サイレントヒル

SILENT HILL
監督 クリストフ・ガンズ
出演 ラダ・ミッチェル  ローリー・ホールデン  ジョデル・フェルランド  デボラ・カーラ・アンガー  アリス・クリーグ  ショーン・ビーン  ターニャ・アレン  キム・コーツ
脚本 ロジャー・エイバリー
撮影 ダン・ローストセン
編集 セバスチャン・プランジェール
音楽 ジェフ・ダナ  山岡晃
2006年 カナダ・日本・アメリカ・フランス作品 127分
評価☆☆★


○○○は助かってほしかった。その気持ちが、ずっと後まで残っている。
死んだと思ったら生きていて、よかったと思う間もなく、あの、むごたらしい最期とは。ひどすぎないか? 悪趣味きわまりない。
ああいう(尊敬すべき過去をもつ)キャラクターが生き残らないなんて、どういう考え方で話を作っているのだろう。
その点においては、個人的には最悪な映画。
ちなみに、原作のコナミのゲームには、この部分はなく、映画のオリジナルらしい。

終わり方も、何を意図して、あんな形にしているのか、意味が分かりにくい。母の愛、独占? あの後、どうなるのだろうか。

怪物たちについては、とくに怖くもなく、そんなもんか、という印象。
あいつらは、恨みによって生まれたものなのかねえ? そういうところは、どうでもいいことなのかな?

などと否定的なことを並べてきたが、映像や音の雰囲気は、いい。霧と灰の色の中に、ぼんやりしたかのような、アナザーワールド(別世界)。
サイレントヒルで奮闘する2人のヒロイン、ラダ・ミッチェルとローリー・ホールデンも、いい感じで頑張っている。

そして、事件の鍵を握る娘を演じるのが、ジョデル・フェルランド。先日「ローズ・イン・タイドランド」で見た彼女だ。(本作ではラダ・ミッチェルの役名がローズで、偶然とはいえ面白い。)
そう、ジョデルが出演しているから、この映画を観たのだ。
出番は少ないが、2役。とくに、意味深な、ちょっとした表情の演技には、巧さの片鱗を見せていた。

夫の役にはショーン・ビーン。どこかで見た顔だなあ、と思いながら、ずっと観ていて、エンドクレジットで名前を見て、おお!とヒザをたたいた。(断るまでもないが、実際には、たたいていない。)
どうして、いつも彼を見ても名前が出てこないのだろう。この顔はショーン・ビーンだぞ、と、しっかり認識していないとしか思えないな。
ところで、この夫、あんまり役に立たなかったし、存在意義が薄い。これでいいのか、と多少、疑問に感じたのだが…。

分からないといえば、デボラ・アンガーも、メイクのせいで、ぜんぜん分からなかったなあ。

展開として、怪物よりも何よりも、人間の狂信的な信仰の怖さに、終盤の話が持っていかれたのが、よかったのかどうか。

エンドクレジットの音楽と映像は、かっこいい。“You're not here”という曲は、ゲームのオリジナル音楽なのだそうで、これは素晴らしい。山岡晃という人の作曲。
映画のBGM自体も、ゲームのオリジナルからが多い、という。この部分は、かなり原作に忠実なんですね。

好きになれないところもあるが、映像の雰囲気、音楽、ラダ・ミッチェルの熱演、ジョデルちゃんの出演に対して、点数を贈る。




〔2006年7月16日(日) 丸の内ピカデリー2〕


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