染五郎にバトンタッチするが、石田くんが主役を張っていた時間のほうが長かった気がする。実際にそうだったのかどうかは分からないが、それだけ印象は強かったということだ。
ふくの少女時代を演じた佐津川愛美(さつかわあいみ)も、くりくり目で可愛らしい。