キング・コング(2005年)

KING KONG
監督 ピーター・ジャクソン
出演 ナオミ・ワッツ  ジャック・ブラック  エイドリアン・ブロディ  トーマス・クレッチマン  コリン・ハンクス  ジェイミー・ベル
原案 メリアン・C・クーパー  エドガー・ウォレス
脚本 ピーター・ジャクソン  フラン・ウォルシュ  フィリッパ・ボウエン
撮影 アンドリュー・レスニー
編集 ジェイミー・セルカーク
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
2005年 ニュージーランド・アメリカ作品 188分
ハリウッド映画祭…美術賞
AFI(アメリカ映画協会)トップ10
ナショナル・ボード・オブ・レビュー…視覚効果賞
ラスベガス映画批評家協会賞…トップ10 第3位・撮影・編集・美術・衣裳デザイン・視覚効果賞
サウスイースタン映画批評家協会賞…トップ10 第9位
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞…トップ10 第9位
サンディエゴ映画批評家協会賞…作品賞
フェニックス映画批評家協会賞…トップ10・美術・視覚効果・トレーラー賞
トロント映画批評家協会賞…特別賞(アンディ・サーキス)
ユタ映画批評家協会賞…助演男優賞(アンディ・サーキス)
セントルイス映画批評家協会賞…撮影賞
ブロードキャスト映画批評家協会賞…パフォーミングアーツ功労賞(キング・コング)
シネマラティ賞…トップ10 第6位・監督トップ10 第6位・主演俳優トップ10 第7位(ナオミ・ワッツ)
国際シネフィル協会賞…主演女優賞(ナオミ・ワッツ)
ロンドン映画批評家協会賞…女優賞(ナオミ・ワッツ)
視覚効果組合賞…視覚効果・アニメーションキャラクター演技・背景賞
英国アカデミー賞…視覚効果賞
評価☆☆☆★


CGの威力は、すごい。実在しない巨大ゴリラ、コングを画面の中に生き生きと造りあげてしまった。
動きや表情は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのゴラム同様、俳優アンディ・サーキスが演じたものCGに置き換えたもので、リアルな迫力がある。

でもねえ、ドラマとしては、どうなんだろう。ピーター・ジャクソン監督にとって、オリジナル版「キング・コング」(1933年)はリメイクしたくてしょうがなかった、バイブル的な映画。その作品に尊敬を込めて作るなら
ば、オリジナル版以上に深い物語は要らないのかもしれない。コングの怖さ、強さ、優しさを存分に描いていれば、それで満足すべきなのかもしれない。

「スター・ウォーズ」エピソードT〜Vのときと同じような気持ちなのだ。
大作アクション映画ゆえの、ストーリー面での物足りなさというのか、安直さというのか
ネタばれになるのであまり書かないが、少しだけ。(少しでも物話の内容を知りたくない方は、次の段落を飛ばして読んで!)

谷底で変な虫に襲われる場面がある。ああいう変な虫は、他の映画でも見飽きた感があるのだ。興ざめだし、そもそも、この場面、必要がないと思う。
からみついた虫を、銃で撃つのだが、弾が人に当たらないのが不思議でたまらない。注意して撃て、とは言っているが、それは無理じゃないのか。
最後の助けられ方も、またか、と思う。ワンパターン。前と同じ手を使うなんて、がっかり。…もしかしてギャグか?
他の場面では、転落しても、ツルみたいなのに引っ掛かって助かったり、でも、その位置が偶然にも、恐竜に食われそうな位置だったりしてスリルが続いたりする…。
うまいことできてるが、できすぎてると思ってしまうのだ。

草食恐竜のくだりは、ちょっと笑ってしまいそうな展開だった。面白いこと考えるなあ、と。

島へ着くまでの序盤は長いけれど、ユーモラスな場面を入れていることもあって飽きなかった。
とくに、監督役のジャック・ブラックと映画スタッフのコリン・ハンクス(トム・ハンクスの息子)が、女優探しで「フェイ・レイはどうだ、彼女なら完璧だ」「RKOで撮影中です」「監督はクーパーだったな…」みたいな会話を交わすのには、ニンマリ。
メリアン・C・クーパー監督がフェイ・レイ主演で撮ったRKO映画は、オリジナル版「キング・コング」なのだ!

お笑い系俳優のイメージのジャック・ブラックだが、軽薄、調子のいい男の役なので、さほど違和感がなかった。
「リトル・ダンサー」の子役の印象が強いジェイミー・ベルが船員の若者の役。こんな兄ちゃんになったんだねえ…。
そして、ヒロインのナオミ・ワッツさん! 言うことありません。彼女は素敵です。

ニューヨークでのコング。彼女と一緒に、氷の張った池(?)で遊ぶ、束の間の幸せ。このシーンは、よかった。
その後は終焉に向かって、怒涛のごとく物語は進むのだ。

「飛行機じゃない、美女が野獣を殺したんだ」というジャック・ブラックの最後のセリフは、自分の責任をちっとも感じていないように見える。この男は、生涯、反省もせず、お気楽に生きるのだろうか。

いろいろと文句を言いつつ、コングのアクションは充分に楽しめるので、観るのならば、ビデオやDVDではなく、大きなスクリーンと良い音響設備の映画館で観るべきだ。




〔2005年12月17日(土) ヴァージンTOHOシネマズ 六本木ヒルズ〕


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