ロバと王女

PEAU D'ANE
脚本・脚本 ジャック・ドゥミ
復元版監修 アニエス・ヴァルダ
出演 カトリーヌ・ドヌーブ  ジャン・マレー  ジャック・ペラン  デルフィーヌ・セイリグ  ミシュリーヌ・プレール  フェルナン・ルドー  ジャン・セルベ
原作 シャルル・ペロー
撮影 ギスラン・クロケ
編集 アンヌ=マリー・コトレ
音楽 ミシェル・ルグラン
1970年 フランス作品 89分
評価☆☆☆


この映画のことは、名前はよく知っていた。
カトリーヌ・ドヌーブ主演、ジャック・ドミー監督。(昔はジャック・ドミーといっていたと思うが、いつからドゥミになったんだろう。実際の発音に近くしたのか?)
たぶん、「ロードショー」誌あたりだと思うが、映画のチラシを雑誌で見て、きれいな、おとぎ話のようなイメージを持っていた。ずっと観る機会はなかったが。

ロバの皮をかぶったカトリーヌ・ドヌーブ。
この映画は、これですね。
原題も「ロバの皮」。
ロバの皮は頭付きなので、これをかぶるとロバの着ぐるみのようにも見える。
なぜ、こんなものをかぶっているのかというと、簡単にいえば、王女である
正体を隠しているわけだが、真面目に考えてみると、こんな格好でいる人なんかいない(だろう)わけで、ここからして、おとぎ話、童話なのだ。
でも、ロバの皮をかぶったドヌーブの姿が、とても奇妙にファンタスティックで忘れられなくなる。

童話作家シャルル・ペローの原作。
宝石を生むロバがいる青の国。王妃を亡くした王様が、こともあろうに王女の美しさを再発見(笑)、結婚を迫る。困った王女はリラの精に相談する。リラの精の知恵により、王女は、作るのがとても困難なドレスを王様にねだって、もし作れたら結婚を承諾する、という条件を持ち出すが…という物語。
ラストには、フェリーニを思わせるような、ぶっ飛んだ場面があった! おいおい、それって、時代を無視してるじゃん…というような。
リラの精を演じたデルフィーヌ・セイリグ、魔法使いのコスプレが楽しめます。

結婚を申し込む男に対して無理難題を出す、というのは、日本の「かぐや姫」などでも見られる、昔話の基本パターン
指輪がぴったりな女性が王子様の結婚相手になる、というのも、「シンデレラ」の靴と同じようなものだ。

カトリーヌ・ドヌーブの美しさと、ある意味、シュールともいえる、おとぎ話を楽しめばいい作品。
懐かしい映画のファンには、ジャン・マレーなどに会える映画でもある。
ちなみに、王子様役のジャック・ペランは、「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年)で、主役を演じていた俳優だ。(大人になった後の。)

監督ジャック・ドゥミ、主演カトリーヌ・ドヌーブ、音楽ミシェル・ルグランによる映画といえば、他にも「シェルブールの雨傘」(1963年)、「ロシュフォールの恋人たち」(1966年)、「モン・パリ」(1973年)といった素敵な作品がある。

1971年の公開以後、ビデオもDVDも出なかった本作。
公開時、フランスでは200万人が観たという。
今回、ドゥミ監督の没後15年ということで、故ドゥミ監督の奥さんだったアニエス・ヴァルダ(彼女も有名な監督)の監修によって、デジタル・ニューマスター版でのリバイバルとなった。
ジャック・ドゥミやカトリーヌ・ドヌーブに興味のある方には見逃せない上映だろう。

観たのは、渋谷のBunkamuraの中にある映画館。
昔の映画のリバイバルだから、それほど込まないだろうと思いながら、初日初回に行った。初日初回が好きなのである。
ところがどっこい、大盛況だった。この映画館は、受付順の番号で入場するのだが、私の番号は116番。上映40分前に行って、これである。
開場15分前には、もうすぐ満員になります、というアナウンスが。
待っている客を見ると、おばさんが多い…。映画の内容からして、女性が多いのは想像していたが、それにしても、ほとんど女性だ。Bunkamuraという場所柄、ちょっとハイソな雰囲気もしないでもない。

初日初回に観た特典は、山形由美さんのフルート演奏!
上映後にミニコンサートがあった。ギターを伴奏にして「シェルブールの雨傘」と、もう1曲。
山形さんの演奏は、2回目上映の前にも予定されていた。
初日初回は、やっぱり、得することが起きる可能性があるね!




〔2005年10月29日(日) Bunkamuraル・シネマ1〕


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