まず、タイトルに文句を言わせてもらう。
「ファイナル
ディシジョン」って何なのさ!
ディシジョンの意味を知っている日本人が、どれだけいるんですか? どうして、よく意味が理解できない英語をそのままカタカナにして、タイトルにするんです?
原題のままをカタカナにするなら、まだいい。でも、原題は“X-MEN:THE LAST
STAND”。調べてみると「最後の抵抗」みたいな意味かと思うけど、わけが分からないタイトルをつけるくらいなら、原題のまま「X-MEN:ラスト
スタンド」にしてください!
「ファイナル ディシジョン」のほうが「ラスト スタンド」より意味が分かりやすいから、という理由だと言うのなら、そんなことは全くない、と思う。
(ちなみに「ファイナル ディシジョン」とは、「最終的な決意、決定」というようなことのようだ。)
以前、「エグゼクティブ・デシジョン」という映画があって、「デシジョン」という言葉自体には、なじみがある。
たぶん、映画宣伝担当者に、その映画の記憶があったせいで、今回「ディシジョン」を使った、というところもあるのではないだろうか。
とにかく! カッコよさそうというだけの、意味の分からない邦題をつけるときには、私は怒るのである! ぷんぷん。
「ファイナル」にしたって、ファイナルファンタジーとかのイメージでカッコよさげだと思っただけじゃないの? 「ラスト」を「ファイナル」に変える意味があるのか?
つまらないことだと思いますか? 映画配給会社に、もうちょっと考えてほしいだけです。
思わず長々と、映画の中身でなくて外見に文句を言ってしまった。
中身はねえ、観ていて面白かったよ。でも「X-MEN」の過去2作とは違う。監督が代わると、こんなに違うんだ?ということが現れている作品だと思う。
とにかく、ほとんど娯楽一辺倒に突っ走る。X-MENたちの悩みらしきものが描かれてはいても、さら〜りと流れちゃってる印象。悩みを深くは出していない。
特撮がすごいけれど、そういうことだけでは、観ているときには面白いけど、あとには何も残らない。まあ、そんな映画もいいが、X-MENは、やっぱり、前2作のブライアン・シンガー監督の考え方、風味で統一してほしかった。
シンガー氏が「スーパーマン リターンズ」の監督のほうに行ってしまったのが残念。同じ時期に映画化しなければ、よかったのに。
私のお気に入りのミスティーク。普通の人間に捕まってしまった、というのが、まず意外。彼女をどうやって捕まえたんだろう?
でも彼女、捕(とら)われの身であっても反骨心は旺盛だ。
本名で呼ばれると、“I don't answer to my slave name.”「奴隷の名で呼ばれても答えない」と言う。しびれるねー。かっこいい。
今回、マグニートーの彼女に対する最終的な仕打ちは冷たいものだ。詳しくは書かないが。マグニートーは、ああするよりなかったかもしれないな、とは思うけれども。
シンガー監督でも、あの脚本を許しただろうか。
サイクロップスのへタレぶりも際立っている。この映画の感想文を読むと多くの場合、その点に言及されているが、まったくもって、彼の見せ場、なし!
演じるジェームズ・マーズデンが「スーパーマン リターンズ」に出演しているので時間が取れなかった、というのが理由とも言われているが、恋人を失って立ち直れず、最後は……である。
ストームは、自ら回転して敵に体当たり!という大技を披露する。そんなことができるとは! ちょっと、あまりにも漫画チックな技で、これは個人的には、笑っちゃうのを禁じえなかった。ハル・ベリー嬢は自分でアクションをやって、目が回ったそうだ。(笑)
そりゃ回るよ、コマ回しみたいだもん。
ずいぶんと新しいミュータントが登場してくるが、あんまり個人的に好きなニュー・キャラクターはいなかった。
出てくる人数が多いから、それぞれについて、じっくり描くこともないので、感情移入もしないのかも。
とにかく、サクサクと話をすすめていきましょ、3部作を、まとめなくちゃいけないんだから。という感じか。
面白いことは面白いんだけどなあ…。でも、前と違って、ブレット・ラトナー版のX-MENに変わっちゃった。
エンドロール後にある数秒の「オマケ」には、観客唖然。えーっ、どういうこと!? そんな感じの声が上がった。
観客に必ず観てほしい重要なことなら、エンドロールの後に置かないだろう、と私は思うので、まあ、監督の「いたずら心」程度にとって問題ないものと解釈したい。
映画館側は、エンドロール後に何か続きがある映画の場合は、上映前に観客に知らせてもいいのではないだろうか。
「この作品はエンドロールの後にお楽しみがあります。ぜひ最後までご覧ください」などと。
それが親切というものではないか。
私は、このオマケ、夢オチかと思ったのだが、どうやら、違うみたいですね。
アメコミは、死んだと思ったら復活するのが、よくあるらしいので、フルメンバーで続編を作るのも可能。
ラストには、エリック・レンシャー(マグニートー)の、例のシーンもあったしね。