マンダレイ

MANDERLAY
脚本・監督 ラース・フォン・トリアー
出演 ブライス・ダラス・ハワード  イザーク・ド・バンコレ  ダニー・グローバー  ウィレム・デフォー  ジェレミー・デイビス  ローレン・バコール  クロエ・セヴィニー  ジャン=マルク・バール  ウド・キア
撮影 アンソニー・ドッドマントル
音楽 ヨアキム・ホルベック
ナレーション ジョン・ハート
2005年 デンマーク・スウェーデン・オランダ・フランス・ドイツ・イギリス作品 139分
バラドリッド国際映画祭…50周年記念賞(ラース・フォン・トリアー)
評価☆☆☆


うーむ、どうなんでしょう。インパクトに欠けるなあ。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」などの冷酷非情な(?)、あのラース・フォン・トリアー監督の作品。
ドッグヴィルを出たグレースが、次にやってきたのはマンダレイ。そう、これは「ドッグヴィル」に続くトリアー監督の「アメリカ三部作」の2作目なのだ。
 
「ドッグヴィル」(私の感想はこちら)でのグレース役はニコール・キッドマンだったが、本作には出演せず。監督はニコールを想定して脚本を書いていたようだが、彼女に振られちゃったんですね。カワイソ。
新グレースには「ヴィレッジ」で映画デビューした、期待の血統書つき(ロン・ハワード監督の娘)サラブレッド女優のブライス・ダラス・ハワード
 
わたくし、この映画ではブライスちゃんを見ていたといっても過言ではありません。
主役だから、たくさんカメラに映っていたということもあるが、かわいいということもあるが、あんまり他に見るものがない、ともいえるか。(爆)
ここだけの話にしてほしいのだが(無理?)、彼女のフルヌード&セックスシーンも、おまけについてくる! やってくれるなあ。度胸いい。
 
関係ないけど、ブライスちゃんはナタリー・ポートマン嬢とお友達だという。頭のいい優等生と、血筋のいいお嬢様で仲良くなったのかな。

トリアー監督がアメリカ批判をするのは何故かは、よく知らない。何の恨みがあるのかいな。
「マンダレイ」でグレースは、奴隷制度に縛られている黒人たちを解放して、民主主義に導こうとする。
黒人たちに多数決を教えたりして教育するのだ。
今まで黒人を支配していた白人一家が「悪いこと」をすると、彼らに罰を与える。
このへんが、理想主義に走って、自分が物事を裁定していこうとする、傲慢でおせっかいなグレース=アメリカ=ブッシュ大統領、ということにもなるのだが、だとしても、いまさら何を、と感じてしまう。
こんなこと、言われなくたって分かってるよ、ですね。
ただ、映画作家のトリアーとしては、こうやって映画の形で批判することが、自分の方法なのだろう。

多数決の問題点が見える(どんな問題でも、賛成が多いほうが必ず採用される)ところも、監督の批判がありそうだ。
奴隷の立場から解放されたのに、自分たちが何をどうしたらいいのか分からないでいる、というのは皮肉。命令されている時点では、言われたことをやってさえいればいい、という気楽さもあるのだ。

舞台劇のようなセットで演じるのは「ドッグヴィル」のスタイルを継承しているので、その点での新鮮さはないし、物語としても前作より、おとなしくて、これは見やすいということにもなるのだが、私には、たいして面白くなかった。

本作でのグレースが、イコール、アメリカだとすれば、監督は彼女をどのように扱うのか。そこを見ましょう。
理想に燃えて突っ走ったグレースが、はたして、手痛いしっぺ返しを食らうのかどうか。

三部作ラストは「ワシントン」。アメリカの首都に行くのか? そこで何が起きるのか?
1作目、2作目ともに出演したローレン・バコールは、3作目のグレースにはケイト・ブランシェットがいい、と言ったそうだ。
監督、ナオミ・ワッツさんは、いかがでしょう?
ところで、3作目でも、やっぱりセックスシーンを入れるんですか? シリーズ恒例?




〔2006年3月26日(日) シャンテ シネ2〕


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