スーパーマン リターンズ

SUPERMAN RETURNS
原案・監督 ブライアン・シンガー
出演 ブランドン・ラウス  ケイト・ボスワース  ケヴィン・スペイシー  パーカー・ポージー  ジェームズ・マーズデン  フランク・ランジェラ  サム・ハンティントン  エヴァ・マリー・セイント
脚本 マイケル・ドハティ  ダン・ハリス
撮影 ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽 ジョン・オットマン
テーマ音楽 ジョン・ウィリアムズ
2006年 アメリカ作品 154分
サターン賞…ファンタジー映画・監督・脚本・音楽・主演男優賞
評価☆☆☆★


「スーパーマンU/冒険篇」(1981年)の続編の形をとって、スーパーマンが戻ってきた!
新しいスーパーマン・シリーズの始まりだ。

かつての3作目、4作目は、1、2作目と比べて質が落ちていたという記憶があるから、今回、2作目の続編としたのは、スーパーマンの大ファンであるブライアン・シンガー監督としては妥当な考え方なのだろう。

予告編を見たときは、予想よりも面白そう、と思った。銃弾を、あの場所(どこかは伏せておきますが、変な場所じゃないよ)に受けても平気な顔で、ニヤリとするところには、うおおー、すげー! かっこいー! と背筋がゾクリとしたものだ。

公開されて映画館の席に座り、ジョン・ウィリアムズによる懐かしいテーマ曲が始まったときには、まさに、クリストファー・リーブ主演の映画「スーパーマン」の正統な(?)復活を実感した。昔の通りの、この曲を使ってくれてよかった。わくわくするしね!

主演のブランドン・ラウスは、まず第一に、旧シリーズのスーパーマンを演じたクリストファー・リーブに感じが似ていてイメージを壊さないことを考えて起用されたのではないかと思える。
旧シリーズを知っている観客にも、あまり違和感はないくらい、彼はクラーク・ケント、スーパーマンなのである。

スーパーマンの宿敵レックス・ルーサーをケヴィン・スペイシーが演じる。悪い奴であっても、どこか、おばかな面もあるのが、どうも憎めないんですけど。
ルーサーの彼女、キティにはパーカー・ポージー嬢が扮する。私はヒロインのロイス・レイン役のケイト・ボスワースよりも、彼女のほうがタイプかも!
ルーサーの計画で何億人もの人が死ぬ、と聞いた彼女の心は複雑だ。スーパーマンに危ないところを助けられたこともあり、彼がルーサーたちに虐(いじ)められるのを見るのは、つらい。
心の優しい、いい人なんである。そういう彼女と一緒にいるルーサーまでもが、そんなに悪い男に思えない、という思いがけないプラス(だかマイナスだか分からないが)の効果を生んでいる。もちろん、私にとっては、の話である。
ポージー嬢、私が観た映画の中では、メグちゃんの「ユー・ガット・メール」に出ていたという。今度観る機会があったら、どの役で出ているか注意してみよう。

スーパーマンの活躍は、彼の帰還を華やかに告げる、スペースシャトルとジェット機の事故を救う場面が、いちばんスリリング。
とくにジェット機を救って地上に置いた、その場所が傑作! 舞台効果満点で、これぞアメリカンヒーロー!なのだ。
ただし、このあとに、それ以上のスリルある活躍場面がなかったと思えるのが、ちょっと惜しい。最後のほうは、苦しみながら頑張ったという印象が強いから。


スーパーマンとロイス・レインがいっしょに飛ぶ場面は、「スーパーマン」映画には、はずせない。今回、ちゃんと入れてくれた。
旧シリーズのロイス役、マーゴット・キダーも、スーパーマンとのフライング・シーンがいちばん記憶にあるしね。ロマンティックですよ、好きな同士で飛ぶんだから!
こんなデート、他の誰ができますか!(あ、空を飛べるスーパーヒーローなら、できるか。やろうと思えば。)

スーパーマンの育ての母にエヴァ・マリー・セイントというのも、懐かしい名前で嬉しい!
ヒッチコック監督の「北北西に進路を取れ」(1959年)のヒロインですよ!

1、2作目を担当した「X-MEN」の完結編の監督を断ってまで、好きな「スーパーマン」を監督したブライアン・シンガー。
エンドクレジットでは「クリストファー・リーブ夫妻に捧げる」という言葉を入れた。素敵な配慮である。(スーパーマン役で活躍したリーブ氏は、落馬による脊髄損傷で首から下がマヒになり、車椅子生活となった。マヒに関する研究を金銭的に援助し、後には映画制作の世界に復帰したが、2004年に心不全で亡くなった。奥さんのダナも今年2006年の3月、肺がんのために他界している。)

シンガー監督は、次作に向けて、すでに動き出しているそうだ。楽しみにしてます。




〔2006年8月19日(土) サロンパス ルーブル丸の内〕


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