メル・ブルックスが1968年に作った映画をミュージカル化し、2001年にブロードウェイでヒットした作品が映画になった。
演劇・ミュージカルのアカデミー賞ともいえるトニー賞で12部門を受賞したという超強力作品だ。
驚くのは、映画監督のメル・ブルックスが、作詞作曲をしているという点。なんという才能!?
でも、映画を観たあと、1曲もメロディを覚えてないのだ。すぐに覚えられる曲がないという、そのあたりが、やはり、いまいち?
主演のネイサン・レインとマシュー・ブロデリックはブロードウェイでのキャストだし、オカマ2人も舞台で演じていた俳優らしい。
しかも監督は、舞台を演出していたスーザン・ストローマンとくるから、もはやこれは、ブロードウェイの舞台が映画になったようなものなんだろう。
私は主演の2人は、あんまり好きでない。ネイサン・レインは「バードケージ」という映画で、おっさんオカマを演じていて気持ちよく思わなかったし、マシュー・ブロデリックは、おっさん子どもみたいで線が細くて弱々しそうで好きでない。
それでも、いくつかの場面で笑ってしまった。
マシューのヒステリー(スヌーピーの話に出てくるライナスの安心毛布のごとき展開もある)とか、ウィル・フェレルのナチスかぶれのようなキャラとか、オカマたち。それで笑ってしまったのだった。
考えてみれば、これ、どうなの? ナチやオカマで笑わせるって、揶揄(やゆ)、つまり、からかって笑ってるわけじゃないかい?
毒があると思うのだが。人の性向とか性格を笑ってることにならないか?
そこに思い至るとき、少なくとも私は後味はよくない。心の温まる楽しさや笑いとは思えない。
カモにされてる、おばあちゃんたちは、彼女たちが元気に納得してる(?)なら、まあ許そう。
女のデフォルメ飾りみたいな北欧美女ユマ・サーマンも許そう。これは私が好きだから。(^_^;)
しかし、英語がたどたどしい、という設定によって、細かいコミュニケーションの代わりに、女の武器、その肉体を際立たせて見せる効果を狙っているのではないかと思うと、多少、あざといと思えてしまう。
まあ、ナチを取り上げるのは、ナチの芝居を上演するせいで、観客の不評を買う、という展開のせいもあるのかもしれない。
だいたい、私はオカマは嫌いなのだ。いまテレビに出ているオカマキャラたちも嫌いだしね。そのオカマネタで笑わされたのは、ある意味、不本意である。(笑)
メル・ブルックスの映画って、ほとんど観たことないが、こういうクセの強い笑いなのかな。オリジナルは、ともかく一度観てみたい。
いいなと思ったのは、マシューのミュージカルシーンで、美女が大勢出てきて、昔のMGM映画のレビューのような場面を見せてくれたところ。
他にも、鏡に写したような、幾何学模様がきれいっぽい、バズビー・バークレイ風ミュージカルシーンは嬉しい。
ところで、メル・ブルックスは「鳩のヒルダ」と「猫のトム」の声を演じている。
この映画、エンディングクレジットが始まっても、帰らないように。最後の最後に、まだ、ちょっとあるから。しかも、あの方が顔見せ。(これ、誰なのか書いたほうがいいのかなあ、書かないと、映画で見ても誰なのか分からないかもしれない…。)