1年ぶりに、ニコールの映画が劇場に来た!
ニコールの映画であれば、なにはともあれ、映画館に駆けつける私なのだった。
さて、結論から言えば、
ストーリーの解釈が少し難しい。ネタばれはしないので詳しくは書かないが…。
亡くなった夫の生まれ変わりだと自称する子どもが目の前に現れたとき、そしてその後、彼女の心が、どう動いていくのか。
これがメインの話。
映像的には、同じ場面を長く撮り続ける2シーンが印象的だった。
オープニングでは、ジョギングする男を、延々と追って撮り続ける。私は、いいかげんにしてくれよ、と思った。いつまで同じのを撮ってるんだ、と。飽きて、うんざりしてくる。結果的には、理由があったと(もしかして無理矢理にでも)いえるのかもしれないが、あのように撮らなくても表現はできたのではないか、と感じた。
次は、オペラを観に来て席に座った
ニコールの表情を、正面から固定して撮り続ける。(1枚目の画像、これが顔アップになるのです。)
ここは、あの子が夫の生まれ変わりであるのが本当なのかもしれない、という感情の動きをニコールが演技するわけだが、表情だけで表わすのは少々無理。それに長すぎる。実際は1分くらいだったのかも分からないが、見ているときは、ものすごく長く、永遠のように感じた。
…これ、実験映画?
ジョナサン・グレイザー監督はミュージックビデオ界出身の気鋭らしいが、自分には才気が溢れているんだぞ、と言いたいのでしょうか?
子ども役のキャメロン・ブライト、私は可愛いとは思わないし、上手とも思わない。
ニコールと一緒にお風呂に入りやがって、この野郎め、うらやましい! くらいの感想しかありません。
ローレン・バコールさんはお元気ですね。ニコールとは、ラース・フォン・トリアー監督の「ドッグヴィル」でも共演している。存在感、あります。
お久しぶりという感じのアン・ヘッシュも、終盤に見せ場あり。
ニコールは頑張るが、ちょっと分かりにくい話と、変わった映像を作る監督だったなあ、という後味が大きい。
生まれ変わりの件が、ああいう結末になって、そこから追及していけばニコールは、亡き夫の真実の気持ちを知ることが可能だが、そのあたりをどうしたのかが、よく分からなくて困る。
ネタばれしないで書くと、私の文章も、分かりにくいことになってしまうのだが…。
人を愛する気持ちの葛藤と、そこから現実問題として、どのような選択をするのか、という点には考えさせられる。
ちょっと変わった文芸作。
一般受けはしないと思う。日本では2年間公開されずに寝かされていたのも分かる気がする。
いまごろ公開されたのは、ニコールの映画が1年間もなかったから、じゃあ、これ、ちょっと地味めで難しいけど公開してみようか、という気分があったのではないかと勘繰りたくなる。