X-MEN:ファイナル ディシジョン

X-MEN:THE LAST STAND
監督 ブレット・ラトナー
出演 ヒュー・ジャックマン  ハル・ベリー  イアン・マッケラン  ファムケ・ヤンセン  パトリック・スチュワート  ケルシー・グラマー  アンナ・パキン  レベッカ・ローミン  ショーン・アシュモア  アーロン・スタンフォード  エレン・ペイジ  ジェームズ・マーズデン  ヴィニー・ジョーンズ  キャメロン・ブライト  ショーレー・アブダルシュルー
脚本 ザック・ペン  サイモン・キンバーグ
撮影 ダンテ・スピノッティ
音楽 ジョン・パウエル
編集 マーク・ゴールドブラット  マーク・ヘルフリッチ  ジュリア・ウォン
2006年 アメリカ作品 105分
サターン賞…助演女優賞(ファムケ・ヤンセン)
評価☆☆☆


まず、タイトルに文句を言わせてもらう。
「ファイナル ディシジョン」って何なのさ!
ディシジョンの意味を知っている日本人が、どれだけいるんですか? どうして、よく意味が理解できない英語をそのままカタカナにして、タイトルにするんです?
原題のままをカタカナにするなら、まだいい。でも、原題は“X-MEN:THE LAST STAND”。調べてみると「最後の抵抗」みたいな意味かと思うけど、わけが分からないタイトルをつけるくらいなら、原題のまま「X-MEN:ラスト スタンド」にしてください!
「ファイナル ディシジョン」のほうが「ラスト スタンド」より意味が分かりやすいから、という理由だと言うのなら、そんなことは全くない、と思う。
(ちなみに「ファイナル ディシジョン」とは、「最終的な決意、決定」というようなことのようだ。)

以前、「エグゼクティブ・デシジョン」という映画があって、「デシジョン」という言葉自体には、なじみがある。
たぶん、映画宣伝担当者に、その映画の記憶があったせいで、今回「ディシジョン」を使った、というところもあるのではないだろうか。
とにかく! カッコよさそうというだけの、意味の分からない邦題をつけるときには、私は怒るのである! ぷんぷん。
「ファイナル」にしたって、ファイナルファンタジーとかのイメージでカッコよさげだと思っただけじゃないの? 「ラスト」を「ファイナル」に変える意味があるのか?
つまらないことだと思いますか? 映画配給会社に、もうちょっと考えてほしいだけです。

思わず長々と、映画の中身でなくて外見に文句を言ってしまった。
中身はねえ、観ていて面白かったよ。でも「X-MEN」の過去2作とは違う。監督が代わると、こんなに違うんだ?ということが現れている作品だと思う。

とにかく、ほとんど娯楽一辺倒に突っ走る。X-MENたちの悩みらしきものが描かれてはいても、さら〜りと流れちゃってる印象。悩みを深くは出していない。
特撮がすごいけれど、そういうことだけでは、観ているときには面白いけど、あとには何も残らない。まあ、そんな映画もいいが、X-MENは、やっぱり、前2作のブライアン・シンガー監督の考え方、風味で統一してほしかった。
シンガー氏が「スーパーマン リターンズ」の監督のほうに行ってしまったのが残念。同じ時期に映画化しなければ、よかったのに。

私のお気に入りのミスティーク。普通の人間に捕まってしまった、というのが、まず意外。彼女をどうやって捕まえたんだろう?
でも彼女、捕(とら)われの身であっても反骨心は旺盛だ。
本名で呼ばれると、“I don't answer to my slave name.”「奴隷の名で呼ばれても答えない」と言う。しびれるねー。かっこいい。
今回、マグニートーの彼女に対する最終的な仕打ちは冷たいものだ。詳しくは書かないが。マグニートーは、ああするよりなかったかもしれないな、とは思うけれども。
シンガー監督でも、あの脚本を許しただろうか。

サイクロップスのへタレぶりも際立っている。この映画の感想文を読むと多くの場合、その点に言及されているが、まったくもって、彼の見せ場、なし!
演じるジェームズ・マーズデンが「スーパーマン リターンズ」に出演しているので時間が取れなかった、というのが理由とも言われているが、恋人を失って立ち直れず、最後は……である。

ストームは、自ら回転して敵に体当たり!という大技を披露する。そんなことができるとは! ちょっと、あまりにも漫画チックな技で、これは個人的には、笑っちゃうのを禁じえなかった。ハル・ベリー嬢は自分でアクションをやって、目が回ったそうだ。(笑)
そりゃ回るよ、コマ回しみたいだもん。

ずいぶんと新しいミュータントが登場してくるが、あんまり個人的に好きなニュー・キャラクターはいなかった。
出てくる人数が多いから、それぞれについて、じっくり描くこともないので、感情移入もしないのかも
とにかく、サクサクと話をすすめていきましょ、3部作を、まとめなくちゃいけないんだから。という感じか。

面白いことは面白いんだけどなあ…。でも、前と違って、ブレット・ラトナー版のX-MENに変わっちゃった

エンドロール後にある数秒の「オマケ」には、観客唖然。えーっ、どういうこと!? そんな感じの声が上がった。
観客に必ず観てほしい重要なことなら、エンドロールの後に置かないだろう、と私は思うので、まあ、監督の「いたずら心」程度にとって問題ないものと解釈したい。

映画館側は、エンドロール後に何か続きがある映画の場合は、上映前に観客に知らせてもいいのではないだろうか。
「この作品はエンドロールの後にお楽しみがあります。ぜひ最後までご覧ください」などと。
それが親切というものではないか。

私は、このオマケ、夢オチかと思ったのだが、どうやら、違うみたいですね。
アメコミは、死んだと思ったら復活するのが、よくあるらしいので、フルメンバーで続編を作るのも可能
ラストには、エリック・レンシャー(マグニートー)の、例のシーンもあったしね。




〔2006年9月16日(土) 日比谷スカラ座〕


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