ALWAYS 三丁目の夕日

監督 山崎貴
出演 吉岡秀隆  堤真一  小雪  薬師丸ひろ子  堀北真希  三浦友和  小清水一揮  須賀健太  もたいまさこ
原作 西岸良平
脚本 山崎貴  古沢良太
撮影 柴崎幸三
編集 宮島竜治
音楽 佐藤直紀
2005年作品 133分
日刊スポーツ映画大賞…助演男優賞(堤真一、受賞対象作品のうちの1本)、助演女優賞(薬師丸ひろ子、受賞対象作品のうちの1本)、石原裕次郎賞
ブルーリボン賞…助演男優賞(堤真一)・助演女優賞(薬師丸ひろ子)
毎日映画コンクール…撮影・美術(上條安里)・技術賞
評価☆☆☆★


こういう下町の人情ものっぽい映画は、観る気が起きない。あまりにベタに笑わせたり、泣かせにくるような気がして、イヤなのだ。観るのが気恥ずかしいのかもしれない。
(いい例が「フーテンの寅さん」であり、食わず嫌いではあるが「釣りバカ」シリーズなども同様。)

この映画は、チケットをいただいたので観に行った。
で、これが…なかなか良かったのである。
終盤は、泣きっぱなし。これでもか、これでもかと泣かせにくるのに、すっかり乗せられてしまったのだった。
お医者さんの悲しいお話、母を訪ねて三千里な話、クリスマスから正月にかけての出来事、あたりのところですね。

とくに吉岡くんと小雪さんのクリスマスの晩のエピソードには、やられました。ノックアウト。こんなベタな話を見せられちゃ、たまんないよー、やめてよー、と思いながら、心地よく肩を震わせて泣きましたっす。

子どもたちが、いいね。映画に出てくる子どもというのは、見ていて微笑ましいし、文句はつけられない。セリフがひどい棒読みだったりしない限りは。
堀北真希さん。テレビで、ちらっと見たことはあったけど、はじめて、じっくりと見た。素直そうで、将来が期待できそう。
薬師丸ひろ子さんの、下町のお母さん役というのは、なにか珍しい気がしたが、違和感もなく、よかったです。
三浦友和さんが年配の人の役をやるようになったのか…と、時の流れも感じた。

映画の画面では、東京タワーが建築中で、だんだん出来あがっていったり、テレビで力道山の試合をみんなで見ていたりで、昭和33年の東京、日本を、うまく象徴的に見せていた。
家の様子や町並みなども、よく、昔の風景を再現したなあ、と感心した。
CGを活用しているのだろうが、昔懐かしい光景は、私でも多少、しみじみとする。もう少し上の年代の方なら、かなり胸に、じーんとくるのではないだろうか。

原作はどうなのか知らないけれど、自動車修理販売店と駄菓子店の2つの「家族」に的を絞った脚本は、分かりやすくていい

ひとつ疑問。エンドクレジットでは「家族」単位での集合写真のショットがあったのだが、タバコ屋の、もたいまさこさんは、ひとりで映っていた。「家族」ではなく、ひとり暮しの彼女を映すことに何か意味があるのだろうか。
単に、女優としての特別扱いだとしたら、それは、やめてほしかった。

すべてがうまくいったわけではない状態。だけど、希望がいっぱいのラストだった。
未来には希望があった。
今の時代、文明は進んだけど、どこかで閉塞感があって、希望が持ちにくい。
だから、あの時代を懐かしんで、あったかい気分になったり、ある種の憧れをも抱いてしまうのかもしれないね。




〔2005年11月26日(土) ヴァージンTOHOシネマズ 六本木ヒルズ〕


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