レント

RENT
監督 クリス・コロンバス
出演 ロザリオ・ドーソン  イディナ・メンゼル  ウィルソン・ジェレマイン・へレディア  トレイシー・トムズ  アダム・パスカル  ジェシー・L・マーティン  アンソニー・ラップ  テイ・ディグス
原作・作詞・作曲 ジョナサン・ラーソン
脚本 スティーヴン・チョボスキー
撮影 スティーヴン・ゴールドブラット
編集 リチャード・ピアソン
2005年 アメリカ作品 135分
サテライト賞…助演女優賞(ロザリオ・ドーソン、コメディ・ミュージカル部門)
評価☆☆☆☆


素晴らしかった! 主役8人のうち、1996年のブロードウェイ・オリジナルキャストが6人(ロザリオ・ドーソン、トレイシー・トムズ以外)揃ったメンバーの歌唱は、さすがに聴き応えがあって満足した。
その中でも、とくに私が素晴らしいと思ったのは、ダンサーのミミ役のロザリオ・ドーソンと、モーリーン役のイディナ・メンゼル

ロザリオ・ドーソンといえば、「シン・シティ」で私は初めて注目した人だが、この映画を観ている間じゅう、同一人物とは思わなかった。なんだかイメージが一致しなかったのだ。
彼女のパワフルな歌い方、すごく好きだ。ちょっと、パット・べネターを思わせるところも。(あくまでも私がそう思っただけですよ。)
可憐さもあるし美人だしで、こりゃあ、今後、要チェックですよ!

イディナ・メンゼルは、ライブでのパフォーマンスが独特で面白く、やっぱり彼女についても、声が好き。
ベニー役のテイ・ディグス(映画「シカゴ」では、話の進行役を演じていた人)と、「レント」の舞台で知り合って、結婚したのだそうだ。

1989年のクリスマスイブ。ニューヨークのイーストビレッジ。未来にかける若き芸術家たちの暮らしは、去年の家賃(レント)も払えないほど苦しいものだった。麻薬、エイズ、同性愛。映画は、その日その日を精一杯に生きる若者たちの1年を描いていく。

この映画を知ったのは、劇場での予告編。ところが、その予告編、日本語字幕がなくて、数人の男女が並んで立って歌を歌っているだが、意味が分からず、映画の予告編なのかどうかも分からなかった。何なんだ、これは! というので、いらいらさせられた。
その後、字幕入りの予告編にも出会って、理解できた、という経緯がある。
とにかく、ミュージカルなら観たい、という気持ちで観に行ったわけだ。
脚本・作詞・作曲のジョナサン・ラーソンがプレビュー公演前日に35歳で亡くなったことも、舞台で大ヒットして、ピュリッツァー賞まで受賞したことも、観る前は何も知らなかった。

2曲目が、もろにロックで、え?ロックミュージカルなの?と思ったほど。初めは少し乗れなかった。
なにしろ、曲が次々に歌われる。終盤以外は、普通のセリフはほとんどない、といっていいくらいかも。
耳に残るのは、やはり、みんなが並んで歌う1曲目の“Seasons Of Love”。予告編でも聞いたし、いい曲だと思う。
店の中で、みんなで歌う歌も楽しい。

若き芸術家たちの麻薬、エイズというのが、テーマとしては少し古いようにも思えるし、ブロードウェイキャストをもってくるとは、単に、ヒット舞台を映画に置き換えただけじゃないか、ということでもあるのだが、逆に、なかなか観られない舞台を映画で観ることができて嬉しい、ということにもなる。
映画になって、舞台より素晴らしくなった点があるのかどうかは分からない。舞台そのまんまかもしれない。
これが、たとえばアラン・パーカー監督(「フェーム」「ザ・コミットメンツ」「エビータ」)が手がけたら、もっとシャープさが加わったりしただろうか。
先日、同じくブロードウェイのヒット作を映画にした「プロデューサーズ」を観たが、それよりも、「レント」の言ってみれば青臭いようなパワーのほうが私は好きだ。
私は、途中から、ぼろ泣きでした。

キャラクターも立ってる! それぞれが個性的で、主役陣に、これほどはっきりとした個性の違いがあるのも珍しいのではないか。と私は思う。

ラストも好み。まさか、あんなことになるとは。悲しみだけでは終わらせず、希望を持たせた終わり方、好きです!
そして、もういちど言う。ロザリオ・ドーソン、いいです!

しかし最近、映画館で観ている映画、同性愛が入っているものが多いこと。「ブロークバック・マウンテン」「プロデューサーズ」「「V フォー・ヴェンデッタ」「ぼくを葬る」、そして「レント」。狙ってるわけじゃないのに。




〔2006年5月7日(日) 東劇〕


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