明日に向って撃て!

BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID
監督 ジョージ・ロイ・ヒル
出演 ポール・ニューマン  ロバート・レッドフォード  キャサリン・ロス  ストロサー・マーティン  ヘンリー・ジョーンズ  ジェフ・コーリー  クロリス・リーチマン  
脚本 ウィリアム・ゴールドマン
撮影 コンラッド・ホール
編集 ジョン・C・ハワード  リチャード・C・メイヤー
音楽 バート・バカラック
1969年 アメリカ作品 110分
評価☆☆☆☆


今年の1本目は、懐かしの作品を、六本木の映画館で。

この映画を初めて観たのは、1974年。名画座で、併映が「俺たちに明日はない」。いわゆるアメリカン・ニュー・シネマの代表作2本で、タイトル的にも内容的にも似ているところのある作品の2本立てだった。

ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド(これが原題)という2人のアウトローの運命を、爽やかに、ユーモラスに、少しばかり胸がキュンとなる(懐かしい表現だ)悲哀とともに描いた

特筆すべきは、バート・バカラックの音楽。主題歌の「雨に濡れても」(Raindrops Keep Fallin' on My Head)は、もちろん名曲だが、その他の楽曲も、ポップでモダンで、おしゃれなのだ。私はサントラ盤を買った。まだレコード盤の時代だ。

「雨に濡れても」でポール・ニューマンとキャサリン・ロスが自転車に乗るシーンは、まさにミュージックビデオ先取りのような作りだ。キャサリンが髪をいじっているイメージショットのごとき映像まである。
旅行中のいくつかの場面を、ひとつの曲に乗せてポンポンと見せていく方法も、おしゃれだったりする。音楽がいいから、心地よい。

大きなスクリーンで観て、撮影の美しさも、よく分かった。とくに、馬に乗って走るシーン。綺麗に映る風景を探して撮る努力もしたのだろう。

ブッチは頭の切れる、強盗団の首領。サンダンスは、凄腕のガンマン。
銀行や、現金輸送列車を襲って生活をしているのだから、彼らは悪者なのだが、本作では、あんまり悪く思えない。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの演じるキャラクターが憎めないのだ。
おまえらは、きっと、そのうち殺されるぞ、と言われるのが、ラストを暗示し、足を洗って真面目に働くこともできず、しかし、映画は暗くはならずにエンディングまで進んでいく。

おしゃれでポップでモダンなのは音楽だけではなく、映像、脚本、演出、すべてに言える。
好き嫌いは分かれると思うが(嫌いな人は、軽すぎる、演出が不在、とか言うのだろう)、私は大好きである。

アカデミー賞では、撮影賞(コンラッド・ホール)、作曲賞(バート・バカラック)、歌曲賞(バート・バカラック、ハル・デビッド)、脚本賞(ウィリアム・ゴールドマン)を受賞している。

ロバート・レッドフォードは、この映画での役名をとった、若い映画人のための「サンダンス・インスティテュート」という映画研究所を作り、それは、インディーズ映画(大手の映画スタジオではなく、独立系のもの)の映画祭「サンダンス映画祭」の運営もしている。




〔2006年1月4日(水) ヴァージンTOHOシネマズ 六本木ヒルズ〕


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