ゴールデングローブ賞のミュージカル/コメディ部門で、作品・主演男優・主演女優賞を獲得した作品。アカデミー賞でも主演男優・主演女優賞など5部門にノミネートされている。
映画は、カントリーといっていいのか、ロックといっていいのか、よく知らないけれど、歌手のジョニー・キャッシュの半生を描いたもの。
ジョニー・キャッシュを演じたホアキン・フェニックスの歌! これが上手!
キャッシュの歌は聴いたことがない(映画を観ていて、知っている曲は1曲だけだった)ので、似ているのかどうかは分からない。でも、低い音域も充分に出ていたりして、感服するような出来なのだ。
ジョニー・キャッシュに独特のギターの持ち方も格好よく決まっていた。
相手役のリース・ウィザースプーンも歌う! こちらも見事な歌唱を聞かせる。
この2人、半年ほど歌の練習をしたらしいが、それでも、ここまで上手いとは思わなかった。
ただ、物語としては、貧しい生活から、歌手になるチャンスをつかみ、売れてくると、つい、覚せい剤に手を出し、苦しみ…という、おなじみのパターン。
どうして、大物の歌手って、誰も彼も、ヤクに溺れるのかねえ。(え、そうでもないですか?)
正直に言って、途中で飽きた部分もあった。
ジョニー・キャッシュ好きだったら、もっと楽しめたかな。(このパターンは、去年の「Ray/レイ」と同じようだ。)
主演2人の圧倒的な歌唱力以外には、ありふれた話で、格別に面白いとは言えないのではないだろうか。
アメリカが、この映画に賞をあげるのは、歌の凄さもあるだろうが、ジョニー・キャッシュという人物に対する尊敬の気持ちも、大いにありそうな気がしてしまった。
ジョニー・キャッシュの父親の役に、ロバート・パトリック。この人を見ると、「ターミネーター2」の冷酷な殺人マシーンを思い出す。
いかにも冷たいお父さんなんじゃないか、という先入観が起きてしまうのだった。(実際、厳しい!)
監督のジェームズ・マンゴールド。彼の監督作では「17歳のカルテ」と「ニューヨークの恋人」が記憶にある。シリアスなドラマ、コメディ、そして今度は伝記の音楽もの、と幅広いですね。
そつなく、まとめている感じはする。
ウォーク・ザ・ラインというのは、昼間から酒浸りでいるキャッシュに向かって、リース演じるジューン・カーターが言うセリフの中にある。
まっすぐ歩く、という意味で、“I Walk the Line”という歌も歌われる。
ホアキン・フェニックスの演技は素晴らしいと思う。アカデミー賞を取っても、なんの文句もない。
(でも、とるのは、下馬評からするとフィリップ・シーモア・ホフマンかも。)